クダンの話をしましょうか

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クダンの話をしましょうか』(クダンのはなしをしましょうか)は、内山靖二郎による日本ライトノベルイラスト朝未が担当。MF文庫Jより刊行。

あらすじ[編集]

クダンは、人の未来を見、そして予言をする。その人を不幸から守るため、大切な人を救うため。だが、予言をすることで、その人の未来からクダンは消えてしまう――。クダンと人々の、予言と別れを描く。

登場人物[編集]

主要登場人物[編集]

クダン
この物語の中心的な存在の、の少女。頭に小さな一対の角があり、普段は帽子などで隠している。
彼女は、人の未来を見ることができる。だが、その未来を本人に教えると、教えられた人はクダンに関する記憶をなくし、さらに未来においてもクダンとかかわりを持つことができなくなる。すなわち、その人の世界において、クダンが死ぬということである。この件の宿命のために、彼女はこれまで幾度となく辛い別れを繰り返してきた。宿命を打ち破るため、をさがして、不思議な噂がある街を転々とする。
予言の力に押しつぶされないよう、自分で3つの決まりを作っている。
  1. 予言を本人以外に伝えない。
  2. 予言を偽らない。
  3. 予言をもとに、自分から行動しない。
自分の力を少しだけ使っての占い師が生業。だが「予言を偽らない」ために、悪い占い結果もごまかさずに伝えるので、あまり評判は良くない模様。また、他のアルバイトもする。
公私ともに、セーラー服を着ているが、それは単に貧乏というだけ。ジャンパーでセーラー服を隠したり、「引越しの荷物がまだ届いていない」とごまかしたり、本人は気にしているようだ。
バク
クダンと行動を共にする小さなバク。普段は、クダンの帽子になって彼女の角を隠す手助けをしている。帽子のときも身動きはできる。
ニーソックスに頭を突っ込むのが趣味。クダンに怒られてもやめない。
キリン
クダンに、鵺につながりそうな情報を提供する男。容姿端麗で物腰も柔らか。
彼は、自身いわく「世界のすべてを知り尽くした」。これは、未来におけることも含まれる。だが、クダンに関しては例外で、彼女が何者なのか、彼女の行く末にあるものは何か、ということは全く分からず、それゆえクダンに興味を持つ。また逆に、クダン以外のすべてに対する感情が希薄。
鵺(ぬえ)
クダンの宿命を打ち破ることができる唯一の存在。その正体はまったくもって不明。

そのほかの登場人物[編集]

#物語の舞台も参照のこと。

1巻[編集]

つぐみ
私立成稜高校の進学クラスに通う高校1年生。人と違う自分の価値観に悩みながらも、いままで他人に合わせてきた。
コクバンにヌエハンドルネームで残した書き込みを、クダンが気づいたことにより、彼女と知り合った。いつも、会うときは服を着替えて、つぐみではなく、ヌエとして会っていた。
ヌエは、クダンと顔を合わせるたびに口げんかをしていたが、これは、クダンが自分のために予言をすることがないように、ということ。だが、直辰の死の予言と引き換えに、クダンとのつながりを失ってしまった。
直辰(なおたつ)
成稜高校の普通クラスに通う。つぐみとは家が隣同士で幼馴染だが、進学クラスと普通クラスの間にある軋轢のせいで、疎遠になっていた。
つぐみの母親から、最近つぐみの帰りが遅い理由を調べるよう頼まれ、つぐみを尾行した末、ヌエのことを知った。
(クダンに予言を受けた)つぐみによって、命を落とすはずだった所を救われている。
甘夏杏悠(あまなつ あゆ)
友人たちに天然と評されかわいがられているが、真面目に言ったことを天然で片付けられてしまうこともあり、自分ではあまり快く思っていない。
コクバンでは影法師のハンドルネームを名乗って、主にスイーツ関連の書き込みをしている。そのレポートの反響はなかなかに良く、彼女の中では、天然キャラという位置づけなしに自分を受け入れてくれるコクバンと、もう一人の自分である影法師は大きな存在となっていた。
あるとき、自分ではない、もう一人の影法師による書き込みに気づく。彼女はもう一人の影法師に共感し、翻弄され、ついには自殺しかけるが、そこで待っていたクダンがそれを思いとどまらせる。
クダンが、杏悠御用達のケーキ屋でアルバイトしていたこともあり、二人は友達になったが、クダンが別の街に移る前の日、自分の家が放火魔に狙われると予言を受ける。
羽賀双美(はが ふたみ)
成稜高校3年、コクバンの管理者にして、コクバンでささやかれるドッペルゲンガーの正体。
成績は非常に優秀で、定期テストの日にしか登校しないのにもかかわらず、特例的に黙認されている。
先輩がドッペルゲンガー探しの情報交換用に立ち上げたコクバンの管理を、先輩の卒業とともに任される。「誰がどのハンドルネームで書きこんでいるかわかる」「複数のハンドルネームを使える」など、管理者の特権をひそかに利用し、ときに共感を装い、ときに追い詰め、人の行動を操って遊んでいた。これが、コクバンに伝わるドッペルゲンガーの噂の正体である。
キリンという利用者の投稿に興味を持って追い、最終的にクダンにたどり着くが、コクバンでドッペルゲンガーであり続けるなら、高校卒業を前に後悔の中で死ぬ、と予言される。その後、コクバンは閉鎖された。

