「わんぱく王子の大蛇退治」の版間の差分

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*企画:[[吉田信]]、[[高橋勇]]、[[飯島敬]]
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*脚本:[[池田一朗]]、[[飯島敬]]
*脚本:[[池田一朗]]、[[飯島敬]]
*動画監修:[[山本早苗]]
*音楽:[[伊福部昭]]
*作画監督:[[森康二]]
*作画監督:[[森康二]]
*原画:古沢日出夫、熊川正雄、[[大塚康生]]、楠部大吉郎、永沢詢、勝井千賀雄、奥山玲子、喜多真佐武
*原画:古沢日出夫、熊川正雄、[[大塚康生]]、楠部大吉郎、永沢詢、勝井千賀雄、奥山玲子、喜多真佐武
*動画監修:[[山本早苗]]
*動画:[[月岡貞夫]]
*動画:[[月岡貞夫]]
*美術:小山礼司
*美術:小山礼司
*音楽:[[伊福部昭]]
*演出:[[芹川有吾]]
*演出:[[芹沢有吾]]


== 声の出演 ==
== 声の出演 ==

2008年2月16日 (土) 05:49時点における版

わんぱく王子の大蛇退治(わんぱくおうじのおろちたいじ)は、1963年に公開された東映動画製作の劇場用アニメ映画(長編漫画映画)。86分。カラーワイド版。

日本神話天岩戸説話、素盞嗚尊八岐大蛇退治に材を採り、子供向けの明快なファンタジー映画となっている。

スタッフ

声の出演

  • スサノオ:住田知仁(現・風間杜夫)
  • クシナダ姫:岡田由起子
  • アカハナ(ウサギ):久里千春
  • タロウ(トラ):木下秀雄
  • イザナギ:篠田節夫
  • イザナミ:友部光子
  • ワダツミ:山内雅人
  • ツクヨミ:木下秀雄
  • 戦いの大臣:風祭修一
  • アマテラス:新道乃里子
  • タイタン坊:川久保潔
  • 火の神:巌金四郎
  • オモイカネ:八木光生
  • クシナダ姫の父:山内雅人
  • ネズミ:古賀浩二

ストーリー


注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


王子スサノオは両親イザナギイザナミのもとで、楽しく暮らしていた。トラのタロウですら打ち負かしてしまう元気な少年である。ところがある日、母イザナミが亡くなってしまう。幼さゆえに母の死の意味を理解できず、スサノオは母が行った黄泉の国に母を訪ねていくことを決意。舟を作り、ウサギのアカハナを供に船出する。

大海原で乱暴者の魚を退治して、海の神ワダツミに兄ツクヨミが治める夜の国への道を教えられる。ツクヨミに黄泉の国への道を尋ねるが、教えてもらえず、火の国を訪ねる。火の国は、火の神が暴れる荒廃した土地だった。スサノオは火の神と戦い、兄ツクヨミが餞別にアカハナに渡していた「氷の玉」の助けを借りて、火の神を打ち負かす。移住できる豊かな土地を探したいと望む火の国の住民の代表・タイタン坊を供に加え、スサノオは姉アマテラスが治める高天原に行く。

姉の勧めもあり、スサノオは高天原で働き始めたものの、いくつもの失敗が重なり、アマテラスは岩戸に隠れてしまう。日の神アマテラスが隠れてしまい、世界が真っ暗になってしまったため、オモイカネを始めとする高天原の住人たちは、一計を案じ、アマテラスを岩戸から連れ出すのに成功する。一連の騒動の責任を感じたスサノオの反省の様子を見て、姉アマテラスはスサノオを励まし、出雲の国に送り出す。

出雲の国は、荒廃し、悲しみに満ちた土地だった。母イザナミの面影を思わせる少女・クシナダ姫が怪物・八叉の大蛇(ヤマタノオロチ)の生贄にされてしまうのだという。クシナダ姫と両親の嘆きを見たスサノオはヤマタノオロチを退治することを申し出る。

ヤマタノオロチはその名のとおり、八つの頭を持つ凄まじい怪物だった。スサノオは天馬・天早駒(アメノハヤコマ)の力と、アカハナとタイタン坊らの助力も借り、果敢に立ち向かうが、ヤマタノオロチの最後の頭を前に剣を折られ、追い詰められる。その時、母イザナミから贈られた勾玉のお守りが剣に変じた。死闘を終え、気を失ってクシナダ姫に発見されたスサノオは、誇らしげに勝利を告げる。そして、彼らの目の前でヤマタノオロチの亡骸は緑の山々や水の流れに変わっていった。やがて、遥か彼方の青空に虹がかかり、母イザナミの幻がスサノオたちを祝福した。「この土地こそが母なる幸せの国だ」と。

解説

  • スタッフ180人、作画枚数25万枚、絵の具1トンを使用(公式記録より)。東映動画の良心作として知られる。
  • 八叉の大蛇と天早駒(アメノハヤコマ)にまたがるスサノオの空中戦は300カット、動画1万枚を超える日本アニメーション史上に残る名場面である。
  • 天岩戸のエピソードのアメノウズメの岩戸神楽や、クシナダ姫のアクションシーンは、女優のライブアクション撮影を参考に作画された。
  • 本作にて、アニメーション映画としての、作画の絵柄統一を図る作画監督制度が始めて採用された。
  • 音楽担当の伊福部昭は日本クラシック音楽界の第一人者であり、東宝特撮をはじめとする映画の劇伴音楽を数多く作曲したことでも知られるが、同じく日本神話に題材をとり、須佐之男命の大蛇退治が描かれた1959年の東宝映画『日本誕生』の音楽などを受けて、特に音楽担当として起用された。ここでの伊福部の仕事は単なるBGMにとどまらず、作画、演出と完全に一体化して、作品の流れをリズミカルかつ澱みなく紡ぎだしてゆく優れたものであり、楽器によって表現する効果音の領域にまで踏み込んでいる。本作の音楽は、作曲者・伊福部昭により、2003年に同名の交響組曲として纏められた。

 賞歴

外部リンク