ルリドラゴン

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ルリドラゴン
ジャンル
漫画
作者 眞藤雅興
出版社 集英社
掲載誌 週刊少年ジャンプ
少年ジャンプ+、電子版少年ジャンプ
レーベル ジャンプ コミックス
発表号 週刊少年ジャンプ:
2022年28号[1][2] - 2024年18号
少年ジャンプ+:2024年4月22日
発表期間 2022年6月13日[1][2] -
巻数 既刊1巻(2022年10月4日現在)
テンプレート - ノート
プロジェクト 漫画
ポータル 漫画

ルリドラゴン』は、眞藤雅興による日本の漫画作品。『週刊少年ジャンプ』(集英社)2022年28号より連載中[1][2]

概要[編集]

人間とドラゴン混血の女子高生を主人公とするファンタジー漫画日常系漫画である。眞藤は2016年に「Twin Peach」が第109回JUMPトレジャー新人漫画賞佳作となったのち、読切「除冷師 煉太郎の約束」や読切「COUNT OVER」が『週刊少年ジャンプ』に掲載されているが[3][4][注 1]、連載は本作が初となる[5]

2020年12月28日発売の『少年ジャンプGIGA』2021WINTERに読切版が掲載されたのち、2022年6月13日発売の『週刊少年ジャンプ』2022年28号にて連載が開始された[1][2]。連載開始に先立って読切版をもとにしたボイスコミック[注 2]、単行本第1巻発売に先立って連載版第1〜3話をもとにしたボイスコミックが[注 3]、それぞれ『週刊少年ジャンプ』の公式YouTubeチャンネルで公開されている。2022年7月25日、公式Twitterアカウントが開設され、併せてLINEスタンプの販売が開始された[6][7]

2022年8月1日、眞藤の体調不良のため『週刊少年ジャンプ』2022年35号より無期限休載することを発表した。『週刊少年ジャンプ』編集部は「一定期間休養し、万全な状態で連載が続けられるように、回復を図っていく方が良いと判断いたしました」と無期限休載の理由を説明し、再開時期は誌面上で発表すると述べた[8][9]

2023年2月2日、日本出版販売が発表した「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」において第1位を獲得した[10][11]
2023年12月に発売された『このマンガがすごい!2024』(宝島社)ではオトコ編の第9位にランクインしている[12]

2024年2月21日、公式X(旧Twitter)にて連載再開を発表した。『週刊少年ジャンプ』本誌で2024年14号から18号まで掲載した後、2024年4月22日より同電子版および『少年ジャンプ+』で隔週掲載中[13][14]

あらすじ[編集]

地元の学校に通う高校1年生の青木瑠璃ルリ)は、ある朝起きると自分の頭にツノが生えていることに気付き、相談した母親の青木海から自分の父親がドラゴンで、自分が人間とドラゴンの混血であることを淡々と明かされる。ルリは戸惑いながらも学校に行くが、授業中にくしゃみの拍子で火を吐き卒倒、保健室に運ばれてしまう。その後、通学への拒否感と不安で引きこもるルリであったが、周囲の親族や萩原裕香ユカ)・神代らクラスメイト達の理解もあり、再び学校に通うようになる。しかし、これまで通りの生活を続けようとするルリをよそに、身体から放電してしまうなど、その体質は徐々に人間からドラゴンのものになっていく。

読切版[編集]

保健室に運ばれるまでのあらすじは連載版とほぼ同じ。その後、学校を休んで山奥の神社に住む父親に会いに行くという内容である[15]

登場人物[編集]

声は特記のない限り連載版ボイスコミックにおける声優[16][17]

青木家[編集]

