マジンドール

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マジンドール
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
Drugs.com Micromedex Detailed Consumer Information
法的規制
投与経路 Oral
薬物動態データ
生物学的利用能93%
代謝Hepatic
半減期10-13 hours
排泄Renal
識別
CAS番号
22232-71-9 チェック
ATCコード A08AA05 (WHO)
PubChem CID: 4020
IUPHAR/BPS 4797
DrugBank DB00579 チェック
ChemSpider 3880 チェック
UNII C56709M5NH チェック
KEGG D00367  チェック
ChEMBL CHEMBL781 チェック
化学的データ
化学式C16H13ClN2O
分子量284.74 g/mol
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マジンドール (Mazindol) は、食欲抑制薬である。2023 年現在、食欲抑制剤としては日本で唯一承認されており、サノレックスの商品名でノバルティスから販売されていたが、現在は世界での販売は終了しており、日本でも現地法人に当たるノバルティスファーマから富士フイルム富山化学に販売移管されている。

概要[編集]

適応は、食事療法や運動療法の効果が不十分な場合の高度肥満[注釈 1]のみである。また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律における習慣性医薬品に指定される[1]。劇薬である[2]

薬理学的特性は、覚醒剤であるアンフェタミンと類似する。食欲中枢への直接作用と大脳内でのアドレナリンドパミンセロトニン神経細胞による再取り込み抑制という2種類の機序により、消費エネルギー促進とともに食欲を抑制する交感神経作用アミンである。

動物実験による依存性の可能性、および短期間での耐性発現があり、人での依存は明確ではないとされる[2]。中枢神経興奮剤(覚醒剤)の依存は、精神的依存と耐性である[2]診療報酬適応の処方は、3か月が限度である。

禁忌として、薬物依存症の既往、不安、抑うつ、異常興奮または統合失調症などの精神障害のある場合のほか、いくつかの内科的疾患がある[2]

規制[編集]

乱用薬物を規制する国際条約、向精神薬に関する条約において、スケジュールIVの薬物に指定されている[3]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 高度肥満症とは、肥満度が+70%以上あるいはボディマス指数 (BMI) が35以上である。
    肥満度 (%) = (実体重-標準体重)/標準体重×100
    BMI = 体重 (kg) ÷ (身長 (m) × 身長 (m))

出典[編集]

  1. ^ 厚生省『薬事法第50条第9号の規定に基づき習慣性があるものとして厚生労働大臣の指定する医薬品』(プレスリリース)厚生労働省。 オリジナルの2014年3月3日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20140303175757/http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_document.cgi?MODE=hourei&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&EFSNO=627&PAGE=12022年4月21日閲覧 
  2. ^ a b c d ノバルティスファーマ 2013.
  3. ^ 松下正明(総編集) 著「IV 国際向精神薬条約」、編集:牛島定信、小山司、三好功峰、浅井昌弘、倉知正佳、中根允文 編『薬物・アルコール関連障害』中山書店〈臨床精神医学講座8〉、1999年6月、109-123頁。ISBN 978-4521492018 

参考文献[編集]

関連項目[編集]