岡部宏之
表示
岡部 宏之(おかべ ひろゆき、1931年(昭和6年)1月17日[1] - 2023年12月29日[2])は、日本のSF翻訳家、詩人。日本文藝家協会会員。杉山 高之の名義も使用した。
人物・来歴
[編集]静岡県静岡市出身。 1953年静岡大学文理学部卒業。静岡のSFサークル「東海SFの会」で活動している際、浜松在住の浅倉久志の紹介でSF翻訳家になる。SFファン時代の1967年、ハインラインの『宇宙の戦士』が翻訳され、石川喬司の否定的なレビューにより『SFマガジン』誌上で論争となった際、杉山高之名義で論争に参加しており、のちの石川の著書『SFの時代』で「読み応えがある」と4頁もにわたり投稿全文が紹介されている[3]。なお、この時の杉山の在住地は「静岡県志太郡岡部町」と書かれている。
シリーズ物の翻訳を多数担当。主訳書にファーマー『飛翔せよ、遙かなる空へ』『魔法の迷宮』、ゼラズニイ『混沌の宮廷』、ウルフ『拷問者の影』、グリムウッド『リプレイ』(杉山高之名義)、キャンベル『名ヴァイオリニストたち』、マーティン「氷と炎の歌」シリーズ、アシモフ「銀河帝国興亡史」など。「氷と炎の歌」シリーズは3部まで岡部が翻訳したが、翻訳業から引退、4部以降は酒井昭伸に訳者を交代した。
著書に詩集『雨季』。
著書
[編集]- 『雨季 詩集』(杉山高之名義、〔Λ〕詩社) 1956
翻訳
[編集]- 『大いなる爆発』(エリック・フランク・ラッセル、早川書房、ハヤカワ・SF・シリーズ) 1968
- 『敵の星』(ポール・アンダースン、早川書房、ハヤカワ・SF・シリーズ) 1969
- 『宇宙の深淵より』(エリック・フランク・ラッセル、早川書房、ハヤカワ・SF・シリーズ) 1969
- 『コロサス』(D・F・ジョーンズ、早川書房、ハヤカワ・SF・シリーズ) 1969
- 『闇よ落ちるなかれ』(L・スプレイグ・ディ・キャンプ、早川書房、ハヤカワ・SF・シリーズ) 1970、のち文庫
- 『バベル=17』(サミュエル・R・ディレーニイ、早川書房、ハヤカワ・SF・シリーズ) 1970、のち文庫
- 『最後の地球船』(ジョン・ボイド、ハヤカワSF文庫) 1971
- 『星屑のかなたへ』(ジェイムズ・ブリッシュ、早川書房、ハヤカワ・SF・シリーズ) 1974、のち文庫
- 『未来世界の子供たち』(A・E・ヴァン・ヴォークト、創元推理文庫) 1977
- 『宇宙からの来訪者 驚異のUFO体験』(ブリンズリー・ルポア・トレンチ、角川文庫) 1977
- 『ガラスの塔』(ロバート・シルヴァーバーグ、ハヤカワ文庫) 1978
- 『不老不死プロジェクト』(ロバート・シルヴァーバーグ、創元推理文庫) 1978
- 『悪魔のハンマー』(ラリイ・ニーヴン, ジェリイ・パーネル、ハヤカワ文庫) 1980
- 『タイムストーム』上・下(G・ディクスン、講談社文庫) 1981
- 『ダイノスター破壊計画』(キット・ペドラー, ゲリー・デイヴィス、角川書店) 1982
- 『名ヴァイオリニストたち』(マーガレット・キャンベル、東京創元社) 1983
- 『コクーン』(デーヴィッド・サパースティーン、角川文庫) 1985
- 『コイルズ』(ロジャー・ゼラズニイ, フレッド・セイバーヘーゲン、創元推理文庫) 1986
- 『ミッドナイトラン』(ポール・モネット、新潮文庫) 1988
- 『天空の劫火』(グレッグ・ベア、ハヤカワ文庫) 1988
