ヨナグニサン

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ヨナグニサン
Attacus atlas-01 (xndr).jpg
ヨナグニサンの雄
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
: ヤママユガ科 Saturniidae
亜科 : ヤママユガ亜科 Saturniinae
: ヨナグニサン属 Attacus
: Attacus atlas
(Linnaeus, 1758)
亜種 : ヨナグニサン
A. a. ryukyuensis
学名
Attacus atlas ryukyuensis
Inoue, 1993
和名
ヨナグニサン(与那国蚕)
参考:Attacus atlasの雌個体

ヨナグニサン(与那国蚕、学名Attacus atlas ryukyuensis)は、鱗翅目ヤママユガ科に分類されるの一種。前翅長は130mm-140mmほどで、日本最大のガとして知られている。

特徴[編集]

分布[編集]

本亜種は、日本の沖縄県八重山諸島石垣島西表島及び与那国島)にのみ分布する。与那国島で初めて発見されたことから「ヨナグニサン」という和名が付けられた。

ヨーロッパ諸語では、その体系が巨大であることから、ギリシア神話巨人アトラースにちなみ、学名Attacus atlas英名のatlas moth(アトラスガ)のように、呼ばれている。中国語では「皇帝の様な蛾」を意味する、皇蛾(拼音:huáng'é)という。

インドから東南アジア中国台湾、日本にかけて幅広く分布し、いくつかの亜種に分けられており、日本が分布の北限にあたる。日本国外の亜種は日本産のA. a. ryukyuensisに比べて、羽の三角模様が少し小さいという特徴を持つ。フィリピン産のカエサルサン、ニューギニアオーストラリア北部のヘラクレスサンはヨナグニサンよりはるかに大型の別種である。

形態[編集]

雄は体長48-51mm、前翅長100-130mm、雌は体長50-53mm、前翅長130-140mmと大型であるが、世界最大のチョウであるアレクサンドラトリバネアゲハよりは小さい。体色は赤褐色を呈し、翅の前縁が黒褐色、内横線は白色である。前翅の先端が鎌状に曲がるのが特徴。口(口吻)を持たず、羽化後は一切食事を取れない。幼虫の頃に蓄えた養分で生きるため、成虫寿命は長くても1週間ほどと短い。

成虫の前羽根先端部には、の頭のような模様が発達し、これを相手に見せて威嚇すると言われているが、定かではない。灯火によく飛来する。

生息環境及び生態[編集]

森林域に生息し、幼虫アカギモクタチバナフカノキカンコノキ類、トベラショウベンノキなどを食草とする。年に3回(4月、7月下旬 - 8月上旬、10月中旬頃)発生する。卵の期間は11から12日、幼虫期は摂氏20度で57日、25度で43日、30度で46日、蛹は24度で28日、30度で46日。熱帯産にもかかわらず、高温で成長が遅い。2齢までの幼虫は2から5頭の群れを作る[1]

天敵カタビロコバチの一種(Eurytema sp.)やコマユバチの一種(Apanteles sp.)がいる。草地にいる幼虫は高確率で寄生される[2]

保護上の位置づけ[編集]

  • 沖縄県指定天然記念物
    • ヨナグニサン - 1985年(昭和60年)3月29日指定(種指定、地域を定めず)
    • 与那国島宇良部岳ヨナグニサン生息地 - 1985年(昭和60年)3月29日指定(地域指定)
  • 準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト
    Status jenv NT.png
  • 沖縄県版レッドデータブック - 絶滅危惧II類

その他[編集]

与那国方言では、「アヤミハビル」と呼ばれる[3]。「アヤミ」とは「模様のある」、「ハビル」とは「蝶」の意味である。

参考文献[編集]

  • 東清二 「巨大蛾ヨナグニサンを守る」、『週刊朝日百科動物たちの地球』78(イラガ・ヨナグニサンほか)、1992年12月20日。
  • 東清二 「ヨナグニサン」 『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(動物編)-レッドデータおきなわ-』、沖縄県文化環境部自然保護課編 、2005年、247-248頁。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 東清二 「巨大蛾ヨナグニサンを守る」3-180頁。
  2. ^ 東清二 「巨大蛾ヨナグニサンを守る」3-180頁。
  3. ^ 「八重山ジャンルごと小事典」p237 崎原 恒新 ボーダーインク、1999年8月1日


外部リンク[編集]