ネマト・シャフィク

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ネマト・シャフィク（Nemat Shafik）
大英帝国勲章（DBE）
コロンビア大学第20代学長
就任
2023年7月1日
イングランド銀行副総裁（英語版）
任期
2014年8月1日 – 2017年2月28日
後任者シャーロット・ホッグ（英語版）
個人情報
生誕ネマト・タラアト・シャフィク（Nemat Talaat Shafik）
(1962-02-05) 1962年2月5日（62歳）
アレクサンドリア（エジプト）
国籍エジプト系イギリス/アメリカ人
出身校カイロ・アメリカン大学（英語版）
マサチューセッツ大学アマースト校
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス
セント・アントニーズ・カレッジ（オックスフォード大学）

デイム・ネマト・タラアト・シャフィク（Dame Nemat Talaat Shafik、アラビア語: نعمت شفيق、ミノーシュ・シャフィク、Minouche Shafikとも。1962年2月5日 - ）はエジプト出身でイギリスとアメリカの国籍を持つ経済学者[1]。

オックスフォード大学で博士号取得[2]。開発経済が専門で、世界銀行副総裁・イングランド銀行副総裁（英語版）やロンドン・スクール・オブ・エコノミクス（LSE)学長などを経て[3][4]、2023年7月からニューヨークのコロンビア大学学長を務める[5]。

若年期[編集]

シャフィクは1962年にエジプトのアレクサンドリアで生まれた。シャフィクの家族は彼女が4歳の時エジプトを出た[6]。彼女は子供時代をアメリカ合衆国で過ごし、後にエジプトに戻ってシュッツ・アメリカ人学校（Schutz American School）を卒業した[7][8]。カイロ・アメリカン大学（英語版）で1年間過ごした後、マサチューセッツ大学アマースト校に進学し、経済学と政治学の学士（B.A.）を修了した[9]。

カイロにあるアメリカ国際開発庁（U.S. Agency for International Development）のオフィスで、2年間エジプトの開発問題に取り組んだ後、1986年にロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの経済学の修士（MSc）を修了し、続いて1989年にセント・アントニーズ・カレッジ（オックスフォード大学）の経済学のDPhilを取得した[9][10][11]。

経歴[編集]

シャフィクはオックスフォード大学を出た後世界銀行に入行した。彼女はまず調査部門でのグローバル経済のモデル化と予想に従事し、その後は環境問題に取り組むなど、様々な役割を果たした。彼女は体制変更の最中の東ヨーロッパにおけるマクロ経済業務に従事し、中東では地域経済の将来、平和の経済学（the economics of peace）、労働市場、地域統合、ジェンダーの問題についての数多くの本と記事を出版した[12]。

シャフィクは36歳で史上最年少の世界銀行副総裁（Vice President）に就任した[13][14]。

彼女は当初イギリス政府の国際開発省（DFID）にGeneral for Country Programmesの理事（Director）として出向した。彼女はそこでDFIDの全ての海外拠点と、アフリカ、中東、アジア、ラテンアメリカ、そして東ヨーロッパへの融資を担当した。2008年にはDFIDの事務次官に任命され、100以上の国との二国間援助計画、多国間政策、国連、ヨーロッパ連合（EU）、国際金融機関のための資金調達、そして全体的な開発政策と研究を管理した－2011年から2014年にかけて、2,400名のスタッフと380億ポンド（約600億米ドル）の予算を担当している。彼女の在任中、DFIDはOECDの独立したピア・レビューによって「開発において国際的に認められたリーダー（a recognised international leader in development）」と記述された[15]。

経済学者としての訓練を受けたことで、彼女は数多くの国際的組織で主要職を歴任している。彼女はまたグローバル化、新興市場と民間融資、国際的な開発、中東とアフリカの将来、そして環境問題など広範な話題について論述、教育、そして出版を行っている[16]。

シャフィクは2008年3月から2011年3月までイギリス国際開発省事務次官を務め、その後国際通貨基金（IMF）の副専務理事（Deputy Managing Director）となった[17]。

彼女はイングランド銀行にMarkets and Banking部門の初代副総裁（英語版）として、また同行の金融政策委員会の委員として2014年4月1日から参加し[18][19]、2017年2月に辞任した[20]。2017年9月から社会学者クレイグ・キャルフーン（英語版）の後任としてロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの学長をつとめた[21]。2023年7月以降、ニューヨークでコロンビア大学第20代学長[5]。

