エバークエスト
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
エバークエスト(EverQuest)は、Sony Online Entertainment(SOE)により1999年3月に米国でサービスを開始したWindows用MMORPGである。(現在はMac用もあり。ただしサーバはWindows用サーバとは別でMac専用サーバへ接続となる。)続編としてエバークエスト2も存在する。1の世界を舞台にした公式小説の邦訳版「エバークエスト 連合帝国(combine empire)の興亡」はアスキー・メディアワークスから2008年4月25日に発売。
目次 |
[編集] 概要
ゲームは基本的に1人称視点 (他の視点も存在するが) の3D世界の中で進行し、プレイヤーは「Norrath(※)」と呼ばれる世界の冒険者として活動を行う事になる。同時期のMMORPGであるウルティマオンラインなどと比較して、本作は探検や戦闘に重きのおかれたゲームデザインとなっている。
EverQuestはトールキンの指輪物語に影響を受けつつも、歴史、文化、宗教、物語等、世界観を築くための膨大な資料を作り上げているところに大きな特徴がある。
そういった設定は歴史書や手記、語り継がれる伝説、土地や建築物に冠された名称、種族の生い立ちや種族間の対立といった形でNorrathを彩っている。特に後述するFactionシステムはNorrathの歴史に基づいて細かく設定されている。
[編集] ゲーム内容
プレイヤーはほんの少しの持ち物と共に、自分のキャラクターの種族の街に一人投げ出されるところからゲームが始まる。プレイヤーは比較的安全な場所で少しずつ経験を積み、ある程度力を蓄えて少しずつ未知の土地に踏み出してゆく。
本作におけるプレイフィールドは、ゾーンと呼ばれる。ゾーンには出現するモンスターの強さによって、低いLV向けのゾーンから、高いLVのプレイヤーが数十人で攻略する(Raid)プレイ向けのゾーンまで、様々なバリエーションが存在する。基本的にはプレイヤーは主に6名からなるグループを組み、それぞれの能力をあわせて敵と対峙していくことになる。また、クラス、信仰、種族によって、様々なクエストが存在し、そうしたクエストを達成していくことも本作品の大きな楽しみ方のひとつである。
[編集] 種族:Race
15種類の種族が存在し、種族によって冒険を開始する都市/選択可能な信仰/クラスに違いがある。各種族はGood(善)/Neutral(中立)/Evil(悪)の属性を生まれつき持っており、どの属性なのかはその種族がどの神によって生み出されたかや歴史背景による。この属性はFaction(派閥)に大きく影響する(Factionについては後述する)。
- Good種族
- ハイエルフ(HIE)
- ドワーフ(DWF)
- ハーフリング(HFL)
- フロッグロック(FRG)(expansion:The Legacy of Ykeshaで追加)
- Neutral種族
- ヒューマン(HUM)
- エルダイト(ERU)
- ノーム(GNM)
- バーバリアン(BAR)
- ウッドエルフ(ELF)
- ハーフエルフ(HEF)
- バー・シアー(VAH)(expansion:The Shadows of Luclinで追加)
- ドラッキン(DRK)(expansion:The Serpent's Spineで追加)
- Evil種族
- イクサー(IKS) (expansion:The Ruins of Kunarkで追加)
- オーガ(OGR)
- トロール(TRL)
- ダークエルフ(DEF)
[編集] クラス:Class
16種類のクラスが存在する。 クラスにも属性が存在し、選んだクラスによって信仰が限定される上にFactionにも影響する。
- Goodクラス
- パラディン(PAL)
- ドルイド(DRU)
- レンジャー(RNG)
- Neutralクラス
- ウォーリアー(WAR)
- モンク(MNK)
- ローグ(ROG)
- バーサーカー(BER)(expansion:Gates of Discordで追加)
- ビーストロード(BST)(expansion:The Shadows of Luclinで追加)
- バード(BRD)
- クレリック(CLR)