- 『リプレイ』(ケン・グリムウッド、杉山高之名義訳、新潮文庫) 1990 - 1988年度世界幻想文学大賞受賞
- 『5000粒のダイヤを恋人に』(ジェラルド・A・ブラウン、杉山高之名義訳、新潮文庫) 1992
- 『百万年の船』1 - 3(ポール・アンダースン、ハヤカワ文庫) 1993 - 1994
- 『天界の殺戮』上・下(グレッグ・ベア、ハヤカワ文庫) 1994
- 『アウストラロピテクス』(ペトゥル・ポペスク、杉山高之名義訳、新潮文庫) 1998
キース・ローマー
[編集]- 『前世再生機』(キース・ローマー、ハヤカワSF文庫) 1971
- 『混線次元大騒動』(キース・ローマー、ハヤカワ文庫) 1975
- 『突撃! かぶと虫部隊』(キース・ローマー、ハヤカワ文庫) 1975
「バーサーカー」シリーズ
[編集]- フレッド・セイバーヘーゲン「バーサーカー・シリーズ」 ハヤカワSF文庫
- 『バーサーカー皆殺し軍団』 1973
- 『バーサーカー赤方偏移の仮面』(浅倉久志共訳) 1980
- 『バーサーカー星のオルフェ』(浅倉久志共訳) 1990
「真世界アンバー」シリーズ
[編集]- ロジャー・ゼラズニイ「真世界シリーズ」ハヤカワ文庫
- 1『アンバーの九王子』 1978
- 2『アヴァロンの銃』 1980
- 3『ユニコーンの徴』 1980
- 4『オベロンの手』 1981
- 5『混沌の宮廷』 1981
「リバーワールド」
[編集]- フィリップ・ホセ・ファーマー「リバーワールド」ハヤカワ文庫
- 1『果しなき河よ我を誘え』 1978
- 2『わが夢のリバーボート』 1979
- 3『飛翔せよ、遥かなる空へ』 1983
- 4『魔法の迷宮』 1984
「ジャンプドア」シリーズ
[編集]- フランク・ハーバート「ジャンプドア」シリーズ 創元推理文庫
- 1『ドサディ実験星』 1979
- 2『鞭打たれる星』 1979
ジョーン・D・ヴィンジ
[編集]- 『雪の女王』(ジョーン・D・ヴィンジ、早川書房、海外SFノヴェルズ) 1982、のち文庫
- 『琥珀のひとみ』(ジョーン・D.ヴィンジ、浅羽莢子共訳、創元推理文庫) 1983
- 『世界の果て』(ジョーン・D・ヴィンジ、ハヤカワ文庫) 1987
「銀河帝国興亡史」
[編集]- アイザック・アシモフ「銀河帝国興亡史」ハヤカワ文庫
- 1『ファウンデーション』 1984
- 2『ファウンデーション対帝国』 1984
- 3『第二ファウンデーション』 1984
- 4『ファウンデーションの彼方へ』 早川書房 1984、のち文庫
- 5『ファウンデーションと地球』 早川書房 1988、のち文庫
- 6『ファウンデーションへの序曲』 早川書房 1990、のち文庫
- 7『ファウンデーションの誕生』 早川書房 1995、のち文庫
「新しい太陽の書」
[編集]- 1『拷問者の影』 1986
- 2『調停者の鉤爪』 1987
- 3『警士の剣』 1987
- 4『独裁者の城塞』 1988
- 5『新しい太陽のウールス』 2008
「氷と炎の歌」
[編集]- ジョージ・R・R・マーティン「氷と炎の歌」早川書房 のち文庫
- 1『七王国の玉座』2002
- 2『王狼たちの戦旗』2004
- 3『剣嵐の大地』2006
参考文献
[編集]- 日外アソシエーツ人物情報
- 新潮社著者紹介(杉山高之)https://www.shinchosha.co.jp/writer/1832/
- 『ミステリーズ!』vol.40 岡部宏之「追悼・浅倉久志」