学問的業績[編集]

バラク・オバマおよびクリスティーヌ・ラガルドとシャフィク（右端）。

シャフィクはペンシルヴァニア大学のウォートン・スクールとジョージタウン大学で学術的な役職を保持している。彼女は『Prospects for the Middle East and North African Economies: from Boom to Bust and Back?』、『Challenges Facing Middle Eastern and North African Countries: Alternative Futures, and Reviving Private Investment in Developing Countries』など、多数の本を執筆・編集・共著した。

また『Oxford Economic Papers[22]』『Colombia Journal of World Business』『The Middle East Journal（英語版）』『Journal of African Finance and Economic Development』『World Development（英語版）』そして『Journal of Development Economics（英語版）』などのような多くの出版物に記事を寄稿した。また、他の開発機関の首脳部とともにブログ（Ideas4development.org.）を執筆している[23]。

理事会での活動と慈善活動[編集]

デイム・ネマト・シャフィクは現在、国際通貨基金（IMF）の中東諮問機関[24]、アラブ世界・イラン・トルコの経済研究フォーラム[25]を含む複数の機関の理事を務めている。また、理事として活発に活動すると共に、少数民族のグループが官公庁で上級の地位に昇ることを支援するthe Minority Ethnic Talent Association（META）で指導者（mentor）として活動している[26]。

彼女はthe Consultative Group to Assist the Poor（CGAP）、the Energy Sector Management Assistance Programme（ESMAP）[27]、the Global Water and Sanitation Program（GWSP）[28]、Cities Alliance[29]、InfoDev[30] the Public-Private Infrastructure Advisory Facility,[31]、the Public-Private Infrastructure Advisory Facility（PPIAF）[32]、そしてthe Global Corporate Governance Forum（GCGF）[33]など、複数の国際諮問機関で議長を務めている。また、Infrastructure Consortium for Africa（英語版）の設立に貢献した[34]。

受賞[編集]

2009年、シャフィクはアジアのメディアとマーケティンググループが運営する第11回年次GG2 Leadership & Diversity Awardsにおいて「GG2 Woman of the Year」に選出された[35]。シャフィクは2015年の女王誕生記念叙勲（英語版）において大英帝国勲章（DBE）のデイム・コマンダー（英語版）を受勲された[36]。

個人として[編集]

シャフィクには2番目の夫ラファエル・ヨーヴィネ（Raffael Jovine）との間に双子の子供と3人の継子がいる[36]。彼女は英語・アラビア語・フランス語を解する[14]。そしてアメリカとイギリスの国籍を所持している[37]。

脚注[編集]

