ゴリラのソースを表示

{{半保護}}
{{Otheruses}}
{{生物分類表
|省略 = 哺乳綱
|名称 = ゴリラ属
|画像=[[ファイル:Bristol.zoo.western.lowland.gorilla.arp.jpg|250px|ニシゴリラ]]
|画像キャプション ='''ニシゴリラ''' {{snamei|Gorilla gorilla}}
|目 = [[霊長目]] {{sname||Primates}}
|科 = [[ヒト科]] {{sname||Hominidae}}
|亜科 = [[ヒト亜科]] {{sname||Homininae}}
|族 = ゴリラ族 {{sname||Gorillini}}<ref name="yamada_et_al">山田博之・中務真人・國松豊・濱田穣・石田英實「[https://doi.org/10.1537/asj.211207 上顎犬歯形態からみた人類進化]」『Anthropological Science (Japanese Series)』第130巻 1号、日本人類学会、2022年、21-54頁。</ref>
|属 = '''ゴリラ属''' {{snamei|Gorilla}}
|学名 = ''Gorilla'' [[w:Isidore_Geoffroy_Saint-Hilaire|I. Geoffroy]], [[1852年|1852]]<ref name="groves">[[コリン・グローヴズ|Colin P. Groves]],  "[http://www.departments.bucknell.edu/biology/resources/msw3/browse.asp?id=12100787 Order Primates],". ''Mammal Species of the World'', (3rd ed.), Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 111-184<!-- pp. 181-182 -->.</ref>
|タイプ種 = ''Gorilla gorilla'' ([[w:Thomas S. Savage|Savage]], [[1847年|1847]])<ref name="groves" />
|和名 = ゴリラ属<ref name="iwamoto">岩本光雄 「[https://doi.org/10.2354/psj.3.119 サルの分類名(その4:類人猿)]」『霊長類研究』第3巻 2号、日本霊長類学会、1987年、119-126頁。</ref>
|下位分類名 = 種
|下位分類 =
* {{snamei|en|Western gorilla|G. gorilla}} [[ニシゴリラ]] 
* {{snamei|en|Eastern gorilla|G. beringei}} [[ヒガシゴリラ]] 
|生息図=[[ファイル:ZL_Gorilla_(genus).png|250px|分布域]]
|生息図キャプション = 橙:ニシゴリラ、黄:ヒガシゴリラ
}}

'''ゴリラ'''は、[[霊長目]][[ヒト科]]'''ゴリラ属'''（ゴリラぞく、{{sname|''Gorilla''}}）に分類される構成種の総称。

== 分布 ==
[[アンゴラ]]（[[カビンダ]]）、[[ウガンダ]]、[[ガボン]]、[[カメルーン]]南部、[[コンゴ共和国]]、[[コンゴ民主共和国]]東部、[[赤道ギニア]]、[[中央アフリカ共和国]]南部、[[ナイジェリア]]東部、[[ルワンダ]]<ref name="iwamoto" /><ref name="yamagiwa2000">山極寿一 「ゴリラ」『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』小原秀雄・[[浦本昌紀]]・太田英利・松井正文編著、[[講談社]]、2000年、147-148頁。</ref><ref name="yamagiwa2015_4">山極寿一 「第4章 ゴリラを分類する―種内の変異が示唆すること」『ゴリラ 第2版』、[[東京大学出版会]]、2015年、95-123頁。</ref>

== 形態 ==
<!-- [[体長]]オス170 - 180センチメートル、メス150 - 160センチメートル<ref name="yamagiwa2000" /> - 種記事の内容やほかの出典と比較すると身長の数値である可能性が高く、yamagiwa2000の「頭胴長」は誤記と思われる。ひとまずコメントアウト -->体重オス150 - 180キログラム、メス80 - 100キログラム<ref name="yamagiwa2000" />。飼育下のオスでは299キログラムの記録がある<ref>小寺重孝 「オランウータン科の分類」、今泉吉典監修『世界の動物 分類と飼育 1 霊長目』東京動物園協会、1987年、91-95頁。</ref>。毛衣は黒や暗灰褐色<ref name="iwamoto" />。

