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カニド・ハイブリッド

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
狼犬ホッキョクオオカミアラスカン・マラミュートの交雑)

カニド・ハイブリッド: Canid hybrid)は、イヌ科Canidae)の動物canid)の、もしくは亜種を超えた交配により生まれた交雑種ハイブリッド)の総称である。

イヌ属の動物であるオオカミイヌディンゴ含む)、アビシニアジャッカル[1]キンイロジャッカルコヨーテは、種間交雑が可能であり、雑種の生殖能力もある[2]。また、ヨコスジジャッカルセグロジャッカルの間の交雑も理論的には可能であるが、この2種とその他のイヌ属との交雑は成功しないようである[3][4]。また、イヌ属とその他の属のイヌ科の動物とは、染色体の数の違いが大きいために、理論的に交雑はきわめて起こりにくく、万一、交雑種が生まれたとしても、子孫を残すことはできない。

地域によっては野犬と在来のイヌ科動物の交雑が進み、遺伝子汚染による絶滅が危惧されているイヌ科動物も存在する。

イヌとオオカミ等との交雑で生まれた個体は、国や地域によっては法律によって所有などが禁じられている。例えば、アメリカ合衆国ニューヨーク州では、オオカミとイヌの交雑種の所有や移送等を禁じている[5]

オオカミとその亜種との交雑

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イヌタイリクオオカミの家畜化されたものである。またディンゴもイエイヌから別れたタイリクオオカミの亜種である[6]。したがって、これらの亜種間では交配が可能である。

オオカミとイエイヌとの交配は、イヌの品種改良や、変わったペットを得ること等を目的にしばしば行われている。サーロス・ウルフホンドチェコスロバキアン・ウルフドッグは、オオカミとイヌとの交配を基礎として作出された犬種である。体が大きく力も強く飼育も難しいが、特有の美しい容姿と高い身体能力を持つため人気もある。

ディンゴとイエイヌの交雑種はディンゴ・ハイブリッド(英:Dingo hybrids)と呼ばれている。ディンゴとイエイヌとの交雑が進んだため、現在、生息しているのはほとんどがディンゴ・ハイブリッドであるとされる。

オオカミ・イヌとコヨーテとの交雑

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コイウルフ

オオカミとコヨーテの交雑種はコイウルフと呼ばれており、自然でも飼育状態でも起こることが知られている。ウプサラ大学の研究者グループによると、メキシコのオオカミのDNA性染色体の分析から、これらのオオカミの一部はコヨーテの血を引いていることが判明した[7]。また、カリフォルニア大学デイビス校テキサス州立大学の研究チームによれば、チュパカブラとされた死体の解析をした結果、コヨーテとオオカミの交雑種であることが判明した[8]

アメリカアカオオカミの種としての分類には議論があるが、一説によれば、コヨーテとタイリクオオカミの交雑種であるという。

コヨーテとイエイヌの交雑種はコイドッグと呼ばれる。

オオカミ・イヌとジャッカルの交雑

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ジャッカル・ハイブリッド(スリモヴ・ドッグ)

ジャッカルとオオカミやイエイヌの交雑も自然環境下で起きていることが知られている。エチオピアアビシニアジャッカルは20世紀末以降、生息数を激減させ、絶滅が危惧されているが、その一因には野良犬などとの交雑があるとされる。

ロシア原産のスリモヴ・ドッグは、作出の過程でキンイロジャッカルシベリアン・ハスキーなどと交配している[9]空港爆発物麻薬などを捜索する麻薬探知犬として生み出され、実際に使役されている。

脚注

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  1. ^ Sillero-Zubiri, Claudio; MacDonald, David (1997). Status Survey and Conservation Action Plan: The Ethiopian Wolf. Cambridge, UK: IUCN. p. 31. ISBN 2-8317-0407-3. http://www.carnivoreconservation.org/files/actionplans/ethiopian_wolf.pdf 9 August 2012閲覧. "“The Ethiopian wolf is closely related to the grey wolf and coyote and can hybridize with domestic dogs (Gottelli et al. 1994, Chapter 5).”" 
  2. ^ Freeman, R.C.; Shaw, J.H. (15 September 1979). “Hybridization in Canis (Canidae) in Oklahoma”. The Southwestern Naturalist 24 (3): 485–499. JSTOR 3671304. 
  3. ^ Greyling, L.M.; Van Der Bank, H.F.; Grobler, P.J.; Kotze, A. (2004). “Genetic characterisation of a domestic dog Canis familiaris breed endemic to South African rural areas”. Acta Theriologica 49: 369–382. doi:10.1007/bf03192535. 
  4. ^ Wayne, R.K.; Meyer, A.; Lehman, N.; van Valkeburgh, B.; Kat, P.W.; Fuller, T.K.; Girman, D.; O'Brien, S.J. (1990). “Large sequence divergence among mitochondrial DNA genotypes within populations of eastern African black-backed jackals”. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 87: 1772–1776. doi:10.1073/pnas.87.5.1772. http://www.pnas.org/content/87/5/1772.full.pdf 21 December 2011閲覧。. 
  5. ^ Dangerous Wildlife License”. New York State Department of Environmental Conservation. 2015年9月13日閲覧。
  6. ^ Chan, Juliana (September 9, 2011). “Crikey! The Native Australian Dingo Was Originally From South China?”. Asian Scientist Magazine. 14 August 2013閲覧。
  7. ^ Hybridization among Three Native North American Canis Species in a Region of Natural Sympatry”. plosone.org (2013年). 14 August 2013閲覧。
  8. ^ UC-Davis team says chupacabra is likely coyote, wolf mix”. KENS (February 1, 2008). 14 August 2013閲覧。
  9. ^ Russian airline's top dogs fight terror”. BBC News (2002年12月13日). 2015年9月14日閲覧。