- シャーマン(SHM)
- マジシャン(MAG)
- エンチャンター(ENC)
- ウィザード(WIZ)
- Evilクラス
- シャドウナイト(SHD)
- ネクロマンサー(NEC)
[編集] 信仰:Deity
[編集] 派閥/集団:Faction システム
Factionとは派閥・党派心を意味する言葉である。EverQuestに登場する全てのキャラクターはほぼ例外なく大小様々な派閥/集団に属しており、派閥/集団間にはNorrathの歴史に基づいた複雑な関係が設定されている。それら派閥/集団とプレイヤーとの関わりを体系化したものがFactionシステムである。
プレイヤーには派閥/集団との関係をどのように扱っていくかの自由が与えられている。親睦を深めることもできれば、逆にその関係を捨て去ることもできるし、あるいは新天地において新たな関係を見つけることもできる。Norrathに生きる1人の人物として、世界とどう関わっていくかを考えながら冒険できるというのがこのシステムの醍醐味であろう。
[編集] 派閥/集団
種族・信仰という枠の大きなもの、同一種族内での思想・主従関係による小さなもの、都市の衛兵団といった地域に限定されたものなど、極めて膨大な数が存在する。前述のように派閥/集団間にはお互いがどんな関係であるかが設定されているが、もっともわかりやすい関係はGoodとEvilの関係である。善の神によって生み出された種族は悪の神に生み出された種族と相容れない関係にあるし、善の神を信仰するものは悪の神を信仰するものと相容れないという具合である。
[編集] 友好度
プレイヤーの立場は種族属性/クラス属性/信仰属性によって決定され、それによって他の派閥/集団との関係(友好度)の初期値が決定される。選択内容次第で友好的関係から完全な敵対関係にまで変動する。
-
- ※参考※ Factionシステムにおける友好度の段階:allyが最高でready to attackが最低。
- ally (1100)
- warmly (700 ~ 1099)
- kindly (500 ~ 699)
- amiably (100 ~ 499)
- indiffrently (0 ~ 99)
- apprehensibly (-100 ~ -1)
- doubiosly (-500 ~ -101)
- threatenigly (-800 ~ -5)
- ready to attack (-1100 ~ -801)
- ※参考※ Factionシステムにおける友好度の段階:allyが最高でready to attackが最低。
種族/クラス/信仰、全てにおいてEvil属性を選択した場合、そのプレイヤーは多くの派閥/集団との関係が最悪の状態から始まることになり、これはまさに茨の道となる。なぜかというとGood属性の勢力はその数自体が多く、Norrathの様々な場所に拠点を有しているのに対して、Evil属性の勢力は比較的少数であり拠点とし得る場所も少ないからだ。自分にとって友好的な相手が少ないということは、冒険を進める上で大きな障害となる。
例えば友好度の低い種族の町を訪ねた場合、話し掛けても罵詈雑言を浴びせられたり、商人に取引を拒否されたりしてしまう。友好度が最低であれば町を守る衛兵の視界に入った途端襲い掛かられてしまい、町の中に入ることすら叶わない。逆に友好度が高ければ、取引で多少の優遇を受けることが出来たり、特別なクエストを依頼されたりする。そのため友好度はプレイを進める上で非常に大きい影響を与える重要なポイントなのである。
初期の友好度はどうであれ、プレイヤー自身の考えによって様々な派閥/集団との関係を築くことが可能である。特定の集団との友好度を高めたければ、その集団に属するキャラクターが持っているクエストをクリアしたり、あるいはその集団と敵対している連中を倒すなど、その集団にとって利益になることをすればよい。よって、基本的には完全な敵対関係にある集団との関係を友好的なものに変えることも不可能ではないが、その道のりは果てしなく長い。
ただし、忘れてはいけないのが派閥/集団間の関係である。対立しあっているある2つの派閥/集団の一方と好意的に付き合えば、もう片方との関係はどんどん悪化していくことになる。
[編集] 戦闘システム