出産直後の幼獣は体重1.8キログラム<ref name="yamagiwa2000" />。オスは生後13年で背の体毛が鞍状に白くなり、シルバーバックと通称される<ref name="iwamoto" />。生後18年で後頭部が突出する<ref name="yamagiwa2000" />。

ゴリラは[[血液型]]を有するが、これは[[ABO式血液型]]などのヒトの血液型と比較できるものではない<ref>{{cite news |title=Blood Groups in the Species Survival Plan |newspaper=[[アメリカ国立医学図書館]] |date=2010-09-07 |url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4258062/|accessdate=2016-01-14 |author=}}</ref><ref>{{Cite web |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4258062/table/T4/ |title=PubMed Central, Table 4: Zoo Biol. 2011 Jul-Aug; 30(4): 427–444. Published online 2010 Sep 17. doi: 10.1002/zoo.20348 |publisher=[[アメリカ国立生物工学情報センター|National Center for Biotechnology Information]], [[アメリカ国立医学図書館|U.S. National Library of Medicine]] |accessdate=2019-05-07}}</ref><ref>{{cite news |title=Five-year effort produces a registry of blood types for captive great apes |newspaper=[[ワシントン・ポスト]] |date=2011-01-03 |url=http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2011/01/03/AR2011010306095.html|accessdate=2016-01-14 |author=}}</ref>。

== 分類 ==
ギリシャ語で「毛深い部族」という意味の「{{lang|el|Γόριλλαι}} ({{lang|el-latn|gorillai}})」が由来とされている。本属の構成種の和名として大猩猩（おおしょうじょう、だいしょうじょう）が使用されたこともある<ref name="iwamoto" />。[[猩猩]]は元は架空の動物の名前であるが、[[オランウータン]]の漢名とされていた。過去には本属を[[チンパンジー属]]に含める説もあった<ref name="iwamoto" /><!-- ニシゴリラ（旧ゴリラ）の原記載はチンパンジー属<ref name="yamagiwa2015_4" /> -->。

以前はゴリラ {{snamei|Gorilla gorilla}} のみで本属が構成され、1929年に213個の頭骨の比較から西部個体群（基亜種ローランドゴリラ {{snamei|G. g. gorilla}}）と東部個体群（亜種マウンテンゴリラ {{snamei|G. g. beringei}}）の2亜種に分けられた<ref name="yamagiwa2015_4" />。1961年に下顎骨の比較から亜種を独立種として、マウンテンゴリラから東部低地個体群（亜種ヒガシローランドゴリラ {{snamei|G. beringei graueri}}）を分割する説もあった<ref name="yamagiwa2015_4" />。一方で1971年には近年まで主流とされた1種3亜種（基亜種ニシローランドゴリラ {{snamei|G. g. gorilla}}・亜種マウンテンゴリラ {{snamei|G. g. beringei}}・亜種ヒガシローランドゴリラ {{snamei|G. g. graueri}}）とする説が提唱され、亜種ヒガシローランドゴリラはニシローランドゴリラとマウンテンゴリラの中間型と考えられていた<ref name="yamagiwa2015_4" />。[[ミトコンドリアDNA]]の[[シトクロムcオキシダーゼサブユニット2|COII]]遺伝子や[[Dループ]]領域の分子系統推定から、西部個体群（基亜種ニシローランドゴリラと亜種クロスリバーゴリラ）と東部個体群（基亜種マウンテンゴリラと亜種ヒガシローランドゴリラ）との遺伝的距離がチンパンジー属の種間距離（[[チンパンジー]]と[[ボノボ]]）に匹敵する解析結果が得られたことで以下の2種に分ける説もある<ref name="yamagiwa2015_4" /><ref name="uchida">内田亮子 「[https://doi.org/10.1537/ase.104.365 現生および中新世大型ヒト上科の変異と進化]」『Anthropological Science』104巻 5号、1996年、日本人類学会、372-375頁。</ref><ref name="ochiai">落合-大平知美、倉島治、赤見理恵、[[長谷川寿一]]、平井百樹、[[松沢哲郎]]、[[吉川泰弘]] 「[https://doi.org/10.2354/psj.22.123 日本国内の大型類人猿の飼育の過去と現在]」『霊長類研究』第22巻 2号、日本霊長類学会、2006年、123-136頁。</ref>。ミトコンドリアDNAの解析から、[[ニシゴリラ]]と[[ヒガシゴリラ]]が分岐したのは250万年前と推定されている<ref name="uchida" />。

