協奏曲「ダンバートン・オークス」

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室内オーケストラのための協奏曲 変ホ長調「ダンバートン・オークス」Concerto in E-flat (Dumbarton Oaks))は、イーゴリ・ストラヴィンスキーによる室内楽編成の協奏曲。新古典主義時代のストラヴィンスキーが作曲した、2つある室内楽編成の合奏協奏曲のうちの1つである。

成立の経緯[編集]

ワシントンDC在住のロバート・ウッズ・ブリスより、自身の結婚13年の祝賀音楽として依嘱された。「ダンバートン・オークス」という副題は、依嘱者ウッズ・ブリスの住所にちなんでいる。1937年から1938年ジュネーヴ近郊のアンヌマスで作曲された。また、ストラヴィンスキーがヨーロッパ時代に完成させた最後の作品でもある。

1938年に(ストラヴィンスキーの崇拝者を自認していた)高名な音楽教師で指揮者のナディア・ブーランジェが、作曲者自身の招請により、5月8日にワシントンDCにおいて初演を指揮した。当時ストラヴィンスキーは結核のため療養中で、世界初演に立ち会ってはいない。

自筆譜は、ワシントンDCのダンバートン・オークス研究所附属図書館の稀書コレクションに収蔵された。

ストラヴィンスキー本人が2台ピアノ版を作成したほか、レイフ・ティボが1952年オルガン用の編曲を行なった。バレエ版の初演は、1972年6月23日ニューヨーク・シティ・バレエ団によって行なわれた。

比較的小編成で変拍子が多いので指揮の課題によく使われる。

楽器編成[編集]

フルート1、クラリネット1、ファゴット1、ホルン2、ヴァイオリン3、ヴィオラ3、チェロ2、コントラバス2。

演奏時間[編集]

約14分(各4分、5分、5分)。

楽章構成[編集]

以下の3楽章より成るが、全楽章を連続して間断なく演奏される。

  1. テンポ・ジュスト Tempo giusto
  2. アレグレット Allegretto
  3. コン・モート Con moto

擬似バロック様式の合奏協奏曲という発想は、バッハの《ブランデンブルク協奏曲》に触発されており、とりわけ第3楽章の多声的な書法に顕著である(このような着想において、おそらくサミュエル・バーバーの《カプリコーン協奏曲》に影響を与えた作品といえよう)。上声を担当する弦楽器の三重奏という編成も《ブランデンブルク協奏曲》に由来する。それぞれの楽器は、曲の進行に応じて、合奏の一員として、また独奏楽器として扱われる。対位法的な性格の楽曲であり、とりわけ両端楽章はそうであるが、しかしながら中間楽章は、動機労作やフーガ的な書法による手の込んだ両端楽章からの小休憩であり、旋律の断片によって組み立てられた、比較的くつろいだ性格になっている。

参考資料[編集]

  • Stephen Walsh: "Stravinsky, Igor". Grove Music Online, ed. L. Macy, accessed 15 February 2006.
  • Paul Griffiths: "Symphony", Grove Music Online, ed. L. Macy, accessed 15 February 2006.
  • Rita Benton: "Libraries", Grove Music Online, ed. L. Macy, accessed 15 February 2006.
  • Steven Ledbetter, from ProArte.com, on Dumbarton Oaks.
  • Erik H.A. Jakobsen: "Thybo, Leif". Grove Music Online, ed. L. Macy, accessed 15 February 2006.
  • JeromeRobbins.org
  • Stephen Strugnell, notes for the Scottish Chamber Orchestra