エバークエストがオンラインRPGのなかでもヒット作となった理由のひとつとして、卓越した戦闘システムがある。どの敵がどのプレイヤーを攻撃するかを決定する「ヘイト」の概念や、多数の敵を相手にする戦略である「クラウドコントロール」の概念は当時とても斬新なもので、後に発表される3DMMORPGは、このシステムを取り入れることで「EQクローン」と呼ばれる。 上記の「ヘイト」と「クラウドコントロール」は、コンピュータゲームにおいての新しい発明であると言える。 また、数十人からなるプレイヤーが協力して強大な敵と戦う「レイド」も、このエバークエストより生まれたものである。
[編集] ヘイト:Hate
直訳すれば「憎しみ」を意味する言葉である。EverQuestにおいては敵NPCの攻撃行動をコントロールするパラメーター及びそれに基づくシステムを意味する。
敵NPCは自分に対して敵対的行動を行ったプレイヤーに対して「ヘイト」の値を蓄積させていく。その蓄積の度合いによって敵NPCは今自分にとって「倒すべきプレイヤー」を選び出す。
敵NPCは「ヘイトリスト」という交戦状態にあるプレイヤーへのヘイト蓄積量のリストを持っており、基本的にそのリストのトップに位置するプレイヤーを攻撃対象として認識する。ヘイトを増加させる行動は様々であるが、主な物は次のようなものである。
-
- 戦闘を仕掛けられる
- 攻撃される
- 行動・能力を制限される(移動不可や、眠り、能力低下など)
- ヘイトリストに載っているプレイヤーに対して援助行為が行われる(回復魔法や能力増加魔法など)
- ヘイトリストに載っているプレイヤーが瀕死状態になる
- ヘイトリストに載っているプレイヤーが座り込む
自分にとって不愉快であったり、脅威になることをされたりするとヘイトの値が高まるように設定されている。 自分を傷つける者に怒りを感じ、自分の敵に対して援助を行う者を邪魔であると感じる。戦いにおける心理を上手く表現したシステムと言える。
[編集] クラウドコントロール:Crowd Control
クラウドコントロールとは敵を眠りや麻痺といった動けない状況に追い込むことで戦闘状態をコントロールすることを指す。これは所謂ドラゴンクエストにおけるラリホーや、ファイナルファンタジーにおけるスリプルなどに相当する能力のことだが、これら家庭用RPGにおいては戦闘の脇役として扱われる能力が、EverQuestの戦闘においては主役として扱われるほどに重要になっている。
EverQuestでの敵モンスターというのはプレイヤーあっさり殺せるほど強く、それが同時に複数襲ってくるのが当たり前である。通常敵の攻撃はタンクと呼ばれる盾役のプレイヤーが一手に引き受けることになるが、例え頑丈なタンクといえど誰かに回復してもらえなければ長くは持たないし、複数の敵が一斉に攻撃してくれば当然殺されてしまう可能性が高くなる。 また戦闘に関わるプレイヤーは全員が大なり小なり敵のヘイトを買ってしまうのだが、タンクよりも大きいヘイトを買ってしまえば敵はそのプレイヤーを攻撃しようとする、強烈な攻撃はヒーラーやアタッカー即昇天させてしまうので、タンクはなんとしても敵の注意を自分にだけ向けさせなければならない。しかしゲームデザイン上、タンクは敵の注意を常に自分に向かせることが簡単にはできないようになっており、まして複数の敵の注意を全て自分に向かせている状態をキープするのは極めて難しい。
つまり複数の敵と真正面からぶつかるというのは不安定な戦闘を展開することになってしまうので、一時的に実際に戦う敵を限定し、残りは全て眠らせたりすることで戦闘状態をコントロールするのである。
[編集] レイド:Raid
EverQuestにおけるいわゆる「グループ」を組んでのプレイは最大6名までとなっている。しかしエバークエストの世界には6人では到底敵わない極めて強大な敵が存在する。そういった敵に立ち向かうためにレイドというシステムが用意されており、これは簡単にいえば複数のグループを一まとめにしたものである。
レイドの最大人数は72人となっており、12グループ分のプレイヤーが一同に会し一丸となって敵と戦うことができる。チームワークの集大成ともいえるレイドのコンテンツは、その複雑さ、達成感、そして報酬として得られる強力なアイテムによって、多くのプレイヤーを夢中にさせた。(実際には72人ものプレイヤーが常に必要というようなことはなく、もっと集めやすい人数で楽しむことができる。)