分類・英名はMSW3（Groves, 2005）、和名は山極（2015）に従う<ref name="groves" /><ref name="yamagiwa2015_4" />。
* {{snamei|Gorilla gorilla}} [[ニシゴリラ]] [[:en:Western gorilla|Western gorilla]]
* {{snamei|Gorilla beringei}} [[ヒガシゴリラ]] [[:en:Eastern gorilla|Eastern gorilla]]

約1000万年前に[[ヒト族]]へと続く系統からゴリラ属が分かれたと推定されている<ref>{{Cite book |和書 |author=池田清彦 |title=38億年生物進化の旅 |date=2010 |page=186 |publisher=[[新潮社]] |isbn=9784104231065}}</ref>。また、[[分子時計#ヒトの分岐時期|分子進化時計]]を使い、[[ヒト属]]と[[ゴリラ属]]の分岐を 656万 ±26 万年前とする研究結果もある<ref>[https://www.nig.ac.jp/museum/evolution-x/02_c2.html ヒトはいつチンパンジーと別れたか （遺伝子電子博物館 - [[国立遺伝学研究所]] ]</ref>。

== 生態 ==
本属に関する生物学的知見は、高地で[[アフリカ睡眠病|眠り病]]などの伝染病を媒介する[[ツェツェバエ]]類などの昆虫が少なく牧畜が行われていたため、一部の現地住民を除いて食用として狩猟されることが少なかったこと、農作物を食害することが少なく、害獣としての地元住民との軋轢が少なかったこと、これらにより人間に対する警戒心が薄く、直接観察しやすかったこと、高い木がなく下生えが密生した環境に生息するため、草が倒れた痕跡で追跡しやすかったこと、ほとんど樹上に登らないため、痕跡が途絶えにくいこと、アフリカで最も古い国立公園である[[ヴィルンガ国立公園]]に生息し、保護が早くから進められていたことなどの理由から、近年までヒガシゴリラの基亜種（以下マウンテンゴリラ）を中心とした知見に基づいていた<ref name="yamagiwa2015_2">山極寿一 「第2章 マウンテンゴリラ ―古典的イメージからの脱却」『ゴリラ 第2版』、東京大学出版会、2015年、21-55頁。</ref>。

多湿林に生息する<ref name="yamagiwa2000" />。国土の80 %以上を[[熱帯雨林]]が占める[[ガボン]]では、ニシゴリラの基亜種（以下ニシローランドゴリラ）が国内のサバンナを除く環境すなわち海岸の低木林・一次林・二次林にも生息することが判明している<ref name="yamagiwa2015_3">山極寿一 「第3章 ローランドゴリラ ―新しいゴリラ像をさぐる」『ゴリラ 第2版』、東京大学出版会、2015年、57-93頁。</ref>。生息密度は主に1平方キロメートルあたり1頭だが、コンゴのニシローランドゴリラ個体群では湿地での個体密度が1平方キロメートルあたり5頭に達することもある<ref name="yamagiwa2015_3" />。[[昼行性]]で、夜間になると日ごとに違う寝床を作り休む<ref name="yamagiwa2000" />。10 - 50平方キロメートルの行動圏内で生活し、1日あたり0.5 - 2キロメートルを移動する<ref name="yamagiwa2000" />。

