岡田吉美

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

岡田 吉美(おかだ よしみ、1929年昭和4年)2月3日[1] - 2022年令和4年)8月17日[2]) は、日本の分子生物学者。東京大学名誉教授。理学博士。位階勲等は従四位瑞宝中綬章[3][4]静岡市出身。

人物・経歴[編集]

1945年静岡県立静岡中学校(現・静岡県立静岡高等学校)卒業[5]。1952年大阪大学理学部化学科卒業。赤堀四郎に師事。同大学院理学研究科修了。九州大学医学部、大阪大学医学部で助手。1964年オレゴン大学客員準教授(1966年まで)。留学中、ストライジンガーと共同でT4リゾチームの系を用い、フレームシフト変異の存在を蛋白質化学により、世界で初めて実証した。帰国後、新設の農林省植物ウイルス研究所において、タバコモザイクウイルス(TMV)の研究に着手。1972年東京大学理学部生物化学科教授。TMVのゲノムRNAをいったんDNAに置き換えたものをin vitro DNA組み換えの技法で改変し、転写させて得た産物を植物に導入することにより変異体TMVを得るという画期的な方法を開発、ウイルス遺伝子の機能の新しい解析法とTMVのベクター化への道を切り開いた。1989年東大退官の後、帝京大学理工学部教授[6]日本ウイルス学会名誉会員[7]

2004年(平成16年)秋の叙勲で瑞宝中綬章を受章[4]

2022年(令和4年)8月17日、死去[2]。93歳没。死没日付で従四位に叙された[3]

受賞歴[編集]

栄典[編集]

著書[編集]

  • 『遺伝暗号のナゾにいどむ』 岡田吉美 著 岩波書店 2007.3[8]
  • 『ウイルスってなんだろう』 岡田吉美 著 岩波書店 2005.4[9]
  • 『タバコモザイクウイルス研究の100年』 岡田吉美 著 東京大学出版会 2004.12[10]
  • 『新植物をつくりだす』 岡田吉美 著 岩波書店 2001.3[11]
  • 『DNA農業』 岡田吉美 著 共立 1997.2[12]
  • 『夢の植物を創る』 岡田吉美 著 東京化学同人 1994.9[13]
  • 『植物バイオテクノロジー』 山田康之 ; 岡田吉美 編 東京化学同人 1991.9.20[14]
  • 『高等植物の情報発現と制御』 岡田吉美, 池田穣衛丸善 1990.2[15]
  • 『プロテインエンジニアリング』 岡田吉美 著 東京化学同人 1989.2[16]

脚注[編集]

  1. ^ デジタル版 日本人名大辞典+Plus 岡田吉美
  2. ^ a b 訃報 岡田吉美先生 日本分子生物学会 2022年8月23日
  3. ^ a b c 『官報』第823号10頁 令和4年9月22日
  4. ^ a b c 『官報』号外第241号 平成16年11月4日
  5. ^ 『静中・静高同窓会会員名簿』平成15年度(125周年)版 86頁。
  6. ^ 伊庭英夫「岡田吉美先生の御退官によせて」『東京大学理学部弘報』第20巻第4号、東京大学理学部、1989年3月、15-15頁、NAID 120001631107 
  7. ^ 日本ウイルス学会 学会名誉会員
  8. ^ 遺伝暗号のナゾにいどむ
  9. ^ ウイルスってなんだろう
  10. ^ タバコモザイクウイルス研究の100年
  11. ^ 新植物をつくりだす
  12. ^ DNA農業
  13. ^ 夢の植物を創る
  14. ^ 植物バイオテクノロジー
  15. ^ 高等植物の情報発現と制御
  16. ^ プロテインエンジニアリング

外部リンク[編集]