パンジャンドラム

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デヴォン州ウェストワード・ホー!の砂浜で開発試験中のパンジャンドラム(1943年11月12日)

パンジャンドラム(Panjandrum、The Great Panjandrum)とは、第二次世界大戦中にイギリス軍で開発が行われていたロケット推進式の陸上爆雷である。

構想[編集]

1943年イギリスを含む連合国は大陸反攻のため、フランスノルマンディー海岸への上陸作戦を計画していたが、同地の海岸地帯にはドイツ軍によって大西洋の壁と呼ばれるコンクリート製の防護陣地が構築されており、これが上陸作戦時の大きな障壁の一つとなっていた。

そこで、上陸用舟艇から射出して防護壁まで自走させ、これを破壊する自走爆雷が考案された。「パンジャンドラム」の名称は開発に参加した海軍中尉小説家ネビル・シュートが、サミュエル・フットの詩『偉大なパンジャンドラム(The Great Panjandrum、「お偉方」の意)』から引用して命名している。

構造[編集]

Grand Panjandrum IWM FLM 1627.jpg

約1.8トンの炸薬を詰めた本体を直径3mの車輪で挿んだボビン状の構造。車輪のリムに装着された多数の固形燃料ロケットモーターを一斉に噴射させることによって車輪を回転させて走行する。つまりロケットによって直接推進力を発生させるのではなく、あくまでも車輪と地面との摩擦抵抗によって前進する。これは海岸の砂地のような場所では、車輪がただ空回りする事になるのは自明の構造であり、根本的な欠陥であった。

また簡易化のため方向を安定させるジャイロスコープなどは一切装備されておらず、これも後に致命的な問題となった。

開発経過[編集]

実験に失敗し横転したパンジャンドラム(1944年1月)

計画では上陸用舟艇から発進、ロケットモーターによって車輪を高速回転させ、無誘導・時速100km/h以上で目標に突進させる予定であった。

だが実験の結果、砂浜での摩擦や凹凸により空転したり、急に予測不能な向きへ方向転換、ロケットが脱落するなどの問題が多発して開発は難航、直進すら叶わず不成功に終わった。安定性を増すために本体を大型化、トルクを増すためにロケットモーターを増強・脱落防止のため補強するなど、幾多の改良を行いながら実験は繰り返されたが、根本的な構造上の問題や、当時の技術的限界もあって問題点を解決できず、開発は中止された。

標的に衝突させるのではなく、戦車などの車両が海から砂浜に上陸する際に、車輪無限軌道が砂に嵌るのを防止する目的で、先に軌跡でカーペットを敷設させるために用いるという案も出されたが、前述の理由により実現されなかった。なお、後にチャーチル歩兵戦車を改造した工兵用作業車のバリエーションの一つとしてこの役割を担うものが登場している。

参考文献[編集]

  • 廣田厚司『パンジャンドラム』歴史群像2005年12月号No.74、p92-p97

関連項目[編集]