亜種や地域によって変化があるものの社会構造は端的にいえば、(1)単独のオス、(2)オス1頭とメス複数頭からなる群れ、(3)複数の雌雄が含まれる群れ、からなる<ref name="yamagiwa2015_5">山極寿一 「第5章 変化する社会 ―その要因をさぐる」『ゴリラ 第2版』、東京大学出版会、2015年、125-154頁。</ref>。オスが成体になっても群れに残る傾向があるマウンテンゴリラを除くと、複数の雌雄が含まれる群れを形成することは少ない<ref name="yamagiwa2015_5" />。オスの幼獣が産まれて成長すれば複数の雌雄が含まれる群れとなるが、通常は父親が後から産まれたオスが群れのメスと交尾しようとすると威嚇し交尾を抑制するために後から産まれたオスは群れから離脱してしまい、オス1頭とメス複数頭からなる群れに戻る<ref name="yamagiwa2015_5" />。群れのオスが死亡した場合には、後から産まれたオスが群れを引き継ぐこともある<ref name="yamagiwa2015_5" />。群れの大きさは低地では20頭以下、高地では30頭以上の群れを形成することもある<ref name="yamagiwa2015_5" />。例として亜種ヒガシローランドゴリラでは、同亜種でも低地個体群と高地個体群では群れの大きさが異なる<ref name="yamagiwa2015_5" />。群れ同士の関係は同じ地域であっても変異があり、マウンテンゴリラのヴィルンガ個体群はある時期には群れ同士が威嚇するだけで激しい衝突はせず、異なる群れの幼獣同士で遊ぶこともあるといった報告例があったが、別の時期にはオス同士では激しく争い命を落とすこともあり、[[子殺し]]も行うといった報告例がある<ref name="yamagiwa2015_2" />。

食性は[[草食動物|植物食]]傾向の強い[[雑食]]で、[[果実]]、植物の[[葉]]、[[アリ]]や[[シロアリ]]などの[[昆虫]]を食べる<ref name="yamagiwa2000" />。低地では種にかかわらず果実食傾向が強く、果実が豊富な環境では果実を主に食べ、食べる果実の種数がチンパンジーと同程度に達することもある<ref name="yamagiwa2015_6">山極寿一 「第6章 二つの類人猿 ―ゴリラとチンパンジー」『ゴリラ 第2版』、東京大学出版会、2015年、155-193頁。</ref>。本属とチンパンジーが同所的に分布するガボンの調査例では、食性の57 %（果実では79 %）がチンパンジーと重複する<ref name="yamagiwa2015_6" />。マウンテンゴリラは季節によって果実なども食べるが、乾季に食物が少なくなると植物の葉・芽・樹皮・根などの繊維質植物を食べる<ref name="yamagiwa2000" />。低地ではアリを日常的に食べ、糞の内容物の調査では糞中からアリの破片（コンゴ共和国24 %、[[カフジ＝ビエガ国立公園]]およびロペ30 %、中央アフリカ43 %）が発見された例もある<ref name="yamagiwa2015_6" />。食べるアリの種類や、採食方法などは地域差がある<ref name="yamagiwa2015_6" />。採食方法の例として、平手で地面をたたく・平手で樹上の巣を壊す・手の上に巣を乗せアリを叩き落とす・アリの群れに手を突っ込んで舐めるなどといったものがある<ref name="yamagiwa2015_6" />。シロアリが生息しない高地に分布するヒガシゴリラは、植物についている[[ダニ]]や[[クモ]]を無作為に食べることで動物質を補っていると考えられている<ref name="yamagiwa2015_3" />。マウンテンゴリラは自分の糞も含めた糞食を行い、[[腸内細菌]]の摂取や未消化の食物を再吸収していると考えられている<ref name="yamagiwa2015_3" />。

