リプレイ (小説)
表示
この記事は英語版の対応するページを翻訳することにより充実させることができます。(2024年5月) 翻訳前に重要な指示を読むには右にある[表示]をクリックしてください。
|
リプレイ Replay | ||
---|---|---|
著者 | ケン・グリムウッド | |
訳者 | 杉山高之(岡部宏之) | |
発行日 | 1990年7月27日 | |
発行元 | 新潮社 | |
ジャンル | 小説 | |
国 | 日本 | |
言語 | 日本語 | |
ページ数 | 474 | |
コード |
ISBN 4102325018 ISBN 978-4102325018(文庫本) | |
ウィキポータル 文学 | ||
|
『リプレイ』(Replay)は、ケン・グリムウッドにより1987年にアメリカで出版されたSF小説。記憶を持ったまま人生をやり直す男の話。1988年度の世界幻想文学大賞を受賞した。
いわゆる「ループもの」である。
あらすじ
[編集]経済的に成功していないラジオ局ディレクターのジェフ・ウィンストンは、43歳(1988年)で心臓発作による突然死を迎える。しかし、次に目を覚ますと18歳(1963年)の時点に遡っており、新しく人生をやり直すことになる。
ジェフは「未来の記憶」を存分に利用し、やり直しの人生(リプレイ)を謳歌するが、結局は同じ年の同じ時刻に死を迎え、人生のやり直しを強制再開させられる。この繰り返すリプレイの中で自暴自棄と諦観に囚われるが、同じ立場の女性と巡り合い、ジェフは改めて人生に向かい合うようになる。しかし、やがてリプレイ期間が次第に短くなり、主人公らは究極の絶対死(リプレイの終了)が訪れることを知る。
登場人物
[編集]オリジナルの人生(リプレイ前)
[編集]- ジェフ・ウィンストン(主人公)
- ニューヨークにあるラジオ局のニュース部門担当ディレクター。1988年10月18日の午前1時06分に心臓発作で突然死する。
- リンダ・ウィンストン
- ジェフの妻。ジェフと恋愛結婚するが、子宮外妊娠をした後、子供を作れない身体になり、1988年時点ではジェフと疎遠になっている。
- ジュディ・ゴードン
- ジェフの学生時代の恋人。疎遠になり、その後は音信不通。
- マーティン・ベイリー
- ジェフの学生時代のルームメイトで親友。多額の慰謝料を伴う離婚の後に自殺。
- パメラ・フィリップス
- ジェフとは知り合っていない。二児の母。夫とは険悪ではないが、惰性で結婚生活が続いている。1988年10月18日の午前1時15分、ジェフの死亡から9分後に心臓発作で死亡。
リプレイ・1回目
[編集]- ジェフ・ウィンストン
- 巨大コングロマリット「未来社」の創業社長で経営者。
- ジュディ・ゴードン
- ジェフのリプレイ開始時点の恋人。リプレイ開始後、疎遠になりその後は消息不明。
- フランク・マードック
- ジェフの大学の上級生。やがて「未来社」創業時のパートナーとなる。
- リンダ
- ジェフのオリジナル人生の妻。今回のリプレイではジェフは接触に失敗し、そもそも付き合えず。他の男の妻となる。
- シャーラ・ベイカー
- ジェフの愛人。いわゆるベガス・ガールで、奔放な性格。
- ダイアン・ウィンストン
- 上流階級出身のジェフの妻。上流階級の思考に染まらないジェフとの関係は良好ではない。
- グレッチェン・ウィンストン
- ジェフとダイアンの娘。ピアノ演奏に天賦の才を持っている。
- ネルソン・ベネット
- 大統領暗殺犯。オリジナルの世界におけるオズワルドの役回り。
リプレイ・2回目
[編集]- ジェフ・ウィンストン
- 中堅の資産運用会社の経営者。堅実で健康的な生活を送る典型的な良きアメリカ人。
- ジュディ・ウィンストン
- ジェフの学生時代からの恋人で、そのまま結婚。性格は純真かつ温厚。ジェフの理想的な妻として堅実な人生を送る。子供が出来なかったため、ジェフに養子を取ることを提案する。
