ファイアーバレー

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ファイアーバレー
Fireballet
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ジャンル プログレッシブ・ロック
活動期間 1971年 - 1976年
レーベル Passport Records
旧メンバー マーティン・ビッグリン
リッチ・シュランダ
ジム・クオモ
ブライアン・ハウ
フランク・ペット

ファイアーバレーFireballet)は、1971年から1976年まで活動していたアメリカプログレッシブ・ロック・バンド。

略歴[編集]

デビュー[編集]

このグループは、1971年にアメリカニュージャージー州北部で、ファイアーボール・キッズ (Fireball Kids)として結成された[1][2]

ファイアーバレーはプログレッシブ・ロックに傾倒し、ジェネシスイエスエマーソン・レイク・アンド・パーマージェントル・ジャイアントなどヨーロッパのその手のグループからインスピレーションを得ている[1][2]

アンブロージアパヴロフス・ドッグカンサススティクスなどのバンドと並んで、「アメリカのプログレッシブ・ロックの歴史における宝石の1つ」[2]となった。

アルバム『はげ山の一夜』[編集]

1975年春にニューヨークのブロードウェイ・レコーディング・スタジオで録音され、パスポート・レコード (Passport Records)からリリースされたファースト・アルバム『はげ山の一夜』は、プログレッシブ・ロックの先駆者であるキング・クリムゾンの元メンバーで後のフォリナー・メンバーであるイアン・マクドナルドによってプロデュースされた。アルバムの数曲でサックスとフルートも演奏している[1][3][4]

『はげ山の一夜』は、アメリカン・プログレッシブ・ロックで最も成功したアルバムの1つで、19分に及ぶ組曲となっているタイトル曲が主軸になった作品である[5][6]

この組曲には、モデスト・ムソルグスキー交響詩禿山の一夜』からの編曲と、クロード・ドビュッシーの『2つの前奏曲集』から「沈める寺」と題されたピアノ前奏曲が組み込まれている。フランク・ペットによる急上昇するシンセサイザー、ブライアン・ハウのオルガン、リッチ・シュランダのギターだけでなく、アルバムをプロデュースし、サックスとフルートを演奏したイアン・マクドナルド(元キング・クリムゾン、マクドナルド・アンド・ジャイルズ、フォリナー)によるサックス・ソロもフィーチャーされている[3]

このアルバムは、2007年のBillboard 200で151位に達した[7]

アルバム『ツー・ツー』[編集]

『はげ山の一夜』によってヒットが約束された後、翌年にリリースされた2枚目のアルバム『ツー・ツー』は、バレリーナに扮したバンド・メンバーを写した面白いカバー写真にもかかわらず、あまり受け入れられなかった[1][8]

非常に残念なことに、このアルバムはファイアーバレーにとっての白鳥の歌(最後の傑作)となった[2]。売り上げはレコード会社であるパスポート・レコードの期待を下回っており、バンドはすぐに解散し[1]、実際の利益はほとんど出なかった。

ファイアーバレーのその後[編集]

2008年に、『Fireballet』と呼ばれるコンピレーション・アルバムが小さなインディーズ・レーベルからリリースされた。「Carrollon」「Atmospheres」、そして長編の「Night On Bald Mountain」という3曲のみが収録されている。

ドラマーでパーカッショニストのジム・クオモは、1982年から2009年の間に4枚のソロ・アルバムをリリースしたが、売れ行きはよくなかった。

2019年、ギタリストのリッチ・シュランダは、アルバム『The Other Side』でイギリスのプログレッシブ・ロック・バンド、ネクターと共演した。

メンバー[編集]

このグループには5人のミュージシャンが在籍している[2][9][10]

  • ジム・クオモ (Jim Cuomo) - ボーカル、ドラム、パーカッション、ティンパニ、ヴィブラフォン、木琴、グロッケンシュピール、ゴング、シンバル、チューブラーベル、トライアングル、ポリムーグ
  • ブライアン・ハウ (Brian Hough) - ハモンドオルガン、シンセサイザー、ミニモーグ、サクソフォーン、ボーカル
  • リッチ・シュランダ (Ryche Chlanda) - アコースティックギター、エレクトリックギター、マンドリン、古筝、ボーカル
  • フランク・ペット (Frank Petto) - ピアノ、エレクトリックピアノ、アープ2600、メロトロン、オーバーハイムDS-2・デジタル・シーケンサー、ポリモーグ、アコーディオン、ボーカル
  • マーティン・"スパイク"・ビッグリン (Martyn "Spike" Biglin) - ベース、12弦ギター

ディスコグラフィ[編集]

スタジオ・アルバム[編集]

  • 『はげ山の一夜』 - Night On Bald Mountain (1975年、Passport)
  • 『ツー・ツー』 - Two, Too... (1976年、Passport)

コンピレーション・アルバム[編集]

  • Fireballet (2008年) ※EP

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e Paul Collins. “Fireballet - Biography by Paul Collins” (英語). allmusic.com. 2021年3月27日閲覧。
  2. ^ a b c d e Erik Neuteboom. “Fireballet” (英語). 'Prog Archives'. 2018年4月13日閲覧。
  3. ^ a b Paul Collins. “Fireballet - Night on Bald Mountain” (英語). allmusic.com. 2021年3月27日閲覧。
  4. ^ Bruce Eder. “Ian McDonald biography by Bruce Eder” (英語). allmusic.com. 2021年3月27日閲覧。
  5. ^ Will Romano (2014) (英語), Prog Rock FAQ : All That's Left to Know About Rock's Most Progressive, pp. 400, ISBN 978-1-61713-620-7 
  6. ^ Fireballet - Two, Too ... review” (ドイツ語). 2018年4月13日閲覧。
  7. ^ Joel Whitburn (2007) (英語), The Billboard Albums : Includes Every Album That Made the Billboard 200 Chart, pp. 1433, ISBN 978-0-89820-166-6 
  8. ^ Fireballet” (ドイツ語). 'Babyblaue Seiten'. 2022年3月8日閲覧。
  9. ^ Night on Bald Mountain” (英語). 'Prog Archives'. 2021年3月27日閲覧。
  10. ^ Fireballet - Night on Bald Mountain” (ドイツ語). 'Babyblaue Seiten'. 2022年3月8日閲覧。

外部リンク[編集]