捕食者として[[ヒョウ]]が挙げられる<ref name="yamagiwa2015_5" />。例として[[ヴィルンガ山地]]の[[キソロ県|キソロ]]でのシルバーバックの個体がヒョウに殺されたという報告例、コンゴ共和国のン・ドキでヒョウの糞の内容物の調査からオスの骨が発見された例、中央アフリカのザンガ・サンガ国立公園でヒョウに襲われた報告例などがある<ref name="yamagiwa2015_5" />。カフジ＝ビエガ国立公園のヒガシローランドゴリラの個体群では、オスが死亡した群れでメスや幼獣が主に地表に作っていた寝床（68.8 %）を樹上に作るようになった報告例がある（地表の寝床の割合が22.9 %まで減少）<ref name="yamagiwa2015_5" />。この群れはオスが合流すると、60 %の割合で再び地表に寝床を作るようになった<ref name="yamagiwa2015_5" />。これはオスがいなくなったことで、捕食者を避けようとしたためだと考えられている（カフジ＝ビエガ国立公園にはヒョウはいないが、1970年代までは目撃例があったとされる）<ref name="yamagiwa2015_5" />。動物学者の[[小原秀雄]]は、ゴリラを含む類人猿は知能が高いので恐怖や痛みに極めて敏感であり、ヒョウなどの捕食動物には不得手であると述べている<ref name="小原">小原秀雄 『殺るか殺られるか猛獣もし戦わば : 地上最強の動物は？ 』 KK[[ベストセラーズ]]、1970年。{{要ページ番号|date=2019-05-07}}</ref>{{efn|1961年2月、ウガンダ国内のムハブラ山でシルバーバックや雌の個体がクロヒョウに捕食された例や、西洋人狩猟家が目撃例として、雌ゴリラが原住民達に棒で殴打され一方的に撲殺された例を挙げている<ref name="小原" />。}}。

繁殖様式は胎生。妊娠期間は平均256日<ref name="yamagiwa2000" />。出産間隔は3 - 4年<ref name="yamagiwa2000" />。寿命は約40 - 50年で、53年の飼育記録がある<ref name="yamagiwa2000" />。2017年1月17日に死亡した[[アメリカ合衆国|アメリカ]]・[[オハイオ州]]のコロンバス動物園にいた雌のゴリラ「コロ」は60歳まで生きた。死亡時には子供が3頭、孫が16頭、曾孫が12頭、玄孫が3頭いた。また、彼女は人間に飼育されている環境下で誕生した初のゴリラでもあった<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.cnn.co.jp/fringe/35095192.html?utm_source=linedigest&utm_medium=news_distribution&utm_campaign=contents_distribution|title=ゴリラの「コロ」、６０歳で死ぬ　オハイオ州の動物園|accessdate=2020-09-12|publisher=[[CNN]]}}</ref>。

前肢を握り拳の状態にして地面を突く'''ナックルウォーキング'''と呼ばれる四足歩行をする<ref>{{Cite journal|和書|author=木村賛|date=2014|title=サルからヒトの二足歩行を考える|journal=バイオメカニズム学会誌|volume=38|issue=3|pages=169-174|publisher=バイオメカニズム学会|ref=harv}}</ref>。

発見以来、長年に渡って凶暴な動物であると誤解されてきたが、研究が進むと、交尾の時期を除けば実は温和で繊細な性質を持っていることが明らかになった<ref>{{Cite web|和書|title=「争い」は進化の結果か ゴリラに学び 人を知る(8)|url=https://www.nikkei.com/article/DGXLASJB13H2W_Y6A420C1AA2P00/|website=[[日本経済新聞]] 電子版|accessdate=2020-04-14|language=ja}}</ref>。かつてドラミングが戦いの宣言や挑発の手段と考えられていたが、[[山極壽一|山極寿一]]によれば、胸をたたいて自己主張し、衝突することなく互いに距離を取るための行動だという<ref>{{Cite web|和書|title=ゴリラが胸をたたくわけ｜福音館書店|url=https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=1712|website=福音館書店|accessdate=2020-04-14}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=春秋|url=https://www.nikkei.com/article/DGXDZO51469490X00C13A2MM8000/|website=日本経済新聞 電子版|accessdate=2020-04-14|language=ja}}</ref>。また、胸をたたくのは性別や年齢には関係なく、雌もドラミングを行うことも判明してるが、雄と比較して[[喉袋]]が発達していない雌のドラミングは雄に比べて反響音が弱いとされている<ref>[http://doubutsu-no-kuni.net/special/episode7/p1.html 「ドラミングの秘密」『どうぶつのくに.net』(日本動物園水族館協会)]</ref><ref>[https://thewonder.it/article/813/description/#midashi2 「ゴリラが胸を叩くのは争いを避けるため？胸を叩いて音が鳴る仕組」『ワンダースクール』(バンダイ) ]</ref>。更に群れの間では多様な音声を用いたコミュニケーションを行い<ref>{{Cite web|和書|title=ゴリラに非音声の「幼児語」を確認|url=https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/6215/|website=[[ナショナルジオグラフィック (雑誌)|natgeo.nikkeibp.co.jp]]|accessdate=2020-04-14|language=ja}}</ref><ref>{{Cite web|和書|title=Communicaton：ゴリラたちの"おしゃべり"　類人猿の音声コミュニケーション - JT生命誌研究館|url=https://www.brh.co.jp/publication/journal/012/co_1.html|website=[[生命誌研究館|www.brh.co.jp]]|accessdate=2020-04-14}}</ref>、餌を食べる時などに鼻歌のような声を出しているのが確認されている。

