北爪やよひ

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北爪 やよひ
Kitazume Yayoi
生誕 (1945-03-26) 1945年3月26日(79歳)
出身地 日本の旗 日本 東京都
学歴 東京芸術大学大学院
ジャンル クラシック音楽現代音楽
職業 作曲家

北爪やよひ(きたづめ やよひ、 (1945-03-26) 1945年3月26日-)は、日本の作曲家[1]。日本クラリネット協会の会長を1980年から1986年まで務めたクラリネット奏者で音楽教育者であった北爪利世の娘で、作曲家北爪道夫の姉である[2]

経歴[編集]

1945年3月26日、父利世と母和喜の長女として東京に生まれた[1][3]。父は東京音楽学校本科でクラリネットを学び、母は同校師範科でピアノと歌を専攻、叔父の規世も同校でヴィオラを学んだ音楽一家だった[3]。やよひは母親からピアノの手ほどきを受けたのち、東京芸術大学に入学、音楽理論と作曲法を池内友次郎および矢代秋雄に師事した[2][4]。在学中に作曲した「クラリネットとピアノのためのソナチネ」は、フランスのクラリネット奏者ジャック・ランスロが気に入り、リサイタルで取り上げ楽譜も出版している[1][3][5]。1970年には音楽之友社が主催する吹奏楽曲懸賞募集で「前奏曲」が優秀賞を受賞した[6]。1971年に東京芸術大学大学院を修了、翌1972年にヴィオラ、クラリネット、コントラバスのための「アンディス'72」を発表し、作曲家として本格的に活動を始める[1]。その後ハンガリーに渡りコダーイ・システム・セミナーに参加、以来日本のわらべ歌の再発見から、ソロ、アンサンブルのための「エネク」シリーズを始める[1]。「エネク」はハンガリー語で「歌う」という意味の「énekel」からきている。1974年に再興した深新会[7]第1回作品展で、3人のソプラノ、2人のトランペット、打楽器のための「エネクI」を発表[1]。2015年までに「エネク」は11作品を数え、異なる編成を使いながら自然な歌を追求している[1]。1989年に横浜で個展を開催[4]。1991年には日本現代音楽協会主催東京現代音楽祭「童楽」の部[8]に児童合唱「音は移るよ 波うつよ 我らは地球のうんてん手」[9]が入選した[1]。2000年7月17日には東京で作曲家大田桜子との二人展を開催している[4][10]。音楽の身体性、即興性に興味を広げている[1][4]

作品[編集]

管弦楽曲[編集]

  • 2002年 - Concert, voor klarinet en orkest

吹奏楽曲[編集]

  • 1969年 - 前奏曲[6]
  • 1970年 - ONT

声楽曲[編集]

合唱曲[編集]

  • 1982年 - 五つの詩:少年少女合唱のための (まど・みちお詩)[11]
  • 1991年 - 音は移るよ 波うつよ 我らは地球のうんてん手
  • 2016年 - 音楽のかたち・言語以前:混声合唱[12]

歌曲[編集]

  • 2006年 - おとのはうた:ギター、メゾソプラノ、アルト、テノール、バリトン[1][4]
  • 2010年 - おとのことのは:歌手、俳優、打楽器[4]
  • 2010年 - 山川草木虫魚禽獣:歌手[4]

室内楽[編集]

  • 1971年 - クラリネットとピアノのためのソナチネ[1]
  • 1972年 - アンディス'72: ヴィオラ、クラリネット、コントラバスのための[1]
  • 1976年 - エネクII: フルート、オーボエ、ファゴット、ピアノのための[1][4][13]
  • 1977年 - Deep・Blue・Sky: オーボエ,弦楽器とピアノのための[14]
  • 1991年 - エネクV:マリンバ奏者とコントラバスのための[1][15]
  • 1997年 - エネクIV-遠い記憶に: クラリネットとピアノ[1][4]
  • 1999年 - エネクVI: クラリネットとピアノのための[16]
  • 2000年 - Sonate, voor klarinet en piano
  • 2003年 - エネクVIII: 2本のサキソフォンのための[1][17][18] 
  • 2009年 - エネクX:アルトフルート、ピアノ[4]