青木 瑠璃(あおき るり)[18]
声 - 小見川千明[注 4]
通称「ルリ」。人間とドラゴンの混血の女子高生。最初に火を吐いた際には、喉を火傷して吐血してしまうが、ドラゴンの遺伝の影響で早々に復調、吐血せずに火を吐けるようになる。人との交流が苦手な性格で、通学への拒否感と不安で一時は引きこもるが、親族やクラスメイト達の理解を得てその悩みはある程度解消され、どれだけ自分がドラゴンになっても学校には通い続けるという意思を示す。
12月28日生まれの15歳、血液型O型、身長151センチメートル(ツノ除く)。寝相が悪く朝起きると布団の上下と裏表が逆になっていることが悩み[18]
青木 海(あおき うみ)
声 - 赤星真衣子(読切版ボイスコミック[15])/名塚佳織
仕事を務めながら育児をこなすルリの母親。大阪出身。ルリにツノが生えた際には、飄々とあしらったものの内心焦っており、急ぎルリの父親の住む山奥に向かい事態の究明に腐心する。また、ルリが通学に悩んだ際には、クラスメイト達に接触することで軋轢が生まれないよう尽力した。
読切版では、ツノの生えたルリを放置して通勤する、ルリが保健室に運ばれても迎えに来ないなど、連載版に輪をかけて放任的な言動が目立つ。
ルリの父親
声 - 藤倉光[注 4]
山奥に住むドラゴンでルリの父親。連載版では海による回想シーンのみの登場(第1巻時点)。ルリにドラゴンの遺伝が表れたという話を海から聞き、俺の子だと喜ぶといった人間的な感情を持つ。ルリが火で喉を焼いたため吐血したことについて、身体がまだ完全にドラゴンではないためであり、今後発現するであろう新たな遺伝を含め、必ず身体が適応していくはずだとの助言を海に託す。
読切版では、会いに来たルリに人間とドラゴンの子供の作り方を問いただされ、まるで人間の父親のように慌てふためくという一面を見せる。また、翼を使って空を飛ぶことができ、ルリを背中に乗せて空を飛ぶことが夢だったと語る。

学校の関係者[編集]

萩原 裕香(はぎわら ゆか)[18]
声 - 春木めぐみ(読切版ボイスコミック[15])/立石みこ
通称「ユカ」。ルリの友人の女子生徒。人との交流が苦手なルリに対して、もっと人と話したほうがいいと友人作りを後押しする。異性にツノを触らせるといったルリの見境ない行動を注意するなど、学校におけるルリの保護者的な役割を担う。
10月21日生まれの15歳、血液型A型、身長148センチメートル。通学路にある自動販売機からドクターペッパーがなくなったことが悩み[18]
神代(かしろ)
声 - 青木真琳
ルリの右隣の席に座る女子生徒。黒髪を一部染色したツートンカラーのヘアスタイルで、ルリは神代に対して苦手意識を持っていた。神代もルリに対して苦手なものを感じていたが、苦手ではあるが嫌いではなく、仲良くできるならそうしたいと明かし、ルリの友人となる。成績優秀で、学校を休んでいたことで勉学に遅れが出ていたルリをサポートする。
吉岡(よしおか)
声 - 橋本愛仁
ルリの前の席に座る男子生徒。席が近いこともあり以前からルリによく話しかけていたが、ルリは異性が苦手だったため特に仲が良いわけではなかった。ルリが最初に火を吐いた際には、後頭部に直撃を受けるが幸い火傷もせず、髪を短く整える程度で済んだためルリの謝罪を受け入れる。
宮下(みやした)
声 - 赤星真衣子
神代の友人の女子生徒。神代とともにルリの勉学をサポートする。
三倉(みくら)
神代の友人の女子生徒。神代とともにルリの勉学をサポートする。
前田(まえだ)
神代の友人の女子生徒。ルリのことを怖がり距離を取る。
担任の先生
声 - 野澤晃太郎(読切版ボイスコミック[15])/猪股慧士
1年3組の担任を務める男性教師。ルリからはやる気のない人物と評されていたが、実は諸事情を入学前に海から知らされており、ルリが再び学校に通うようになった際には、普通とは違う特性を持つ人間が現れるのは社会ではよくあることだとクラスメイト達に語る。

反響・評価[編集]

連載開始に先立って公開された読切版ボイスコミックは、連載開始までに累計200万回再生[1][2]、単行本第1巻発売までに累計370万回再生を突破するなどの反響があり[16]、『週刊少年ジャンプ』の公式YouTubeチャンネルで最も視聴されたボイスコミックとなっている。