[編集] 関連する状況
ウルティマオンラインなどと並び、初期のMMORPGメジャー作品として歴史に名を刻んだ本作品は全世界で熱狂的にプレイされ、現在でも運営/拡張パックの開発が続けられている老舗MMORPGである。
初めて本格的な3Dグラフィックスを採用したMMORPGであり、EverQuestの特徴的なゲームシステムはその後に発表された多くの3DMMORPGに取り入れられている(それらの3DMMORPGをEQクローンと表現することもある)。事実上EverQuestが3DMMORPGの基礎を作り上げたといっても過言ではない。
しかしながら、プレイのし過ぎでの家庭内別居のような状態を招いたり、自殺者が出るにあたり、オンライン依存症があらためて注目される事態にもなった(エバークエストの場合はその名をもじって“エバークラック”と称されることもある)。アメリカには「エバークエスト未亡人の会」なるものがネット上に実在する。これはエバークエストの世界に没頭したプレーヤーに放りっぱなしにされた家族や恋人によって設立された被害者の会で、米ヤフーが運営し、メンバーは1000人を超えている。ネットワーク上の会合では、ゲームのキャラクターを削除したり、サーバーへのアクセス妨害など、エバークエストの快適なプレイを邪魔するための様々な方策についても話し合われてもいる。そのために、激怒したプレーヤーによる脅迫を招くなどトラブルの元ともなっている。
[編集] 拡張:expansion
- 0 :EverQuest Classic
- 1 :The Ruins of Kunark (RoK)
- 2 :The Scars of Velious (SoV)
- 3 :The Shadows of Luclin (SoL)
- 4 :The Planes of Power (PoP)
- 5 :The Legacy of Ykesha (LoY)
- 6 :The Lost Dungeons of Norrath (LDoN)
- 7 :Gates of Discord (GoD)
- 8 :Omens of War (OoW)
- 9 :Dragons of Norrath (DoN)
- 10 :Depths of Darkhollow (DoD)
- 11 :Prophecy of Ro (PoR)
- 12 :The Serpent's Spine (TSS)
- 13 :The Buried Sea (TBS)
- 14 :Secrets of Faydwer (SoF)
- 15 :Seeds of Destruction (SoD) 2008/10/20~25?発売された
[編集] 開発/運営状況
現在までに15の拡張パックが発売されている。 また、エバークエストのパラレルワールドとしてNorrathの500年後の世界を舞台にした「エバークエスト2(EverQuestII)」が2004年11月8日にサービスを開始している。
2004年5月11日 「エバークエスト2」の日本国内での取り扱いや国内向けのカスタマイズ・サポートを、すでに同じMMORPGであり、エバークエストにヒントを得たとされているファイナルファンタジーXIを展開中のスクウェア・エニックスが行うことが発表され、世間を驚かせた。
2004年9月1日 日本における「エバークエスト」の運営管理会社がSo-netからガマニア・デジタル・エンターテインメントに移行。ガマニアはもともとアジア地域においてエバークエストの運営を行っており、日本だけが例外的にソニーおよびソニーコミュニケーションネットワークによる運営を行っていた。だが、度重なるパッチや拡張の遅延が続き、プレイヤーからの大規模な抗議が相次いだこともあり、ガマニア社は本家エバークエストへ日本語版のプレイヤーを移住させるという決断をするに至った。そして2006年5月30日をもち日本語版の運営は終了することとなった。
[編集] 邦訳小説
2008年4月25日に荒俣宏による翻訳で公式小説「エバークエスト 連合帝国(combine empire)の興亡」(原題 Ocean of Tears)がアスキー・メディアワークスから発売されている。なおこの作品は翻訳第一弾ではあるが、原書では二巻目にあたる(ただし各巻において、主人公も時代も異なる完全な読切のため違和感は無い)。

