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[[中華料理|中華]][[調理師|料理人]]である少年・秋山醤が本作の主人公。料理にケチを付けるために店に訪れた料理評論家を彼が料理の味を以て論破したり、彼の下へ挑戦しに訪れる料理人達を相手に料理勝負を繰り広げたりする。若手の中華料理人同士の大会が開催されるパートでは、主人公もこれに参加し、トーナメント方式で他の料理人達を相手にバトルを繰り広げる。
[[中華料理|中華]][[調理師|料理人]]である少年・秋山醤が本作の主人公。料理にケチを付けるために店に訪れた料理評論家を彼が料理の味を以て論破したり、彼の下へ挑戦しに訪れる料理人達を相手に料理勝負を繰り広げたりする。若手の中華料理人同士の大会が開催されるパートでは、主人公もこれに参加し、トーナメント方式で他の料理人達を相手にバトルを繰り広げる。


この点では他の並み居る料理漫画作品群と然程変わり映えはしないが、本作ならではの大きな特徴・読者の間で特に話題になる点として、「極悪非道な人格を持つ」「悪役顔のキャラクター」が主人公を務めているという点が挙げられる。その主人公と敵対するサブキャラクター達も、彼に負けず劣らずの悪役顔ばかりが揃っている。力強く、勢いがある西条の絵柄も、登場人物達の極悪非道ぶりを説得力あるものにしている。また、作中に登場する食材やその料理法も、実際に作ってみて美味いかどうかはさて置いてのインパクトを重視したものが多い。そして、本作に登場する女性キャラクターはその殆どが[[巨乳|巨乳・爆乳]]に描かれており、レギュラーキャラクター・ゲストキャラクター問わずサービスカットが多いことでも有名。以上の点から、他の料理漫画にはない、独特の雰囲気を醸し出した怪作に仕上がっている。料理漫画ではお約束になっている「料理勝負は後に出したほうが必ず勝つ法則」は、この作品では必ずしも当てはまらない。(料理対決の戦術として、あえて「先に」食べさせる描写もあるなお、若手料理人を対象とした大会が開催されるパートは、本作の連載当時に巷でブームになった[[フジテレビジョン|フジテレビ]]のテレビ番組『[[料理の鉄人]]』の影響を強く受けている。
この点では他の並み居る料理漫画作品群と然程変わり映えはしないが、本作ならではの大きな特徴・読者の間で特に話題になる点として、「極悪非道な人格を持つ」「悪役顔のキャラクター」が主人公を務めているという点が挙げられる。その主人公と敵対するサブキャラクター達も、彼に負けず劣らずの悪役顔ばかりが揃っている。力強く、勢いがある西条の絵柄も、登場人物達の極悪非道ぶりを説得力あるものにしている。また、作中に登場する食材やその料理法も、実際に作ってみて美味いかどうかはさて置いてのインパクトを重視したものが多い。そして、本作に登場する女性キャラクターはその殆どが[[巨乳|巨乳・爆乳]]に描かれており、レギュラーキャラクター・ゲストキャラクター問わずサービスカットが多いことでも有名。以上の点から、他の料理漫画にはない、独特の雰囲気を醸し出した怪作に仕上がっている。料理漫画ではお約束になっている「料理勝負は後に出したほうが必ず勝つ法則」は、この作品では当てはまらないどころか、戦術として、あえて「先に」出す場合すらあるなお、若手料理人を対象とした大会が開催されるパートは、本作の連載当時に巷でブームになった[[フジテレビジョン|フジテレビ]]のテレビ番組『[[料理の鉄人]]』の影響を強く受けている。


週刊少年チャンピオン2006年50号(2006年11月9日発売)より、本作の続編『[[鉄鍋のジャン!R頂上作戦]]』の連載が開始された。
週刊少年チャンピオン2006年50号(2006年11月9日発売)より、本作の続編『[[鉄鍋のジャン!R頂上作戦]]』の連載が開始された。

2006年12月3日 (日) 15:57時点における版

鉄鍋のジャン!』(てつなべのジャン)は、週刊少年チャンピオンで連載されていた料理漫画である。作・西条真二、監修・おやまけいこ。週刊少年チャンピオンの版元である秋田書店から発売された少年チャンピオンコミックス版単行本は全27巻、後にメディアファクトリーから発売されたMF文庫版単行本は全13巻。


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


概要

中華料理人である少年・秋山醤が本作の主人公。料理にケチを付けるために店に訪れた料理評論家を彼が料理の味を以て論破したり、彼の下へ挑戦しに訪れる料理人達を相手に料理勝負を繰り広げたりする。若手の中華料理人同士の大会が開催されるパートでは、主人公もこれに参加し、トーナメント方式で他の料理人達を相手にバトルを繰り広げる。

