テアニン
| IUPAC命名法による物質名 | |
|---|---|
| 2-Amino-4-(ethylcarbamoyl)butyric acid | |
| 臨床データ | |
| 胎児危険度分類 | ? |
| 法的規制 | legal |
| 投与方法 | oral |
| 識別 | |
| CAS登録番号 | 3081-61-6 |
| ATCコード | None |
| PubChem | CID 439378 |
| ChemSpider | 388498 |
| KEGG | C01047 |
| 別名 | L-theanine, N-ethyl-L-glutamine γ-グルタミルエチルアミド, γ-(エチルアミド) L-グルタミン酸 |
| 化学的データ | |
| 化学式 | C7H14N2O3 |
| 分子量 | 174.20 g/mol |
| SMILES | eMolecules & PubChem |
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| 物理的データ | |
| 融点 | 117 °C (243 °F) |
テアニン(L-Theanine)は、茶に多量に含まれるアミノ酸の一種でグルタミン酸の誘導体。
植物の中でもチャノキ(Camellia sinensis)とそのごく近縁種、そしてニセイロガワリ(Boletus badius)にしか見つかっていないアミノ酸であり[1]、茶の旨味成分の一つである。テアニンは乾燥茶葉中に1~2%含まれ、特に上級なお茶に多く含まれている。また、テアニンは茶の等級に関わらず、全遊離アミノ酸の約半量を占めている。
1950年に玉露から分離精製され構造が明らかになり、日本では1964年7月に食品添加物として指定された。テアニンはお茶に含まれるアミノ酸であることから、茶の旧学名”Thea sinensis”にちなんで“Theanine(テアニン)”と命名されたといわれている。
テアニンは茶葉が含有する窒素の過半を占めており、チャノキが、吸収したアンモニア態窒素を植物体にとって安全な形態にして、蓄積するために合成している物質と考えられている。茶に施用される肥料成分のうちアンモニア態窒素は、土壌中で酸化されて硝酸に変化するのだが、それが起こりにくいよう覆いをかぶせることによってテアニン含量の高い茶を作ることが出来る(例・玉露、碾茶、抹茶)。
目次 |
[編集] 生理効果
テアニンは臨床試験において、様々な効果が確認されている。
テアニンを摂取することにより、リラックスの指標であるα波の発生が30-40分後に確認されている。50mg摂取では不安傾向の低い人に、200mg摂取では不安傾向の高い人においてもリラックス効果が認められている[2]。
抗ストレスについても同様に効果が確認されている。人にクレペリン型暗算課題でストレスをかけ、ストレス負荷により変動する心拍数、唾液中の免疫グロブリンA、主観的ストレス感をみたところ、テアニン摂取でストレスの抑制が認められている[3]。
睡眠に関しては、テアニン摂取により睡眠の質の改善が報告されている。中途覚醒の減少が認められたほか、被験者へのアンケートにより起床時の爽快感、熟眠感、疲労回復感の改善が認められている[4]。
月経前症候群(PMS)に関しては、PMS時のイライラ、憂鬱、集中力の低下等の精神的症状を改善することが報告されている[5]。 その他にもカフェイン拮抗作用、血圧降下作用、記憶学習能力の向上、制癌剤の増強効果、脳血管障害に対する効果などが報告されている。
テアニンは、血液脳関門を通過でき[6]、精神に影響を与える作用がある[7]。また精神や肉体的ストレスを減少させ、カフェインとの相乗効果もあいまって認知活動や気分の改善もみられる[8]。
構造的にはグルタミン酸(興奮性の神経伝達物質)と関係はあるものの、テアニンのシナプス後部細胞のグルタミン酸レセプタとの親和性は低い。むしろ主な効果は抑制神経伝達物質のGABAを増加させているように見受けられる[9]。
テアニンはまた脳内のドーパミンレベルを上昇させ、グルタミン酸レセプタ(AMPA型NDMA型)、カイニン酸レセプタへのマイクロモル親和力をあげる[10]。
セロトニンにかかわる影響は、学者の中でも議論となっている。同様な実験法を用いるにもかかわらず、研究によって脳内で増加を示したり、減少を示すからである[6][11][12]。高血圧マウスを用いて注射した研究では、著しく5-ヒドロキシインドール類(セロトニンの分解物)を低下していたことが明らかになった[13]。
研究者は、テアニンがグルタミン酸の興奮毒性を防ぐかもしれないとも予測している[10]。また、テアニンは脳内のアルファ波の生成を促進する[7]。
ラットの研究を通じて、非常に高濃度テアニンを繰り返し使用しても心身ともに無害であることが明らかにされている[14]。
[編集] 利用
ガムやキャンディーなどの菓子類、ゼリー、アイスクリーム、ヨーグルトなどの冷菓、清涼飲料水やニアウォーターなどの飲料、およびサプリメントや美容食品などに応用されている。また、テアニンは緑茶の呈味改善剤として使用されているが、緑茶以外の様々な食品の苦味やえぐ味も抑えるので、風味の改善に用いられている。
[編集] サプリメント利用
日本国外の飲料メーカーではテアニンを含む飲料を販売しているが、その宣伝は精神集中を助けると謳うもの、リラックス・鎮静を謳うもの、まちまちである。
日本国外のサプリメントとしてのL−テアニン原料として、日本の太陽化学[15]の製造しているサンテアニンがよく用いられる。原料表示にL-Theanine (Suntheanine) と記載されていることが多い[16]。
[編集] 脚注
- ^ Casimir J, Jadot J, Renard M (1960). “Séparation et caractérisation de la N-éthyl-γ-glutamine à partir de Xerocomus badius”. Biochim. Biophys. Acta 39: 462–468. doi:10.1016/0006-3002(60)90199-2. PMID 13808157.
