LOST+BRAIN

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動
LOST+BRAIN
ジャンル サイコサスペンス
漫画
原作・原案など 藪野続久
作画 大谷アキラ
出版社 小学館
掲載誌 週刊少年サンデー
発表号 2008年2・3合併号 - 2008年31号
巻数 全3巻
テンプレート - ノート

LOST+BRAIN』(ロストブレイン)は、原作:藪野続久・作画:大谷アキラによる日本漫画作品。『週刊少年サンデー』(小学館)にて2008年2・3合併号から同年31号まで連載されていた。全27話。話数カウントは「Sign.○」。

物語[編集]

高校一年生の天才・氷山漣はくだらない世の中に辟易としており、何も目的を持てないまま日々を過ごしていた。そんなとき、ある事件がきっかけで世界を創りかえたいと思うようになる。その後、氷山は催眠法を知り、催眠法なら世界を変えられるかもしれないと考える。

1年後、生徒を利用した催眠法の実験も終了し、本格的に新世界を創造するべく、氷山の催眠計画が始動する。その脅威をいち早く察した世界的な催眠療法士の九遠寺一樹は、警察と協力しながら捜査を開始する。そして、わずかな手がかりを元に、聖森高校の生徒の中に、事件の首謀者がいると推理する。

登場人物[編集]

主要人物[編集]

氷山漣(ひやま れん)
本作の主人公。聖森(せいしん)高校二年生。テストの成績は常に満点でスポーツも万能、美術や音楽の才能も突出しているという絵に描いたような天才。しかしそれゆえに世の中をくだらないと考えており、心のなかでは回りの人間を「クズ」と見下していた。このため、氷山をねたんでいた生徒に暴行の罪を着せられたことで化けの皮がはがれ、一時期孤立していた。高校一年時の文化祭で高木由香の提案で催眠ショーを行なうことになった際、由香の叔父である九遠寺一樹の催眠法の力を目の当たりにする。自分ならこの術を世界を変えるために生かせると考え、独学で催眠法を会得した。その後1年間、計画の事前準備として多くの部活のマネージャーを兼任し、周囲の人間と協調するふりをしながら信頼を得ていった。それと並行して同じ学校の生徒たちを自分の催眠体として陰で実験していた。実験を完成させた後、本格的に計画を開始する。
周囲の人間に慕われる人気者となっているが、それは表面上の演技でしかなく、自分の計画のためならクラスメイトでも殺せる非情な性格。その目的は、嫉妬憎悪などの人間の弱さ・本質を催眠法で強い自己を植え付け克服させること。そして最終的には全人類をレベルアップへ導く「究極の支配国家」を生み出すことである。
数万人の催眠体を利用して国会議事堂を乗っ取るが、催眠が完璧すぎた事が仇となり「氷山の指示を何の疑いもなく聞く事」と「何者にも揺るがせない自己」は両極端であるため維持できないと九遠寺が指摘。これにより催眠体が自己と催眠の両極端による混乱で命令を聞かなくなってしまい、追い詰められた所を事前に仕掛けた爆弾による崩落で行方不明となる。遺体の確認はされておらず生死も不明。しかし最終話のラストでは生存をほのめかす描写がある。
九遠寺一樹(くおんじ いつき)
本作の準主人公。由香の叔父。世界的催眠療法士兼カウンセラーだが、同時に警察庁から能力を買われ、しばしば捜査に協力している程の探偵でもある。姉が居る。大沢のテロをきっかけに大沢を操った「第三の人間」(真犯人)を探していたが、その能力ゆえ警戒した氷山により真犯人の疑いをかけられ警察に拘束される。尋問中に催眠法を使い逃亡する。
恩師である拝嶋のもとに匿って貰った後、由香の不手際から警察に所在がバレてしまうも、氷山の催眠による神原の大々的な健忘催眠が行われた際に警察と和解し氷山が第三の人間であると断定する。
氷山が国会を乗っ取った際に氷山と対決することを決め、氷山の催眠の盲点を突いて追い詰めるが、確保することは出来なかった。その後は氷山の催眠にかかった人達の治療に当たっている。
愛車はランボルギーニ・ムルシエラゴ
高木由香(たかぎ ゆか)
本作のヒロイン。氷山の同級生。氷山に好意を寄せている。九遠寺の姪であり、九遠寺の姉の娘。九遠寺の勤める催眠センターの手伝いをすることもある。氷山の計画開始後は情報を聞き出すために氷山に催眠をかけられてしまった。その後、第三の人間との接触を疑った九遠寺に詳しく調べられていた。九遠寺の逮捕後は元の生活に戻る。逃亡した九遠寺から頼まれて神原を調べるが、素人ゆえの不手際(九遠寺と電話で連絡を取った際に、尾行していた園山に九遠寺の逃亡と所在地を聞かれてしまう)から氷山や園山にバレてしまう。
九遠寺の忠告を無視して神原の番組を視聴し記憶喪失になってしまい、氷山の催眠動画も視聴をすんでの所で止められたため記憶が不明瞭な状態となっていた。その後、九遠寺の策で氷山の催眠を受けずに記憶を取り戻した。氷山失踪後は自らの意思でセンターの手伝いに復帰した。
設楽晴秀(したら はるひで)
氷山の同級生。成績は常に氷山に次ぐ二位の秀才で、一度も自分に負けたことのない氷山をライバル視していた。氷山同様に周りの人間を見下していた。その頭脳を氷山に買われ、協力者になる(といっても氷山はあくまで設楽のことは“凡人”と認識している)。作中で彼の秀才ぶりが発揮されることは少なく、当初は氷山の行動に驚いていることのほうが多かった。しかし次第に氷山の大規模な行為にも動じなくなる。また、通っている予備校で園山へのいじめを咎めるようになるなど、氷山と関わってから少なからず自分の性格や考えが変わったことを実感した。
氷山の協力者としては、警察の動向の報告や神原との交渉などを裏で動く氷山の代わりに行なった。国会占拠の際には警視庁の管制システムを制圧した。
上記のように計画に加担していたが氷山失踪後も特にお咎めはなく、元の生活に戻っている。
園山瑞希(そのやま みずき)
明櫻高校の生徒で設楽と同じ予備校に通う女子高生。学年不明。予備校で苛められていたが設楽に声を掛けられた事がきっかけで、催眠法に興味を持ち氷山に協力する。登場当初は眼鏡をかけていたが、氷山に協力するようになってからはコンタクトレンズにし、髪型も変えた。
調べ物が得意で、氷山から神原隼人についての調査を任せられる。神原のTV出演のスケジュールから性格、経歴など詳細な個人情報まで調べ上げた。
国会占拠の際には東京タワー送信機室を手中に収め、電波ジャックを行なった。
氷山失踪後は設楽と同じく特にお咎めもなく普通の生活を送っている。氷山が催眠で自分の人生を変えてくれたことを感謝しており、世の中を少しでも変えるため自分なりに何か行動していきたいと決心する。