この点では他の並み居る料理漫画作品群と然程変わり映えはしないが、本作ならではの大きな特徴・読者の間で特に話題になる点として、「極悪非道な人格を持つ」「悪役顔のキャラクター」が主人公を務めているという点が挙げられる。その主人公と敵対するサブキャラクター達も、彼に負けず劣らずの悪役顔ばかりが揃っている。力強く、勢いがある西条の絵柄も、登場人物達の極悪非道ぶりを説得力あるものにしている。また、作中に登場する食材やその料理法も、実際に作ってみて美味いかどうかはさて置いてのインパクトを重視したものが多い。そして、本作に登場する女性キャラクターはその殆どが巨乳・爆乳に描かれており、レギュラーキャラクター・ゲストキャラクター問わずサービスカットが多いことでも有名。以上の点から、他の料理漫画にはない、独特の雰囲気を醸し出した怪作に仕上がっている。料理漫画ではお約束になっている「料理勝負は後に出したほうが必ず勝つ法則」は、この作品では当てはまらないどころか、戦術として、あえて「先に」出す場合すらある。なお、若手料理人を対象とした大会が開催されるパートは、本作の連載当時に巷でブームになったフジテレビのテレビ番組『料理の鉄人』の影響を強く受けている。

週刊少年チャンピオン2006年50号(2006年11月9日発売)より、本作の続編『鉄鍋のジャン!R頂上作戦』の連載が開始された。

主な登場人物

五番町飯店

秋山 醤(あきやま じゃん)
主人公。「中華の覇王」の異名を取っていた料理人・秋山階一郎の孫で、現在は五番町飯店で見習いとして働いている。16歳。「料理は勝負」というのが彼の信念。若手にしてベテラン料理人も顔負けの中華料理の腕を持つが、同時に傲慢な性格の持ち主でもある。言っていることは間違ってはいないが、その性格と言い方の為周囲から怒りを買いやすい。反面、同い年の同僚・小此木(後述)に対しては親身になって料理のコツを教えてやるなど、不器用ながらも優しい一面も持っている。全日本中華料理人選手権大会などの場において、他の中華料理人達と勝負をする際に、
  • マジックマッシュルームを使った料理で審査員達を幻覚状態に陥れ、彼らの採点基準を狂わせる(連載当時はまだマジックマッシュルームは日本国内で禁止されていなかった)
  • 審査員達の味覚に訴えかけて対戦相手の料理の味に対する評価を貶めることを目的に、本来塩を入れない料理に塩を混入させておく
  • ダチョウの肉を濃厚な味にし食感を改善する為、その肉に蛆を混入させておく
など、勝利を手にするためには一切手段を選ばない。料理人としての良識をかなぐり捨てたその態度の為に、店の内外を問わず多くの敵を作っている(料理人や料理評論家だけでなく、時には一般客からも嫌われる事すらある)。背中には多数の傷跡があるが、これは祖父・階一郎の下で中華料理の術を叩き込まれていた当時、階一郎の叱咤により付けられたものである。自分以外の料理人を常に格下扱いしているが、実は意外にも料理自体を侮辱したことは殆どない(初登場時、五番町飯店で出された炒飯に対しては欠点を並べ立てていたが、それは担当した望月があまりにも不真面目に作って出したものだったからである)。勝負に賭ける凄まじい執念や上昇志向の激しさは、従来からの少年誌のヒーローのイメージに合致するが、あまりに手段を選ばないその設定が他の漫画作品の主人公達とは一線を画している。本編が終わった後、中国に渡る。そこで特級厨師100人斬りを達成し、頂上作戦第一回のヒルズドームでの大会に参加していた(その時何物かの襲撃に合い大怪我を負う)。
五番町 霧子(ごばんちょう きりこ)
五番町飯店の跡取り娘で、本作のメインヒロイン。16歳。叔父の弥一と祖父の睦十の元、見習いとして店の厨房で働きながら日々中華の修行に励む。中華の腕前は若くして既に並の料理人以上であるが、店で見習いをしているのは、将来店を背負った時に必要となること全てを学ぶ為である。男顔負けな気性を持つ反面で、気配りの行き届いた料理を作ることができ、彼女自身も「料理は心」を信念としている。手先も非常に器用。相対する信念を持つジャンの傲慢さが許せず、彼とはたびたび衝突する。しかし、料理の腕やその情熱と努力に関してはジャンのことを認めている節も見られる。作者・西条の趣味なのか、巨乳を持つ女性キャラクターとしても描かれており、回を重ねるごとに爆乳化していく。本人曰く、3年間でジャンとは何の進展もなかったらしいが、再会した時にはケンカ一辺倒だった以前とは微妙に空気が変わっている。
小此木 タカオ(おこのぎ たかお)
五番町飯店で見習い中の少年。16歳。ジャンや霧子とは同じ見習いであるが、中華料理の腕は二人と比べて大きく劣る(二人が見習いに不相応すぎる実力を持っている、といった方が正確だが)。傲慢で一匹狼なジャンが唯一心を許している相手である。連載開始からしばらくは作中のお笑い担当のキャラクターであったが、元々努力家ではあったため、本作の3年間の連載を経た後の最終回には、望月に代わり五番町飯店から厨房の鍋担当を任せられるほどにまで成長していた。
五番町 睦十(ごばんちょう むつじゅう)
霧子の祖父で、五番町飯店のオーナーを務める人物。75歳。かつての修行仲間・秋山階一郎とは親友であり、ライバルでもあった。階一郎と共に中華料理界の頂点に君臨していた人物で、現役を引退し店の経営に専念している今もその腕は全く衰えていない。祖父・階一郎亡き現在、ジャンにとって超えるべき目標となっている。ジャンや霧子とは童子勝負をすることを約束していたが、その直前に病に倒れ他界した。単行本最終巻掲載のおまけ漫画では、サイボーグとして黄泉路から甦る。
五番町 弥一(ごばんちょう やいち)
霧子の叔父で、五番町飯店の総料理長を務める人物。45歳。料理の腕は超一流。本作に登場する数少ない常識人で、劇中では料理の解説役を担当することも多い。
李 考英(りー こうえい)
五番町飯店の司厨長(調理場の責任者)。香港から招かれた料理人で腕は確か。劇中では弥一と並び、解説役を務めることが多い。
望月 貢(もちづき みつぐ)
五番町飯店の鍋担当料理人。第1話でジャンに作った炒飯をケチつけられて以来、損な役回りでばかり登場する。