眞藤は以前の作品ではバトル描写などが評価されていたが[3][4]、本作では打って変わり、『週刊少年ジャンプ』の連載作品としては珍しい、落ち着いた「ゆるい」作風が注目されている[1][5][7]Multiversity Comicsのブライアン・サルヴァトーレは、ありふれた高校や朝の描写と奇妙で不思議な出来事が見事に両立しており、不条理でありながら不条理すぎない微妙な塩梅が面白さを引き出していると評している[19][注 5]。また、スクリーン・ラントのマイケル・グリーンは、日常系や青春ものの漫画が数多くある中、本作は主人公を人間とドラゴンの混血にしたことでこれらのジャンルの枠を飛び越え、異性を好きになったり自分の容姿を気にしたりといった、10代の女の子の平凡な側面さえも新鮮な体験として描くことに成功していると評した[20]。その一方で、スクリーン・ラントのスティーヴン・ブラックバーンは、同様にドラゴンの女子高生を題材としていた『僕より目立つな竜学生』(杠憲太)と本作を比較し、主人公の存在を友人達がいかに気軽に受け入れるかに焦点を当てるあまり、コメディに頼り過ぎで人間関係の掘り下げに欠けると評している[21][注 5]

主人公の存在を周囲の人々が受け入れていく展開を、社会における多様性の受容になぞらえた評もある[22]。「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」において第1位を獲得した際には、投票した書店員から「多様性をするりと受け入れる暖かな物語。分かりあえなくとも、互いに理解し続ける描写が胸を打つ、新たな日常マンガのスタンダードです」「主人公の悩みを登場人物の優しさが包む、ゆるく優しい日常系漫画」という声が寄せられている[11]

書誌情報[編集]

  • 眞藤雅興 『ルリドラゴン』 集英社ジャンプ コミックス〉、既刊1巻
    1. 「ドラゴンなんだって」 2022年10月4日発売[23]ISBN 978-4-08-883285-2