  1. ^ Dudman, Jane (2013年4月11日). “Nemat Shafik: Global Public Leaders Series keynote speaker”. the Guardian. 2018年1月19日閲覧。
  2. ^ Bray, Chad (2016年9月12日). “Deputy Governor of Bank of England to Lead London School of Economics”. The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2016/09/13/business/dealbook/lse-bank-england-nemat-shafik.html 2017年3月9日閲覧。 
  3. ^ Chan, Szu Ping; Quinn, James (2016年9月12日). “Bank of England deputy Governor Minouche Shafik quits after just two years” (英語). The Daily Telegraph. https://www.telegraph.co.uk/business/2016/09/12/bank-of-england-deputy-governor-minouche-shafik-quits-after-just/ 2017年3月9日閲覧。 
  4. ^ “LSE appoints Deputy Governor of Bank of England as new Director”. LSE Website. 2016年9月12日閲覧。
  5. ^ a b “About President Minouche Shafik | Office of the President”. president.columbia.edu. 2024年4月22日閲覧。
  6. ^ Sherwin, Adam (2015年5月26日). “Meet the woman who is more powerful than J.K Rowling and Kate Middleton” (英語). The Independent. https://www.independent.co.uk/news/people/nemat-shafik-deputy-governor-of-bank-of-england-becomes-highest-new-uk-entry-in-forbes-magazines-10276796.html 2017年3月9日閲覧。 
  7. ^ “Schutz Alumni to run the London School of Economics”. Schutz American School Alumni Association (2016年12月5日). 2018年2月25日閲覧。
  8. ^ “Nemat Shafik: A Local Heart with a Golden Mind”. Thegate-schutz.blogspot.com. 2012年1月6日閲覧。
  9. ^ a b “LSE appoints Deputy Governor of Bank of England as new Director”. The London School of Economics and Political Science (2016年9月12日). 2018年2月25日閲覧。
  10. ^ “Antonian appointed next Director of the LSE”. St Antony's College, University of Oxford (2016年9月12日). 2018年2月25日閲覧。
  11. ^ Nemat, Shafik (1989). “Private investment and public policy in Egypt, 1960-1986” (英語). Oxford Research Archive (University of Oxford). https://ora.ox.ac.uk/objects/uuid:d3c6cec8-2027-4952-95ff-bead802bd8ef. 
  12. ^ “Nemat Shafik [profile]”. International Monetary Fund (2013年12月13日). 2014年3月18日閲覧。
  13. ^ “Conversations with History: Nemat Shafik”. Globetrotter.berkeley.edu. 2012年1月6日閲覧。
  14. ^ a b “Deputy Managing Director, IMF”. The World Bank (2011年4月11日). 2018年2月25日閲覧。
  15. ^ “United Kingdom (2010) DAC Peer Review – Main Findings and Recommendations”. Oecd.org. 2012年1月6日閲覧。
  16. ^ “PBS Interview of Nemat Shafik”. Pbs.org. 2012年1月6日閲覧。
  17. ^ “Nemat Shafik biodata”. Imf.org. 2012年1月6日閲覧。
  18. ^ “Bank of England sees new deputy governors in shake-up”. BBC News (2014年3月18日). 2014年3月18日閲覧。
  19. ^ Editor, LSE Web. “LSE appoints Deputy Governor of Bank of England as new Director - 09 - 2016 - News archives - News and media - Website archive - Home” (英語). www.lse.ac.uk. 2017年3月9日閲覧。
  20. ^ “Bank of England deputy governor quits after two years”. https://www.theguardian.com/business/2016/sep/12/bank-of-england-deputy-governor-quits-nemat-minouche-shafik-london-school-economics 
  21. ^ http://www.lse.ac.uk/about-lse/meet-the-director
  22. ^ Shafik, N. (1994). “Economic development and environmental quality: an econometric analysis”. Oxford Economic Papers: 757–773. doi:10.1093/oep/46.Supplement_1.757. 
  23. ^ “Ideas 4 Development blogsite”. Ideas4development.org. 2012年1月6日閲覧。
  24. ^ “International Monetary Fund website”. Imf.org (2010年4月26日). 2012年1月6日閲覧。
  25. ^ “Economic Research Forum website”. Erf.org. 2012年1月6日閲覧。
  26. ^ “Civil Service Live Network Article – A working partnership”. Network.civilservicelive.com (2009年4月7日). 2012年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月6日閲覧。
  27. ^ Staff. “Energy Sector Management Assistance Program website”. Esmap.org. 2012年1月6日閲覧。
  28. ^ “Water and Sanitation Program website”. Wsp.org. 2012年1月6日閲覧。
  29. ^ “The Cities Alliance website”. Citiesalliance.org. 2012年1月6日閲覧。
  30. ^ “infoDev website”. Infodev.org. 2012年1月6日閲覧。
  31. ^ “Public-Private Infrastructure Advisory Facility (PPIAF) website”. PPIAF.org. 2012年1月6日閲覧。
  32. ^ “Public-Private Infrastructure Advisory Facility (PPIAF) website”. PPIAF.org. 2012年1月6日閲覧。
  33. ^ “Global Corporate Governance Forum website”. Gcgf.org. 2012年1月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年1月6日閲覧。
  34. ^ “Infrastructure Consortium for Africa website”. Icafrica.org. 2012年1月6日閲覧。
  35. ^ “GG2 Leadership and Diversity Awards”. 2016年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年10月閲覧。
  36. ^ a b Ashton, James (2015年6月22日). “Bank of England's Minouche Shafik: ‘We want to make life difficult for the bad apples in banking’”. Evening Standard. https://www.standard.co.uk/lifestyle/london-life/bank-of-englands-minouche-shafik-we-want-to-make-life-difficult-for-the-bad-apples-in-banking-10336611.html 
  37. ^ Profile, TheGuardian.com; accessed 13 April 2016.

出典[編集]

外部リンク[編集]


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