闘いを繰り広げた料理人

尾藤 リュウジ(びとう りゅうじ)
流しの中華料理人で、またの名を「XO醤のリュウ」。各地を転々としながら、中華料理屋に賭け料理勝負を仕掛け荒稼ぎしていた。大谷が最初にジャンの元に送り込んだ刺客だが、XO醤を使った料理対決であっさりジャンに敗れる。
藤田 貫一(ふじた かんいち)
中華薬膳「藤田」の代表。第1回全日本中華料理人選手権大会の予選で、ジャンに対し予選敗退を宣告し挑発するも、ジャンのマジックマッシュルームを使ったスープの威力の前に崩れ去り、自身が予選敗退してしまう。
沢田圭(さわだ けい)
六本木「昆崙」の料理人。「料理は炎」がモットー。第1回全日本中華料理人選手権大会1回戦でジャンと対戦し、派手なパフォーマンスで観衆や審査員の注目を集めるも、肝心の料理の味が平凡であったため敗退。第2回大会でも同じ原因で霧子に敗れ、審査員から「進歩していない」と酷評された。
セレーヌ 楊(せれーぬ やん)
神戸の中華料理店「シー・ドラゴン」出身の女性。17歳。香港人の父とフランス人の母を持つハーフで、「料理はコテコテ」が信条。繊細で優雅なフランス料理の要素を取り入れた中華料理の新しい形「ヌーベル・シノワ」を探求している。第1回全日本中華料理人選手権大会でジャンや霧子と三つ巴の闘いを繰り広げた後、しばらく五番町飯店に修行に来ていたが、それは五番町飯店の中華に最新のセンスをもたらすのと引き換えに伝統の中華を学ぶためであった。彼女もまた爆乳の持ち主であり、その意味でもまた霧子と双璧を為す存在である。人見知りもせずに誰彼構わず抱きつく明るい性格なのだが、同性の霧子に対してはそれが特に顕著(見方によっては若干同性愛的な感情を抱いているようにも取れる)。
蟇目 檀(ひきめ だん)
かつて五番町飯店で鍋を振るっていた料理人で、2年半ぶりに中国から戻ってきた。戻ってきた彼はジャン以上に傲慢で冷酷な人物になってしまっており、当時の厳しくも優しい好青年だった頃の面影はない。小此木に対しては殴るどころか蹴る、自分を「タレ目野郎」呼ばわりしたジャンに対しては腕を折るなどの暴行を働く。修行の末、5万以上もの料理のレパートリーと卓越した技術を手に入れるが、その技術に溺れ過ぎて敗北。以後はジャンに惚れ込んで仲間に引き込もうとするが拒絶された。その時もう一度料理勝負をするが、双方合法ドラッグに近い料理を喰わせ合う事で痛み分けに終わる。「料理は才能」がモットーだが才能を維持する為の努力は怠らない。その後蜃気楼のコック長を下ろされ明輝の店に舞い戻る。
五行道士(ごぎょう どうし)
本名は伍 行壊(ご ぎょうかい)。その実態は裏食医で、食を悪用し人体を壊すことを極めている。その為、人の食欲を操る術とそれに用いる食材についての知識は豊富。テレビ番組に出演した際には「料理は愛」と、ジャンに対しては「気」と言っていたが、本当は「成仏」がモットー。普段は温厚な紳士だが、予めジャンの味覚を潰そうとしたりと裏の顔は極悪非道を絵に描いたような人物で、一度暴走すると残忍な本性をむき出しにする。ジャンとの勝負に敗れ、蟇目同様明輝の店に舞い戻る。
湯水 スグル(ゆみず すぐる)
湯水財閥の若き当主。中学卒業後、高校進学はしていないが、大検には合格している。性格はかなり天然ボケ気味。執事の花梨とは、歳は離れているが完全な恋人同士である。自称:万能の天才。料理勝負で99人斬りを達成し、ジャンと料理勝負をするまでは負け知らずだった。100人目のターゲットをジャンに定めるが、敗れる。彼のモットーは「料理は変幻自在」。
刈井 花梨(かりい かりん)
湯水家の執事を務める女性。スグルのブレーンであり、彼のことを陰に日向にと支えている。彼女の料理のモットーは「科学」。常にサングラスを掛けているが、これは幼少時に自家用飛行機の事故により左目を負傷した為である。体力は並の人間以下ながら護身術のたぐいが使え、一般人では唯一ジャンに勝った(スグルのサポートもあったが)

