加納悦子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

加納 悦子(かのう えつこ)は、日本メゾソプラノ歌手。国立音楽大学教授[1]。主要オーケストラとの共演やオペラ出演、また日本におけるリートの第一人者[2]。特にロベルト・シューマン後期の歌曲集では、作曲者晩年の森厳な楽想を、深い理解と堅実な解釈で汲み取って比類のないポエジーの世界を歌い上げている。

略歴[編集]

東京芸術大学大学院を終了後、ドイツ国立ケルン音楽大学声楽を学ぶ。在学中にケルン市立歌劇場のオペラスタジオ研修生として、さらに1994年からは専属歌手として契約する。1995年には、ザルツブルク国際モーツァルトコンクール声楽部門2位入賞。当時は、ジェームズ・コンロンらの指揮のもとでモーツァルトの『フィガロの結婚』、プッチーニの『蝶々夫人』、 エンゲルベルト・フンパーディンクの『ヘンゼルとグレーテル』を初めとする多くのオペラで活躍[1][2]。40以上のオペラ演目に出演[2]

シュヴェツィンゲン音楽祭シュトゥットガルト州立歌劇場オランダ・ロッテルダム・ゲルギエフ音楽祭ベルギー・フランドルオペラ、スイスザンクトガレン歌劇場などにも客演し、ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルの『アルチーナ』、モーツァルトの『コジ・ファン・トゥッテ』、ウルマンの『アトランティックの王』、リゲティの『グラン・マカーブル』などを初めとする現代オペラへの出演も多い[1]

2002年には、3月に東京でモーツァルト・グランド・ガラに出演。2003年11月7日NHK交響楽団との共演では、広上淳一指揮でドナルド・リタカー(Donald Litaker)とともにマーラー大地の歌』を歌い、内面を深く掘り下げた表現と高く評された。2004年には、日本では新国立劇場での『エレクトラ』や『カヴァレリア・ルスティカーナ』、『ホフマン物語』、『ばらの騎士』(2008年)などに出演。同交響楽団とは、1998年からはシャルル・デュトワヘルベルト・ブロムシュテット指揮、ドビュッシー選ばれた乙女』、グリーグペール・ギュント』、ブルックナー『ミサ曲』などのソリストとしてから3シーズン連続共演を行っている。

その他、ベルリオーズクレオパトラの死』、『夏の夜』などのレパートリーも披露。2008年には、毎日ゾリステンシリーズでは20世紀作品を中心としたドイツリートのプログラムリサイタルをこなしている。2009年には、NHK交響楽団とメンデルスゾーンの『夏の夜の夢』、ベルクルル』、リヒャルト・シュトラウスカプリッチョ』なども歌った[1][2]

ヨーロッパでは、バッハミサ曲 ロ短調』やルビアナ放送交響楽団との共演によるマーラー交響曲第8番』、1997年ザルツブルク音楽祭ではハイドン『聖ミサ』に出演[1][2]ミラノ・イタリア放送交響楽団とのモーツァルト『レクイエム』などのアルト独唱などがある[2]

近年では、ゲルト・アルブレヒト指揮、読売日響委嘱作品の猿谷紀郎作曲「ここに慰めはない」を世界初演、その他、ヴォルフの歌曲にシリーズで取り組んでいる。

2020年、芸術選奨文部科学大臣賞(音楽部門)受賞[3]

教育者として[編集]

国立音楽大学教授として後進の育成に取り組んでいる。

ディスコグラフィー[編集]

  • メアリ・スチュアートの詩―シューマン・後期歌曲集 (ピアノ伴奏:長尾洋史、2013年)

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e 国立音楽大学
  2. ^ a b c d e f 九州交響楽団
  3. ^ 令和元年度(第70回)芸術選奨受賞者一覧

外部リンク[編集]