2巻[編集]

坪井美千恵(つぼい みちえ)
大学2年生。コクバンの創設者。幼いころに見た、ドッペルゲンガーを探している。
夏休みを利用した一人旅で、小学5年生のころまで住んでいた、ドッペルゲンガーを見たその場所である、坂の多い街へやってきた。
ドッペルゲンガーを探し、クダンの予言の後押しされ、かつて自分が残した手形を見つけ、ドッペルゲンガーの正体を思い出す。彼女にとってのそれは、身勝手な理由で醜い手形を残してしまった、自分の罪悪感などが、あいまいな記憶として名前を変えたものだった。だが、緑の手の少年によって、その手形が肯定されていることを知り、心の重荷をはずすことができた。
香奈(かな)
クダンと同じ喫茶店でバイトをする少女。クダンと仲がいい。
キリンに恋心を抱くが、キリンの興味がクダンにしかないことを知り、クダンとキリンが付き合っていると誤解する。同時期に、街の子供たちの「遊び」の標的にされ、さらにクダンへの猜疑心を深める。
子供たちの遊びは大事に至る前にクダンが止める。香奈は、クダンへの負の感情をすべて忘れるために、クダンに予言をさせるが、そのあとで、もうクダンと友情を結ぶことはできないのだと知る。自分がしたことの残酷さと、それを許したクダンの優しさにふれ、クダンの記憶をなくすまでの短い間、二人は再び友達となった。
小金井琴音(こがねい ことね)
中学2年生。絵を描くことが好き。
子供だけの広場である「コロポックルの広場」に、自分の手形を残せなかったことが心残りで、夜になってからこっそり行っていた。大人たちが手形を消してしまうことに、そしてなによりそれを止められない自分に心を痛める。
手形を街じゅうに広げようとする緑の手の少年に、大人になると手形がつけられない理由を教える。そして、緑の手の少年とともに、二人で一つの、新しい手形を残す。
鳥居亮平(とりい りょうへい)
クダンや香奈が働く、喫茶店ドラゴンのマスターの息子。香奈の弟の裕樹と友達。彼の作るナポリタンは、それを再現しようとしたクダンを四苦八苦させた。
彼は、緑の手の少年でもある。それまで広場だけにとどまっていた手形を、子どもたちの力で街じゅうに広げて、嘘をなくし、大人も子供も仲よくさせようとした。だが、琴音によって、大人が手形をつけない理由を知り、考えを改めた。
この騒動の後、琴音とも仲良くなる。
鳥居良夫(とりい よしお)
喫茶店ドラゴンのマスター。亮平の父親で、琴音の通う絵画教室の講師もしている。絵の中に、緑色を使わない独特の画風。
幼少時には、良夫の「良」の字から、リョウと呼ばれていた。

物語の舞台[編集]

テレビ塔の見える街
1巻の舞台。
街のさまざまなところから見えるテレビ塔は、夜はグリーンにライトアップされる。
この街にある、私立成稜高校の生徒の利用する、掲示板サイト「虚空蔵板」、通称コクバンには、ドッペルゲンガーに関するうわさが、まことしやかに流れている。
坂の多い街
2巻の舞台。
北海道にあり、いまだに路面電車の走るこの町は、街全体が山からなだらかに海へと至る斜面であり、どこへ行くにも坂か階段を通る。海沿いには赤煉瓦の倉庫が立ち並び、建物の隙間にできた広場は、子どもたちの遊び場となっている。
この街の子供は、手形で自分の偽りのない心を伝えあえる。そんな彼らの間に、コロポックルの話が伝えられている。

既刊一覧[編集]

  1. クダンの話をしましょうか ISBN 978-4-8401-2063-0
  2. クダンの話をしましょうか2 ISBN 978-4-8401-2128-6