陸一族

百 蘭王(ぱい らんわん)
代々アジアの料理界を表、裏から牛耳る。過去に階一郎と睦十相手に餃子数作り勝負をした際、同じ時間内で2人の合計個数を1人で作り上げたという程の実力の持ち主。
黄 蘭青(こう らんせい)
現在の百蘭王の孫。見た目は寒いダジャレを連発する好青年。モットーは「料理は半歩先」。五味に加え、食感を活かした料理を作る。相手の料理の特徴を瞬時に見抜く卓越した眼力の持ち主。劇中でも最強レベルの料理人だが、やや食感に頼り過ぎる傾向もあり、致命的なドジを踏む事も。
陸 顔王(りく がんおう)
百蘭王後継者候補の一人。香港出身の巨体の料理人。
陸 麗華(りく れいか)
百蘭王後継者候補の一人。台湾出身の女料理人。台湾郷土料理を得意とする。事前に相手を観察し、撃破するための料理を作る。彼女のモットーは「料理は傾向と対策」。
陸 延雀(りく えんじゃく)
百蘭王後継者候補の一人。上海出身の料理人。煮込み料理を得意とする。

十三竜(サーティンドラゴン)

エリザ
謎のお嬢様。十三竜の経営者らしいが・・・。結構行儀が悪い。
佐藤田十三(さとうだじゅうさん)
謎の執事。手品師のようだが・・・。

その他の人物

秋山 階一郎(あきやま かいいちろう)
ジャンの祖父で、かつては「中華の覇王」の異名で名を馳せた料理人だった。「料理は魔法」が彼の信念で、この信念は孫のジャンに(形を変えて)受け継がれている。現役引退後は群馬県の山中に住み移り、ジャンにマンツーマンで厳しく中華料理の全てを叩き込んでいた。年と長年患っていた病により自身の舌が衰えていたことを知ると、ジャンに用事を言い付けて留守にさせ、自宅に油を撒いて焼身自殺をする。ジャンが下山し五番町飯店へと来たのは、その際に階一郎から渡された手紙に書かれていた遺言によるものである。単行本最終巻のおまけ漫画では睦十と同様、サイボーグとして復活する。
桃 明輝 (とう みんき)
階一郎の妻でジャンの祖母。少女時代は見掛けによらず馬族の頭領で、日本軍が好き勝手振舞っていた為日本人を嫌っていたが、階一郎と睦十の二人に世話になり協力を約束、その後階一郎と所帯を持つ事になる。蟇目と五行の働いている店のオーナーでもある。
大谷 日堂(おおたに にちどう)
料理評論家。最低の性格と最高の舌を持つ男。ジャンによって赤っ恥をかかされたことに恨みを抱き、彼を相手に様々な無理難題を吹っ掛ける。だが皮肉にも、それがジャンを更に成長させる事になってしまっている。全日本中華料理人選手権大会の開催を提案した人物であり、同大会の審査員としても参加する。意外な事に幼少の頃は美少年であったが、その当時の面影は今の彼には既にない。階一郎と睦十によって、彼の父諸共手痛い仕返しを食らった。続編では十三竜をも手玉に取ろうとしているが。