イレイザーヘッド

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イレイザーヘッド
Eraserhead
監督 デヴィッド・リンチ
脚本 デヴィッド・リンチ
製作 デヴィッド・リンチ
出演者 ジャック・ナンス
音楽 ピーター・アイヴス
撮影 フレデリック・エルムス
ハーバート・カードウェル
編集 デヴィッド・リンチ
公開 アメリカ合衆国の旗 1977年3月19日
日本の旗 1981年9月12日
上映時間 89分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
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イレイザーヘッド』(Eraserhead)は、1977年アメリカ映画モノクロ映画。

デヴィッド・リンチが一人で製作・監督・脚本・編集・美術・特殊効果を務めて制作した映画で、長篇映画デビュー作品である。カルト映画の代名詞ともなっている。タイトルの「イレイザーヘッド(Eraserhead)」は、鉛筆に付いている消しゴムを指す。

本作のフィルムは、2004年アメリカ国立フィルム登録簿National Film Registry)に選定・登録され、アメリカ議会図書館に保存されている。

概要[編集]

若き日のデヴィッド・リンチが、製作チームの5人と共に、個人資金と5年の歳月をかけて完成させた映画[1]。ストーリーはシュール、難解で理解不能、ビジュアル的に不気味なモノクロ映像が印象的で、観客はまるで不可解な夢を見ている気分に陥る。

サウンドトラックも印象的で話題となり、1997年にはリンチ自身が新たに音響などに手を施した「完全版」がビデオで発売された。ピッチフォークを初めとする音楽メディアからも高い評価を受けている。


ストーリー[編集]

舞台はフィラデルフィアの工業地帯。モジャモジャ頭が特徴の印刷工ヘンリー・スペンサーは、着古したスーツをいつも着て異様な歩き方をする青年である。ある日、ヘンリーは付き合っている女性(メアリー・エックス)から奇妙な赤ん坊を出産したことを告白され、彼女との結婚を決意する。

その赤ん坊は異様に小さく奇形であったが、ヘンリーは驚く様子もない。こうしてヘンリーとメアリー、そして赤ん坊の新婚生活が始まるが、赤ん坊は絶えず甲高い泣き声でピーピーと泣き、その異様な声に悩まされたメアリーは家を出てしまった。

残されたヘンリーは次第に精神に破綻をきたし、部屋のラジエーターの中から現れる少女の幻影を見るようになる。少女の歌に導かれるように倒錯した世界を漂うヘンリーは赤ん坊をハサミで殺し、自身も天国へ憧れを抱きはじめるのだった。

キャスト[編集]

  • ジャック・ナンス(ヘンリー・スペンサー、Henry Spencer
  • シャーロット・スチュアート(メアリー・エックス、Mary X
  • アレン・ジョゼフ(ミスター・エックス、Mr. X
  • ジーン・ベイツ(ミセス・エックス、Mrs. X
  • ジュディス・アンナ・ロバーツ(アパートに住む女、Beautiful Girl Across the Hall
  • ローレル・ニア(ラジエーターの中の少女、Lady in the Radiator

作品解説[編集]

本作の奇形の赤ん坊があまりに不気味でリアルなので、「牛か羊の胎児を撮影に使った」「いや、デヴィッド・リンチが精巧に作り上げたミニチュアだ」などの議論を呼んだ。リンチ自身は、インタビューでこのことを聞かれてもネタを明かさず、いかなる質問にも肯定も否定もせず、ただ沈黙を保ち続けているため、真相は不明である。ちなみに撮影中この赤ん坊は、スヌーピーの兄から名前を取り、スパイクという名前で呼ばれていた。

資金が非常に少なかった為、ドアノブを回して部屋に入るまでのシーンに一年半費やした。

撮影場所はカリフォルニアだが、それがわからないように豪邸と馬小屋を借り切って制作した。

公開[編集]

映画の完成後、ニューヨーク映画祭に応募したが断られ、最初の上映でも24人しか客が入らず[2]、批評誌のほとんどが酷評した。しかし、アメリカの独立系映画館で深夜上映(レイトショー)されると、不気味さが一層際立ったため、観る者に強烈なインパクトを与えることに成功し、次第に「ミッドナイト・カルト」と呼ばれ一部に熱狂的支持を受ける。

上映中、内容がショッキングなので、妊婦は鑑賞しないようにと警告した。

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  1. ^ 主演のジャック・ナンスは、製作中四年間に一度も髪形を変えなかった。
  2. ^ 町山智浩『〈映画の見方〉がわかる本―80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀』(ISBN 4896919742)では、最初の深夜上映時観客は25人だったが、翌週に入った観客24人は全員リピーターで、徐々にカルトムービーとして注目されていったとある。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]