ファクトリオン
数学において、ファクトリオン(英: factorion)とは、 各桁の数字の階乗の和がその数自身となる自然数である。例えば、145は、1! + 4! + 5! = 1 + 24 + 120 = 145であるためファクトリオンである。
十進法では、ファクトリオンは、1、2、145、40585(オンライン整数列大辞典の数列 A014080)の4つのみである。
ファクトリオン、という名称は、Clifford A. Pickoverが彼の著書、Keys to Infinity の22章、"The Loneliness of the Factorions"で用いた。
上限
[編集]nをd桁の自然数であるファクトリオンとすると、10d − 1 ≤ n ≤ 9!d(ただし9!dは9!とdの積の意である)が成り立たなければならない。しかしこれは、d ≥ 8に対し成り立たず、nは最大で7桁であることが分かるため、最初の上限として、9999999が分かる。しかし、7桁の数の各桁の階乗の和は、9!*7 = 2540160なので、2番目の上限は2540160となる。さらに、9!6 = 2177280であり、6つの9があり、2540160より大きくない7桁の自然数は、1999999である。これは、調べれば分かる通りファクトリオンではない。次の最大の和は、1999998である。同様の手順で、次の上限は1854721と分かる。
他の基数
[編集]十進法以外にも定義が拡張されている場合、ファクトリオンは無限に存在する。これの例として、任意のn > 3 である自然数に対し、n! + 1 と n! + 2は(n-1)!進法でファクトリオンであり、2桁で"n1"、"n2"と書かれる。例えば、25と26は六進法でファクトリオンであり、"41"、"42"と書かれる。また、121と122は二十四進法でファクトリオンであり、"51"、"52"と書かれる。
n > 2に対し、n! + 1はさらに(n! - n + 1)進法でもファクトリオンであり、2桁で"1n"と書かれる。例えば、25は二十一進法でファクトリオンであり、"14"とかかれる。また、121は百十六進法でファクトリオンであり、"15"と書かれる。
全ての自然数は一進法でファクトリオンであり、1と2は全ての記数法でファクトリオンである。
次の表は、三十進法までのファクトリオンの一覧である。
基数(n) | n進表記 | 十進法での表現 |
---|---|---|
1 | 1, 11, 111, ... | 1, 2, 3, ... (全ての自然数) |
≥1 | 1 | 1 |
2 | 10 | 2 |
≥3 | 2 | 2 |
4 | 13 | 7 |
5 | 144 | 49 |
6 | 41 | 25 |
6 | 42 | 26 |
9 | 6 2558 | 41282 |
10 | 145 | 145 |
10 | 4 0585 | 40585 |
11 | 24 | 26 |
11 | 44 | 48 |
11 | 2 8453 | 40472 |
13 | 8379 0C5B | 519326767 |
14 | 8 B0DD 409C | 12973363226 |
15 | 661 | 1441 |
15 | 662 | 1442 |
16 | 260 F3B6 6BF9 | 2615428934649 |
17 | 8405 | 40465 |
17 | 146F 2G85 00G4 | 43153254185213 |
17 | 146F 2G85 86G4 | 43153254226251 |
21 | 14 | 25 |
23 | 498J HHJI 5L7M 50F0 | 1175342075206371480506 |
24 | 51 | 121 |
24 | 52 | 122 |
26 | 10 K2J3 82HG GF81 | 2554945949267792653 |
26 | 10 K2J3 82HG GF82 | 2554945949267792654 |
27 | 725 | 5162 |
27 | 75 CA7B E19H 1K2P 6DKF | 15511266000434263077417003 |
28 | 54 | 144 |
30 | Q 809T 0Q5Q A0EG CSGI CG4R | 9158749082185220449342855718547 |
参考文献
[編集]- Clifford A. Pickover, Keys to Infinity ISBN 0-471-19334-8