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'''メティス'''('''メーティス'''、'''{{lang|el|Μῆτις}}''' ('''{{lang|el|Μη^τις}}''') , ''Metis'')は、[[ギリシア神話]]に登場する[[女神]]。名は「[[知恵]]」の意味。「叡智」や「思慮」及び「助言」を意味する知性の神である。3000人いるという[[オケアノス]]と[[テテュス]]の娘[[オケアニデス]]の一人であり、[[ティタン]]神族に数えられる。[[ゼウス]]の最初の妻であり、[[アテナ]]の母である。
'''メティス'''('''{{lang|el|Μῆτις}}''' ('''{{lang|el|Μη^τις}}''') , ''Metis'')は、[[ギリシア神話]]に登場する[[女神]]。[[長母音]]を省略して'''メティス'''とも表記される。名は「[[知恵]]」の意味。「叡智」や「思慮」及び「助言」を意味する知性の神である。3000人いるという[[オケアノス]]と[[テテュス]]の娘[[オケアニデス]]の一人であり、[[ティン]]神族に数えられる。[[ゼウス]]の最初の妻であり、[[アテ]]の母である。


== 物語 ==
== 物語 ==
ティタン神族の末弟[[クロノス]]は母[[ガイア]]の命を受けて父である[[ウラノス]]を倒し、神々の王となった。しかし、その際にウラノスによって自身も同様に子に倒されるという予言を受け、子が生まれるたびにそれを飲み込んだ。クロノスの妻[[レアー|レア]]はそれを悲しみ、ガイアに相談して闇夜の外で末子[[ゼウス]]を産み、石をゼウスと偽って持ち帰り、それをクロノスに飲み込ませたために助かった。
ティン神族の末弟[[クロノス]]は母[[ガイア]]の命を受けて父である[[ウラノス]]を倒し、神々の王となった。しかし、その際にウラノスによって自身も同様に子に倒されるという[[予言]]を受け、子が生まれるたびにそれを飲み込んだ。クロノスの妻[[レアー]]はそれを悲しみ、ガイアに相談して闇夜の外で末子[[ゼウス]]を産み、石をゼウスと偽って持ち帰り、それをクロノスに飲み込ませたために助かった。


ゼウスは[[クレタ島]]で育てられ、成人すると母レアと知恵の女神メティスと共に、食べられた兄姉の仇を打つことにした。ゼウスはメティスに命じ、メティスは自分の作った嘔吐薬を[[ネクター|ネクタル]](神酒)に混ぜてクロノスに飲ますことに成功した。クロノスはまず最初にゼウスと偽られて飲み込んだ石を吐き出し、続いて[[ポセイドン]]、[[ハデス]]、[[ヘラ]]、[[デメテル]]、[[ヘスティア]]と、飲み込んだ際とは逆の順で彼らを吐き出した。し、一説によればメティスは関与しておらず、ゼウス自身がクロノスの背中をたたき吐き出させたという。
ゼウスは[[クレタ島]]で育てられ、成人すると母レアと知恵の女神メティスと共に、食べられた兄姉たちの仇を打つことにした。ゼウスはメティスに命じ、メティスは自分の作った嘔吐薬を[[ネクター|ネクタル]](神酒)に混ぜてクロノスに飲ますことに成功した。クロノスはまず最初にゼウスと偽られて飲み込んだ石を吐き出し、続いて[[ポセイドン]]、[[ハス]]、[[ヘ]]、[[デル]]、[[ヘスティア]]と、飲み込んだ際とは逆の順で彼らを吐き出した。ただし、一説によればメティスは関与しておらず、ゼウス自身がクロノスの背中をたたき吐き出させたという。


そして、ゼウスは吐き出された兄姉と力を合わせ、クロノスを始めとするティタンとの戦い[[ティタノマキア]]に勝利した。この戦いにはティタン神族の長兄であるメティスの父オケアノスは参加しなかったという。
そして、ゼウスは吐き出された兄姉たちと力を合わせ、クロノスを始めとするティンとの戦い[[ティノマキア]]に勝利した。この戦いにはティン神族の長兄であるメティスの父オケアノスは参加しなかったという。


その後、神々の王となったゼウスはメティスを妻として迎え入れた。一説によればメティスはゼウスの妻ではなく、ゼウスから逃げ回った末に子を身ごもったとされる。このことを知ったガイアとウラノスは、メティスの子はゼウスよりも聡明で剛毅であり、もし男児であったらゼウスの地位を脅かすであろうと予言した。そのため、ゼウスは祖父ウラノスや父クロノスのように子に権力を奪われるを恐れ、用心のために父クロノスのようにメティスを飲み込んだ。一説では飲み込まれる際にメティスは様々な姿に化けて逃れたものの、蠅に変身したところを飲み込まれてしまったともされる。このでメティスとゼウスは同化し、ゼウスは知恵の神としても信仰されるになった。
その後、神々の王となったゼウスはメティスを妻として迎え入れた。一説によればメティスはゼウスの妻ではなく、ゼウスから逃げ回った末に子を身ごもったとされる。このことを知ったガイアとウラノスは、メティスの子はゼウスよりも聡明で剛毅であり、もし男児であったらゼウスの地位を脅かすであろうと予言した。そのため、ゼウスは祖父ウラノスや父クロノスのように子に権力を奪われることを恐れ、用心のために父クロノスのようにメティスを飲み込んだ。一説では飲み込まれる際にメティスは様々な姿に化けて逃れたものの、蠅に変身したところを飲み込まれてしまったともされる。このことでメティスとゼウスは同化し、ゼウスは知恵の神としても信仰されるようになった。