- エイプリル&ドゥエイン
- ジェフとジュディの養子。
リプレイ・3回目
[編集]- ジェフ・ウィンストン
- 賭けで財産を確保した後はドラッグに溺れ、パリを中心に放蕩生活。ある事件を契機に隠遁生活に入る。
- シャーラ・ベイカー
- ジェフの愛人で同棲相手。
- パメラ・フィリップス
- スーパーヒットした映画のプロデューサー。ジェフと知り合い、当初は意見の相違があったが、後に恋人となる。
- ジュディ
- ジェフの学生時代の恋人。ジェフと再会時に息子シーンを紹介する。
- シーン
- ジュディの息子。パメラの映画に影響を受け、海洋生物学者を志す。
リプレイ・4回目
[編集]- ジェフ・ウィンストン
- 堅実な投資を行なう事業者。
- パメラ・ウィンストン(パメラ・フィリップス)
- 高校を首席で卒業した後、ジェフと結婚。
- スチュアート・マカウワン
- 殺人鬼であり、精神を病んでいる。
リプレイ・5回目
[編集]- ジェフ・ウィンストン
- 裕福な市民。新聞広告で「予言」をし、自らの特殊性を証明した後、自身の謎について学術的解明を要求する。
- パメラ(パメラ・フィリップス)
- ジェフのパートナー。
- ラッセル・ヘッジズ
- 国務省の役人。ジェフ達を軟禁し、情報の提供を強要。
リプレイ・6回目
[編集]- ジェフ・ウィンストン
- ルポルタージュのベストセラー作家。ピュリッツァー賞を受賞している。
- リンダ・ウィンストン
- ジェフの良き妻であり、ジェフを心より愛している。
- パメラ・ロビンソン(パメラ・フィリップス)
- 芸術家。本姓がロビンソン、ペンネームには旧姓のフィリップスを利用。
- スティーブ・ロビンソン
- パメラの夫。医師。
- クリストファー&キンバリー
- パメラとスティーブとの間に生まれた息子と娘。
リプレイ・7回目
[編集]- ジェフ・ウィンストン
- 隠遁生活を送る資産家。グライダーの卓越した操縦技術を持つ。
- リンダ・ウィンストン
- ジェフの元妻。子宮外妊娠後(リプレイ前)にジェフと不仲になっていた。リプレイ開始直後に離婚。
- パメラ・フィリップス
- 元主婦。夫のロビンソンと離婚。前夫との二人の子供と共に、ジェフと同棲生活中。
- クリストファー&キンバリー
- パメラとスティーブとの間に生まれた息子と娘。
リプレイ・8回目
[編集]- ジェフ・ウィンストン
- 妻との離婚後、ひっそり暮らしている投資家。既婚女性と不倫関係にあり、パトロン的立場。
- パメラ・ロビンソン
- 主婦。ジェフと知り合った後、不倫関係。ジェフの援助で美術学校に通う。
- パメラ(・フィリップス)
- ジェフをよく知る女性。
リプレイ・9回目以降
[編集]- ジェフ・ウィンストン
- ニューヨークにあるラジオ局のニュース部門担当ディレクター。1988年10月18日の午前1時06分に心臓発作で突然死する。
受賞歴
[編集]1988年度 世界幻想文学大賞(World Fantasy Award)
SF作品としての評価
[編集]本作品は幾つかの推奨読書リストに入ったことがある。
- 「現代ファンタジー:小説ベスト100(Modern Fantasy: The Hundred Best Novels)」 (1988年)
- "Locus"(1988年)、(読者投票によるSF小説部門ベスト作品)
- オーレル・ギルメットの ("Aurel Guillemette's") 「ベストSF作品 (The Best in Science Fiction), 1993年」
- デビット・プリングルの(David Pringle's)「SF作品への究極ガイド(Ultimate Guide to Science Fiction)」(1995年)
- 「本の雑誌が選ぶ30年間のベスト30」第5位(2005年)