人間を除けば 天敵は [[ヒョウ]]だけである。

== 人間との関係 ==
[[カルタゴ]]の[[航海者ハンノ]]が紀元前6世紀<!-- 日本語版出典なし、英語版紀元前5 - 6世紀 -->にアフリカ西海岸を周航した際に遭遇した野人の集団の呼称が「ゴリラ」だったとされるが、現地語ではゴリラという呼称は確認されていない<ref name="iwamoto" />。この野人が本属であることも疑問視されている<ref name="iwamoto" />。

森林伐採や採掘による生息地の破壊、食用（[[ブッシュミート]]）の乱獲、内戦、感染症などにより生息数は減少している<ref name="yamagiwa2000" /><ref name="yamagiwa2015_7">山極寿一 「第7章 共存 ―野生ゴリラの現状と保護対策」『ゴリラ 第2版』、東京大学出版会、2015年、195-235頁。</ref>。森林伐採により交通網が発達し奥地へ侵入しやすくなるとともに輸送コストも安くなったこと・経済活動の破綻により都市部の失業者が森林のある地域へ大量に移入したこと・内戦により銃器が流出し狩猟に用いられるようになったことなどの理由で食用の乱獲は増大している<ref name="yamagiwa2015_7" />。生息地は保護区に指定されている地域もあるが、密猟されることもある<ref name="yamagiwa2000" />。

飼育施設などで飼育されることもある。コロンバス動物園が世界で初めて飼育下繁殖に成功した<ref name="ochiai" />。[[日本]]では、1954年に初めて輸入されて以降、2005年現在ではニシローランドゴリラのみ飼育されている<ref name="ochiai" />。1961年にマウンテンゴリラが2頭輸入されているが、2頭とも数日で死亡している<ref name="ochiai" />。日本では、1970年に[[京都市動物園]]が初めて飼育下繁殖に成功した<ref name="ochiai" />。1988年に「ゴリラ繁殖検討委員会」が設置され、1994年から各地の飼育施設で分散飼育されていた個体を1か所に集めて群れを形成し、飼育下繁殖させる試み（ブリーディングローン）が[[恩賜上野動物園]]で進められている<ref name="ochiai" />。

日本では、2018年現在ゴリルラ属（ゴリラ属）単位で[[特定動物]]に指定されている<ref>{{Cite web|和書|url=https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/sp-list.html |publisher=[[環境省]] |title=特定動物リスト [動物の愛護と適切な管理] |accessdate=2018-07-11}}</ref>。

== ギャラリー ==
<gallery>
ファイル:Susa_group,_mountain_gorilla.jpg|ヒガシゴリラ<br />{{snamei|G. beringei}}
ファイル:Westernlowlandgorilla-ueno2009.ogv|ニシローランドゴリラ
</gallery>

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}

=== 注釈 ===
{{Notelist}}

=== 出典 ===
{{Reflist|30em}}

== 関連項目 ==
{{Commonscat|Gorilla|ゴリラ属}}
{{Wikispecies|Gorilla|ゴリラ属}}

{{Normdaten}}
{{デフォルトソート:こりら}}
[[Category:ゴリラ|*]]
[[Category:ヒト科]]
[[Category:特定動物]]