- ^ 小林加奈理, 長戸有希子, L.R.ジュネジャ, 金武祚, 山本武彦, 杉本助男「L-テアニンのヒ トの脳波に及ぼす影響」、『日本農芸化学会誌』第72巻第2号、1998年、 19-23頁。
- ^ Kimura K, Ozeki M, Juneja LR, Ohira H (2007). “L-Theanine reduces psychological and physiological stress responses”. Biol. Psychol. 74 (1): 39-45. doi:10.1016/j.biopsycho.2006.06.006. PMID 16930802.
- ^ 小関誠, L.R.ジュネジャ, 白川修一郎「アクチグラフを用いたL-テアニンの睡眠改善効 果の検討」、『日本生理人類学会誌』第9巻第4号、2004年、 143-150頁、 NAID 110002510948。
- ^ 上田智子, 小関誠, 大久保勉, 朱政治, L.R.ジュネジャ, 横越英彦, 松本清一「PMSと健康食品: L-テアニンの月経前症候群改善効果に関する研究」、『女性心身医学』第6巻第2号、2001年、 234-239頁、 NAID 110004012542。
- ^ a b Yokogoshi H, Kobayashi M, Mochizuki M, Terashima T (1998). “Effect of theanine, r-glutamylethylamide, on brain monoamines and striatal dopamine release in conscious rats”. Neurochem. Res. 23 (5): 667–73. doi:10.1023/A:1022490806093. PMID 9566605.
- ^ a b Gomez-Ramirez M; Higgins, BA; Rycroft, JA; Owen, GN; Mahoney, J; Shpaner, M; Foxe, JJ (2007). “The Deployment of Intersensory Selective Attention: A High-density Electrical Mapping Study of the Effects of Theanine”. Clin. Neuropharmacol. 30 (1): 25–38. doi:10.1097/01.WNF.0000240940.13876.17. PMID 17272967.
- ^ Haskell CF, Kennedy DO, Milne AL, Wesnes KA, Scholey AB (2008). “The effects of L-theanine, caffeine and their combination on cognition and mood”. Biol. Psychol. 77 (2): 113–22. doi:10.1016/j.biopsycho.2007.09.008. PMID 18006208.
- ^ Kakuda T, Nozawa A, Sugimoto A, Niino H (2002). “Inhibition by theanine of binding of [3H]AMPA, [3H]kainate, and [3H]MDL 105,519 to glutamate receptors”. Biosci. Biotechnol. Biochem. 66 (12): 2683-2686. doi:10.1271/bbb.66.2683. PMID 12596867.
- ^ a b Nathan P, Lu K, Gray M, Oliver C (2006). “The neuropharmacology of L-theanine(N-ethyl-L-glutamine): a possible neuroprotective and cognitive enhancing agent”. J. Herb. Pharmacother. 6 (2): 21–30. doi:10.1300/J157v06n02_02. PMID 17182482.
- ^ Yokogoshi H, Mochizuki M, Saitoh K (1998). “Theanine-induced reduction of brain serotonin concentration in rats”. Biosci. Biotechnol. Biochem. 62 (4): 816-817. doi:10.1271/bbb.62.816. PMID 9614715.
- ^ Yokogoshi H, Kobayashi M, Mochizuki M, Terashima T. Effect of theanine, γ-glutamylethylamide, on brain monoamines and striatal dopamine release in conscious rats. Neurochem Res. 1998;23(5):667-73.
- ^ Yokogoshi H, Kato Y, Sagesaka YM, Takihara-Matsuura T, Kakuda T, Takeuchi N (1995). “Reduction effect of theanine on blood pressure and brain 5-hydroxyindoles in spontaneously hypertensive rats”. Biosci. Biotechnol. Biochem. 59 (4): 615–618. doi:10.1271/bbb.59.615. PMID 7539642.
- ^ Borzelleca J, Peters D, Hall W (2006). “A 13-week dietary toxicity and toxicokinetic study with L-theanine in rats”. Food Chem Toxicol 44 (7): 1158–66. doi:10.1016/j.fct.2006.03.014. PMID 16759779.
- ^ “太陽化学株式会社”. 2011年2月10日閲覧。
- ^ Taiyo International. “Suntheanine Buyer's Guide”. 2011年2月10日閲覧。