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 読切「除冷師 煉太郎の約束」は第12回金未来杯グランプリ。
  2. ^ 2021年9月28日に前編、29日に後編、2022年2月23日に完全版。
  3. ^ 2022年9月29日に第1話前編、30日に第1話後編、10月1日に第2話、2日に第3話。
  4. ^ a b 読切版ボイスコミックからの続投[15]
  5. ^ a b 第1話時点での評。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f “ジャンプ新連載『ルリドラゴン』早くも話題 ゆる〜い雰囲気に支持「ジャンプらしくない空気感」”. ORICON NEWS (オリコン). (2022年6月13日). https://www.oricon.co.jp/news/2238361/full/ 2022年10月3日閲覧。 
  2. ^ a b c d e “朝起きたら角が生えていて…少女のファンタジーな日常描く新連載「ルリドラゴン」”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年6月13日). https://natalie.mu/comic/news/481377 2022年10月3日閲覧。 
  3. ^ a b “『ジャンプ』読切作品に読者驚愕「この完成度で19歳!?」”. ダ・ヴィンチweb (KADOKAWA). (2017年9月12日). https://ddnavi.com/news/400009/a/ 2022年10月3日閲覧。 
  4. ^ a b “「続きが読みたい」“ジャンプ次代のサムライ”読み切り作品『COUNT OVER』に大反響”. ダ・ヴィンチweb (KADOKAWA). (2018年5月25日). https://ddnavi.com/news/460479/a/ 2022年10月3日閲覧。 
  5. ^ a b “ユル〜い日常系?『ルリドラゴン』がトレンド入り! 人気作続々最終章入りも『週刊少年ジャンプ』新連載陣に期待の声”. ふたまん+ (双葉社). (2022年6月14日). https://futaman.futabanet.jp/articles/-/122061?page=1 2022年10月3日閲覧。 
  6. ^ “マンガ『ルリドラゴン』の公式Twitter開設。角が生えた女子高生・ルリたちの日常を切り取ったLINEスタンプも配信開始”. ファミ通.com (KADOKAWA). (2022年7月25日). https://www.famitsu.com/news/202207/25269670.html 2022年10月3日閲覧。 
  7. ^ a b “『ルリドラゴン』少年ジャンプ注目作に癒される日々 龍と人間のハーフ女子高生のかわいい日常”. リアルサウンドブック (blueprint). (2022年7月29日). https://realsound.jp/book/2022/07/post-1088398.html 2022年10月3日閲覧。 
  8. ^ “ジャンプ話題作『ルリドラゴン』しばらく休載へ 6月に連載開始も…作者の体調不良で一定期間休養”. ORICON NEWS (オリコン株式会社). (2022年8月1日). https://www.oricon.co.jp/news/2244188/full/ 2022年10月3日閲覧。 
  9. ^ “「ルリドラゴン」、作者体調不良のためしばらくの間休載”. コミックナタリー (ナターシャ). (2022年8月1日). https://natalie.mu/comic/news/487826 2022年10月3日閲覧。 
  10. ^ “「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」発表! 第1位は「ルリドラゴン」(眞藤雅興/集英社)”. 日本出版販売. (2023年2月2日). https://www.nippan.co.jp/news/osusume_comic2023_20230202/ 2023年2月2日閲覧。 
  11. ^ a b “今一番面白い漫画はこれ! 「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」ランキング発表”. ほんのひきだし (日本出版販売). (2023年2月2日). https://hon-hikidashi.jp/enjoy/162643/ 2023年2月2日閲覧。 
  12. ^ 「このマンガがすごい!2024」ランキングTOP10! 「オトコ編」1位は「ダイヤモンドの功罪」【2023年最新調査結果】」『ねとらぼ調査隊』ITmedia Inc.、2016年8月10日。2023年11月25日閲覧。
  13. ^ ルリドラゴン公式▲▲ [@SHINDO_MASAOKI] (2024年2月21日). "【今後の連載に関するおしらせ】". X(旧Twitter)より2024年2月23日閲覧
  14. ^ “「ルリドラゴン」3月4日発売のジャンプで連載再開”. コミックナタリー (ナターシャ). (2024年2月21日). https://natalie.mu/comic/news/561947 2024年2月21日閲覧。 
  15. ^ a b c d e 【ジャンプ漫画】(cv:小見川千明)ツノの生えた女子高生!ある日発覚した父の正体はドラゴンだった!?『ルリドラゴン』完全版【ボイスコミック】”. YouTube (2022年2月23日). 2022年10月3日閲覧。
  16. ^ a b 小見川千明さん・名塚佳織さん出演! 『ルリドラゴン』1〜3話のボイスコミックをジャンプチャンネルにて公開!』(プレスリリース)小学館集英社プロダクション、2022年9月29日https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000695.000002610.html2022年10月3日閲覧 
  17. ^ “『ルリドラゴン』第1話ボイスコミック前編がジャンプチャンネルにて公開。ツノがはえたドラゴンJK・青木ルリ(小見川千明)のゆるゆるな日常を描く”. ファミ通.com (KADOKAWA). (2022年9月29日). https://www.famitsu.com/news/202209/29277634.html 2022年10月3日閲覧。 
  18. ^ a b c d 眞藤雅興『ルリドラゴン』 1巻、集英社〈ジャンプ コミックス〉、2022年10月4日。ISBN 978-4-08-883285-2 
  19. ^ Salvatore, Brian (2022年6月15日). “This Week in Shonen Jump: Week of 6/12/22”. Multiversity Comics. 2022年10月3日閲覧。
  20. ^ Green, Marcel (2023年1月1日). “Best New Manga of 2022”. Screen Rant. 2023年1月5日閲覧。
  21. ^ Blackburn, Steven (2022年6月21日). “Shonen Jump Chose The Wrong Dragon Comedy to Publish”. Screen Rant. 2022年10月3日閲覧。
  22. ^ “【ビブリオエッセー】ツノがあっても優しい関係 「ルリドラゴン」眞藤雅興(集英社ジャンプコミックス)”. 産経ニュース (産業経済新聞社). (2023年2月9日). https://www.sankei.com/article/20230209-MA53PQKTYNK23KMI4IK4LQLJUY/ 2023年2月11日閲覧。 
  23. ^ ルリドラゴン 1/眞藤 雅興”. 集英社. 2022年10月3日閲覧。

外部リンク[編集]