しかし時はに遅く、メティスはに懐妊しており、胎児はゼウスの頭部へ移って生きていた。さらにメティスは胎児のために甲冑を作り、その行為がゼウスに激しい頭痛をもたらした。やがて子が生まれる月になると、ゼウスは痛みに耐えかね、[[リビア]]の[[トリトニス湖]]のほとりで[[プロメテウス]]や[[ヘパイストス]]、[[ヘルメス]]などに相談し、ヘパイストスに斧で頭を叩き割るに命じた。すると、中からに成人し、甲冑で完全に武装した女神が飛び出した。これが[[アテナ]]であった。
しかし時はすでに遅く、メティスはすでに懐妊しており、胎児はゼウスの頭部へ移って生きていた。さらにメティスは胎児のために甲冑を作り、その行為がゼウスに激しい頭痛をもたらした。やがて子が生まれる月になると、ゼウスは痛みに耐えかね、[[リビア]]の[[トリニス湖]]のほとりで[[プロメテウス]]や[[ヘパイストス]]、[[ヘルメス]]などに相談し、ヘパイストスに斧で頭を叩き割るように命じた。すると、中からすでに成人し、甲冑で完全に武装した女神が飛び出した。これが[[アテ]]であった。


この後、メティスはゼウスの体内で善悪を予言するようになったという。
この後、メティスはゼウスの体内で善悪を予言するようになったという。


また[[プラトン]]の『[[饗宴]]』によれば、メティスは[[ポロス]]の母、つまり[[エロス]]の祖母であるともされる。
また[[プラトン|プラトーン]]の『[[饗宴]]』によれば、メティスは[[ポロス]]の母、つまり[[エロス]]の祖母であるともされる。


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2009年6月28日 (日) 04:43時点における版

メティス (Metis)

  1. ギリシア神話に登場する女神で以下の名の由来である。本項で後述。
  2. 木星衛星メティス (衛星) (Jupiter XVI Metis)。
  3. 小惑星メティス (小惑星) (9 Metis) 。 
  4. 日本の女性レゲェ歌手、Metis
  5. カナダの先住民族、メティス (カナダ)

メーティスΜῆτις (Μη^τις) , Metis)は、ギリシア神話に登場する女神長母音を省略してメティスとも表記される。名は「知恵」の意味。「叡智」や「思慮」及び「助言」を意味する知性の神である。3000人いるというオーケアノステーテュースの娘オーケアニデスの一人であり、ティーターン神族に数えられる。ゼウスの最初の妻であり、アテーナーの母である。

物語

ティーターン神族の末弟クロノスは母ガイアの命を受けて父であるウーラノスを倒し、神々の王となった。しかし、その際にウーラノスによって自身も同様に子に倒されるという予言を受け、子が生まれるたびにそれを飲み込んだ。クロノスの妻レアーはそれを悲しみ、ガイアに相談して闇夜の外で末子ゼウスを産み、石をゼウスと偽って持ち帰り、それをクロノスに飲み込ませたために助かった。

ゼウスはクレータ島で育てられ、成人すると母レアーと知恵の女神メーティスと共に、食べられた兄姉たちの仇を打つことにした。ゼウスはメーティスに命じ、メーティスは自分の作った嘔吐薬をネクタル(神酒)に混ぜてクロノスに飲ますことに成功した。クロノスはまず最初にゼウスと偽られて飲み込んだ石を吐き出し、続いてポセイドーンハーデースヘーラーデーメーテールヘスティアーと、飲み込んだ際とは逆の順で彼らを吐き出した。ただし、一説によればメーティスは関与しておらず、ゼウス自身がクロノスの背中をたたき吐き出させたという。

そして、ゼウスは吐き出された兄姉たちと力を合わせ、クロノスを始めとするティーターンとの戦いティーターノマキアーに勝利した。この戦いにはティーターン神族の長兄であるメーティスの父オーケアノスは参加しなかったという。

その後、神々の王となったゼウスはメーティスを妻として迎え入れた。一説によればメーティスはゼウスの妻ではなく、ゼウスから逃げ回った末に子を身ごもったとされる。このことを知ったガイアとウーラノスは、メーティスの子はゼウスよりも聡明で剛毅であり、もし男児であったらゼウスの地位を脅かすであろうと予言した。そのため、ゼウスは祖父ウーラノスや父クロノスのように子に権力を奪われることを恐れ、用心のために父クロノスのようにメーティスを飲み込んだ。一説では飲み込まれる際にメーティスは様々な姿に化けて逃れたものの、蠅に変身したところを飲み込まれてしまったともされる。このことでメーティスとゼウスは同化し、ゼウスは知恵の神としても信仰されるようになった。

しかし時はすでに遅く、メーティスはすでに懐妊しており、胎児はゼウスの頭部へ移って生きていた。さらにメティスは胎児のために甲冑を作り、その行為がゼウスに激しい頭痛をもたらした。やがて子が生まれる月になると、ゼウスは痛みに耐えかね、リビアトリートーニス湖のほとりでプロメーテウスヘーパイストスヘルメースなどに相談し、ヘーパイストスに斧で頭を叩き割るように命じた。すると、中からすでに成人し、甲冑で完全に武装した女神が飛び出した。これがアテーナーであった。

この後、メーティスはゼウスの体内で善悪を予言するようになったという。

またプラトーンの『饗宴』によれば、メーティスはポロスの母、つまりエロースの祖母であるともされる。