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'''カニ'''(蟹)は、[[エビ亜綱]] [[エビ下綱]] [[ホンエビ上目]] [[エビ目]] '''カニ下目'''('''短尾下目''' たんびかもく)に属する[[甲殻類]]の総称。
'''カニ'''(蟹)は、[[エビ亜綱]] [[エビ下綱]] [[ホンエビ上目]] [[エビ目]] '''カニ下目'''('''短尾下目''' たんびかもく)に属する[[甲殻類]]の総称。また一般的には、同エビ目 [[ヤドカリ下目]](異尾下目)に属する種のうち、[[タラバガニ]]や[[ヤシガニ]]などの種類も含める。以下、特に断りがない限り「カニ下目」について論じる


==概要==
==概要==

2006年2月4日 (土) 22:24時点における版

?カニ

イシガニ Charybdis japonica
分類
 :動物界 Animalia
 :節足動物門 Arthropoda
亜門 :大顎亜門 Mandibulata
 :甲殻綱 Crustacea
亜綱 :エビ亜綱 Malacostraca
下綱 :エビ下綱 Eumalacostraca
上目 :ホンエビ上目 Eucarida
 :エビ目(十脚目)
Decapoda
亜目 :エビ亜目 Pleocyemata
下目 :カニ下目短尾下目
Brachyura

本文参照

和名
カニ
英名
Crab

カニ(蟹)は、エビ亜綱 エビ下綱 ホンエビ上目 エビ目 カニ下目短尾下目 たんびかもく)に属する甲殻類の総称。また一般的には、同エビ目 ヤドカリ下目(異尾下目)に属する種のうち、タラバガニヤシガニなどの種類も含める。以下、特に断りがない限り「カニ下目」について論じる。

概要

熱帯から極地まで、世界中のにたくさんの種類が生息し、一部は沿岸域の陸上や淡水域にも生息する。成体の大きさは数mmしかないものから、脚の両端まで3mを超すタカアシガニまで変異に富む。

大部分が頭胸部からなる体は、背面全体が堅いキチン質甲羅で覆われる。甲羅の前縁から一対の柄の着いた複眼が突き出す。複眼は、甲羅前縁の溝に倒して収納することができる。第一触角は短く糸状、第二触角も短いが、前に突き出して上に折れ、先端に小さな二枝をもつ。口器は第二顎脚に包まれるように収納されている。

5対10本の歩脚の内、第1歩脚は頑丈な鋏脚(はさみ)に変化していて、餌を摑んだり、敵を威嚇したりするのに用いる。他の4対の歩脚には鋏はなく、移動に使われるが、ヘイケガニカイカムリなどは後ろ2対の歩脚が小さく鉤状になっていて、これで海綿貝殻を背負って身を隠す。また、ガザミキンセンガニなどは歩脚が鰭の様に変化しており、素早く水をかいて泳ぐ事も出来る。カニといえば横歩きする事で知られるが、タカアシガニミナミコメツキガニマメコブシガニなど前後に歩くカニもいる。活発なものでは、陸上でも体を持ち上げて素早く走ることができる。

呼吸は体内のえらで行う為、生存にはが不可欠である。陸上生活にある程度適応したアカテガニやオカガニ類等も、たまに水分補給をする必要がある。

エビと違って腹部の筋肉は発達せず、アサヒガニ等一部の分類群を除いて腹部は頭胸甲の下側に折り畳まれる。オスの腹部は幅が狭く、1対の交尾器があるが、メスの腹部は抱卵する為に幅が広く、を保持する為の腹脚が長く発達している。

卵から孵化した幼生プランクトンとして海中を浮遊しながら成長し、それぞれの生息に適した場所に漂着し稚ガニとなる。これは陸上生活に適応したアカテガニやオカガニ類とて例外ではない。彼らのあるものは、ある時期になると(初夏の新月の夜などと言った感じ)一斉に海岸に集まり、それぞれに水中で産卵(実際には卵の中で育った幼生を放出)して、再び内陸へと戻ってゆく。但しサワガニは幼生期を卵の中で過ごす為、一生を海と無縁に、淡水中で過ごす。普通、はじめにゾエアという幼生の時期があり、次いでメガロパ期にややカニらしくなり、それから底生生活にはいる。

尚、食用の「カニ」としてタラバガニヤシガニ等も知られるが、これらはカニ下目ではなくヤドカリ下目に分類される。よく見ると歩脚が3対6本しかないように見えるが、これは第5歩脚が甲羅内の鰓室(鰓がある空間)に折り畳まれている為である。


生息環境

ケガニ

淡水・汽水・沿岸域から深海まで、様々な水域に色々なカニが棲む。陸上、純淡水に生息する種は少なく、汽水域、海岸線から海中に大部分が集中する。マングローブ林では木に登っているものもある。干潟では小動物として数が多く、もっともよく目立つものである。巣穴を深く掘るものが多く、底質の構造に大きな影響を持ち、水鳥の餌としても重要である。潮間帯にも固有の種が多く、そこより深海底に至るまで、さまざまな種がある。

