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2009年3月5日 (木) 23:01時点における版
メティス (Metis)
- ギリシア神話に登場する女神で以下の名の由来である。本項で後述。
- 木星の衛星、メティス (衛星) (Jupiter XVI Metis)。
- 小惑星、メティス (小惑星) (9 Metis) 。
- 日本の女性レゲェ歌手、Metis
- カナダの先住民族、メティス (カナダ)。
メティス(メーティス、Μῆτις (Μη^τις) , Metis)は、ギリシア神話に登場する女神。名は「知恵」の意味。「叡智」や「思慮」及び「助言」を意味する知性の神である。3000人いるというオケアノスとテテュスの娘オケアニデスの一人であり、ティタン神族に数えられる。ゼウスの最初の妻であり、アテナの母である。
物語
ティタン神族の末弟クロノスは母ガイアの命を受けて父であるウラノスを倒し、神々の王となった。しかし、その際にウラノスによって自身も同様に子に倒されるという予言を受け、子が生まれるたびにそれを飲み込んだ。クロノスの妻レアはそれを悲しみ、ガイアに相談して闇夜の外で末子ゼウスを産み、石をゼウスと偽って持ち帰り、それをクロノスに飲み込ませたために助かった。
ゼウスはクレタ島で育てられ、成人すると母レアと知恵の女神メティスと共に、食べられた兄姉達の仇を打つことにした。ゼウスはメティスに命じ、メティスは自分の作った嘔吐薬をネクタル(神酒)に混ぜてクロノスに飲ますことに成功した。クロノスはまず最初にゼウスと偽られて飲み込んだ石を吐き出し、続いてポセイドン、ハデス、ヘラ、デメテル、ヘスティアと、飲み込んだ際とは逆の順で彼らを吐き出した。但し、一説によればメティスは関与しておらず、ゼウス自身がクロノスの背中をたたき吐き出させたという。
そして、ゼウスは吐き出された兄姉達と力を合わせ、クロノスを始めとするティタンとの戦いティタノマキアに勝利した。この戦いにはティタン神族の長兄であるメティスの父オケアノスは参加しなかったという。
その後、神々の王となったゼウスはメティスを妻として迎え入れた。一説によればメティスはゼウスの妻ではなく、ゼウスから逃げ回った末に子を身ごもったとされる。このことを知ったガイアとウラノスは、メティスの子はゼウスよりも聡明で剛毅であり、もし男児であったらゼウスの地位を脅かすであろうと予言した。そのため、ゼウスは祖父ウラノスや父クロノスのように子に権力を奪われる事を恐れ、用心のために父クロノスのようにメティスを飲み込んだ。一説では飲み込まれる際にメティスは様々な姿に化けて逃れたものの、蠅に変身したところを飲み込まれてしまったともされる。この事でメティスとゼウスは同化し、ゼウスは知恵の神としても信仰される様になった。
しかし、時は既に遅く、メティスは既に懐妊しており、胎児はゼウスの頭部へ移って生きていた。さらにメティスは胎児のために甲冑を作り、その行為がゼウスに激しい頭痛をもたらした。やがて子が生まれる月になると、ゼウスは痛みに耐えかね、リビアのトリトニス湖のほとりでプロメテウスやヘパイストス、ヘルメスなどに相談し、ヘパイストスに斧で頭を叩き割る様に命じた。すると、中から既に成人し、甲冑で完全に武装した女神が飛び出した。これがアテナであった。
この後、メティスはゼウスの体内で善悪を予言するようになったという。