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2008年1月30日 (水) 10:32時点における版

救命ボート

救命ボート(きゅうめいボート)とは、船舶海難・水難事故(沈没を含む)時における脱出用や、水害発生時の被災者を救出するための小型ボートのこと。転じて、船舶の体を成していなくても非常脱出用の機器・装置をこう呼ぶ場合がある。

概要

船舶に搭載するものでは、古くはカッターボートが用いられてきたが、素材の改良に伴いゴムボートも普及ている。旅客機などの航空機では、洋上への不時着に備えてコンパクトに収納された、自動的に膨らむゴムボートが標準的に積まれている。

軍艦や一部の商船では銅板で作った浮体をぴったり並べて楕円形を作り、キャンバスで包んで床を張った救命筏も盛んに用いられた。大型船舶に常備されるほか、水辺の監視所や水防倉庫・防災倉庫などにも配置される。水防倉庫や防災倉庫などに収納されているものの中には、アルミなどによる折り畳み式のものもみられる。北方洋で操業する漁船に積まれているものなどでは、大波に晒された悪天候下でも転覆しないようFRP樹脂製の密閉カプセル型のものもあり、被災者の生存率を高めるための様々な工夫が凝らされている。

船舶や航空機に積まれている脱出用の救命ボートや救命いかだの場合は、脱出後の漂流(サバイバル)に備えて非常食通信機飲料水ないし蒸留器を備える他、釣具や医療キット・捜索隊に存在を知らせる海面染色剤など、様々な物品が付属して積まれている。

船舶に常備される救命ボート

膨らんで利用されるカプセル型

救命ボートを軽視して事故が拡大したタイタニック号沈没事故を教訓に、現在の船舶では、本船乗員乗客数以上の救命ボート定員確保が義務づけられている。木製や金属製のボートの他、着水時に自動的に膨らむゴムナイロン製の救命いかだ(通常時はカプセルに詰められている)などが配備されている。これらは目立つよう白色、オレンジ色に着色されている。

動力は人力によるものや簡易のを持つものもあるが、その一方で電動機による船外機を持つものも見られる。より大型のものや水害時用のものでは、ガソリンエンジンによる大型の船外機が用いられる。ただし漂流物が多い場合はスクリューを損傷する恐れがあるため、やはり人力によるオールに頼らざるをえない。

宇宙の救命ボート

宇宙船宇宙ステーションにも救命ボートに相当するものが搭載されている。

これには幾つかあり、NASAアポロ計画で使用されたサターンVロケットには、打ち上げフェイズのトラブル時に緊急脱出用として、宇宙飛行士の乗った指令船の一部を固体ロケットで切り離して一定距離を自力で飛行できる能力が搭載されていた(→ LES )。

またスペースシャトルでは打ち上げ・再突入時における安全な脱出方法は(その速度もあって)搭載されていない。ただし軌道上のトラブルでシャトルを放棄せざるをえなくなった際に軌道上に脱出するための「レスキューボール」と呼ばれる白いナイロン製の装備(→ Personal Rescue Enclosure[1])が計画されていた。これらはもちろん大気圏への再突入を行うことは不可能だが、宇宙服のように宇宙の厳しい環境から中の人間を保護するための生命維持装置が組み込まれており、これで故障したシャトルから船外活動の訓練を受けた飛行士に運ばれ別のシャトルへの乗り換えを行うか、宇宙空間を漂いながら救助を待つと言うアイデアである。しかし現状では、すぐさま軌道上を漂流するこれらを回収する手段がないため、本採用には至らなかった。直径約86cmで、人1人が1時間程度宇宙空間で生存可能である。

現在運用されている国際宇宙ステーション (ISS) では、同ステーション生活者の緊急脱出用にソユーズの軌道船が接続されている。ソユーズは半年程度で交換される。

現在アメリカではISSからの大気圏再突入可能な機体としてXプレーンシリーズのX-38開発を進めている。この機体は緊急時に自動航行で大気圏突入を行う機能があり、将来的には特別な訓練を受けていない研究者でも、乗り込みさえすれば地球上に帰還できると見られている。

なお打ち上げと帰還に際して、事故などによる海面着水時に備えて、打ち上げロケットや大気圏再突入用のカプセルには、サバイバルキットの付属した救命いかだ(水に浮くもの)も搭載されている。

なお余禄ではあるが、アポロ13号では宇宙船の故障により、月着陸船を元々の設計目的で利用することは無かったものの、これに搭載された生命維持システムが乗組員の生命を繋ぐ文字通りの「救命ボート」となった。この事故は宇宙開発史に残る「輝かしい失敗」と呼ばれ、『アポロ13』として映画化されている。

関連項目