よく発達した鋏を持って、それで餌をちぎって食べ、あるいは捕獲するのに用いる、肉食性の強い種もあれば、鋏はもっぱら防御用に用い、デトリタスなどを食べているものもある。シオマネキは、片方の巨大な鋏は飾り同然で、もう片方の小さな鋏ばかりを採食に用いる。他の動物の体を生息場所にするものもあり、サンゴウニウミシダなどに生息するものも知られるが、寄生なのか共生なのかは微妙なところ。カキアサリなどの貝類の体内に生息する物もおり、料理から出てくることがあるのでよく知られている。

分類

カイカムリ群 Dromiacea

  • カイカムリ科 Dromiidae -カイカムリ
  • コウナガカムリ科 Homolodromiidae
  • トゲカイカムリ科 Dynomenidae

原始短尾群 Archaeobrachyura

  • マメヘイケガニ科 Tymolidae
  • ツノダシマメヘイケガニ科 Cymonomidae
  • ホモラ科 Homolidae
  • ミズヒキガニ科 Latreillidae
  • アサヒガニ科 Raninidae -アサヒガニ

尖口群 Oxystomata

  • ヘイケガニ科 Dorippidae -ヘイケガニ
  • カラッパ科 Calappidae -メガネカラッパ、トラフカラッパ等のカラッパ
  • キンセンガニ科 Matutidae -キンセンガニ
  • コブシガニ科 Leucosiidae -マメコブシガニ等

尖頭群 Oxyrhyncha

イチョウガニ群 Cancridea

  • ツノクリガニ科
  • クリガニ科 Atelecyclidae -ケガニ
  • イチョウガニ科 Cancridae -イチョウガニ
  • ヒゲガニ科 Corystidae
  • ゴイシガニ科 Thiidae

方頭群 Brachyrhyncha

食用

ズワイガニケガニガザミ等、多くの種類が食用に漁獲される。料理法はしゃぶしゃぶ刺身焼き物鍋料理等多種多様である。蒸したり茹でたりして殻を割って食べる事もあるし、身を解してサラダチャーハン等の具材にもする。但し、エビやカニは食物アレルギーを起こし易く、製品を販売する場合にはエビやカニを原材料で使用している旨を表示する事が望ましいとされる。また、スベスベマンジュウガニを持つカニもいる。

中国では「九雌十雄」といい、旧暦の9月はメスの上海蟹チュウゴクモクズガニ)が、10月はオスの上海蟹が美味とされている。これは秋に気温が下がるに従って上海蟹の産卵時期が近づき、ミソや肉が溜まりだすからである。同じ頃、日本のモクズガニも漁の時期となる。上海蟹は生きたまま、藁で足を縛って流通させられる。

流通

蟹の流通形態には、生のほか、冷凍品(まるごとのもの、脚、爪など部位を分けたものなど)、缶詰などがある。また、雑炊のもとなど、他の食材と組み合わせて、乾燥した身を入れているものや、カニのゆで汁をベースにした出汁、濃縮スープなども販売されている。

なお、一般にカニは高級食材であるので、代用品として魚肉で作るかに蒲鉾がある。

食用以外の利用法

カニおよびエビの甲羅、殻から、キチンキトサングルコサミンなどが製造される。

カニを潰した血液を採取し、「かぶれの薬」等として使う人もいるが、これは民間療法の域を出ない。

文化

の事を英語で cancer と言うが、これはラテン語の「カニ」から。これは腫瘍とその周辺の血管その他の組織が作り出す形状によるもの。潰瘍を意味する canker も同源だが、ギリシャ語の karkinos(カニ)と共に、これらの語はサンスクリット語の karkata(カニ)に由来すると言われる。

西洋星座の名称はラテン語なので、黄道星座の一つである「かに座」も Cancer である。「かに星雲」も潰れたカニの様に見えるところからこの名が付いたが、かに星雲があるのはかに座ではなくおうし座である。

童話や民話でも、サルカニ合戦やカニの床屋などに姿を現す。

カニと言えば横歩きが有名なので、横に進むものにはカニがつく。逆行カノンのことを蟹行カノンとよぶ。「蟹の横這い」といえば、単に横に移動するという意味にも使うが、貴人に顔を向けたままで横に移動するのをそういうのも有名である。この言葉は、ことわざとしては「人目には奇妙に見えても、自分には適したやり方」という意味と、「物事が変に横にずれてゆくこと」の二つの意味がある。


慣用句

  • 蟹の念仏
  • 蟹の死にばさみ
  • 蟹が爪をもがれたよう
  • 蟹は甲羅に似せて穴を掘る

関連項目