ピアノ曲[編集]

  • 1978年 - インナースペース:2台のピアノのための[1][4][19]
  • 1979年 - エネクIII:ピアニストのための[1][4]
  • 2010年 - 空の音風のうた[20]
  • 2012年 - あしおとがきこえる[21]
  • 2015年 - エネクXI:ピアニストのための~そのときどきの~[12]

邦楽曲[編集]

  • 1993年 - 1994年 - はる なつ あき ふゆ: 十三絃箏唄のための[1]
  • 2001年 - のはらうた:3人の奏者のための箏唄[1][22]
  • 2002年 - 矢川澄子改竄〈妾ハ童歌抄〉より:十三絃箏唄とコントラバス[1][22]
  • 2009年 - おとない:三味線、尺八、打楽器[4]

打楽器曲[編集]

  • 2007年 - 耳の暇 (いとま): 2人の打楽器奏者のための[1]

参考文献[編集]

  • 松下鈞 (Hitoshi Matsushita) (1989). A Checklist of published instrumental Music by Japanese Composers (First Edition ed.). Tokyo: Academia Music Ltd.. ISBN 978-4-87017-039-1 
  • ジャン=マリー・ロンデックス (Jean-Marie Londeix) (1985). Musique pour saxophone, volume II : répertoire général des oeuvres et des ouvrages d'enseignement pour le saxophone (Premièr edition ed.). Cherry Hill, New Jersey: Roncorp Publications 

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v 日本の作曲家:近現代音楽人名事典. 日外アソシエーツ, 2008, pp226-227
  2. ^ a b Biografie van Risei Kitazume op de internetpagina van "World Clarinet Alliance"
  3. ^ a b c 近藤慈郎『音の終わりを大切に:北爪利世の「クラリネット、わが人生」』 音楽之友社、2002年、pp54-60
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m Kawai Online 2022年2月18日閲覧。
  5. ^ Sonatine, pour clarinette et piano|CiNii  2022年2月25日閲覧。
  6. ^ a b Musica Bella 2022年2月18日閲覧。
  7. ^ 『日本の作曲20世紀』(音楽芸術別冊) 音楽之友社、1999年, p285
  8. ^ 日本現代音楽協会年表 2022年2月25日閲覧。
  9. ^ 東京現代音楽祭“童楽”コンサートII|サントリーホール公演アーカイブ 2022年2月25日閲覧。
  10. ^ 姜小青オフィシャルサイト 2022年2月25日閲覧。
  11. ^ 音楽之友社 2022年2月20日閲覧。
  12. ^ a b 日本の作曲家の作品2015-2016|サントリー音楽財団 2022年2月20日閲覧。
  13. ^ Ének II : pour piano, flûte, haubios et bassoon|CiNii 2022年2月25日閲覧。
  14. ^ NDL Online 2022年2月18日閲覧。
  15. ^ エネク V : マリンバ奏者とコントラバスのための|CiNii 2022年2月25日閲覧。
  16. ^ エネクVI : クラリネットとピアノのための|CiNii 2022年2月25日閲覧。
  17. ^ 日本の作曲家の作品2003-2004|サントリー音楽財団 2022年2月18日閲覧。
  18. ^ エネクVIII : 2本のサキソフォンのための|CiNii 2022年2月18日閲覧。
  19. ^ NDL Online 2022年2月18日閲覧。
  20. ^ NDL Online 2022年2月18日閲覧。
  21. ^ NDL Online 2022年2月18日閲覧。
  22. ^ a b 日本の作曲家の作品2001-2002|サントリー音楽財団 2022年2月20日閲覧。

出典[編集]

外部リンク[編集]