警察[編集]

奥田(おくだ)
警視庁捜査一課刑事。捜査一課のトップで、九遠寺とは以前から面識があり、信頼関係にあった。今回の事件でも彼に協力していたが、次々と九遠寺にかかわった人間が死んでいる事や、周囲にも隠し切れなくなった事から九遠寺の取調べを始める。
威ノ瀬が九遠寺を逃亡させてしまった後、園山の匿名通報により九遠寺の隠れていたホテルに駆けつけ再び拘束するが、氷山による神原の大々的な健忘催眠により九遠寺は無実と断定し再び協力する。神原の健忘催眠後は警視総監に捜査を中止させられるが、自らの手で記憶喪失者への捜査を続けた。
愛車はV36型日産・スカイラインで、氷山が国会を乗っ取った際に美樹の攻撃を避けるため一部破損した。
奥田の部下
奥田の部下。名前は不明。氷山を尾行していたが、逆に設楽に尾行されてしまう。
威ノ瀬(いのせ)
奥田の部下。厳しい口調で九遠寺を取調べしていたが、彼の催眠にかかり彼の逃亡を許してしまう。神原の健忘催眠後は九遠寺に協力するようになる。
白崎(しろさき)
鑑識課心理分析官。他の警察関係者と比べると催眠には詳しく、九遠寺の催眠の力に脅威を感じていた。
警視総監
政府要人に配慮して九遠寺逃走を外部に知らせず隠密に調査するよう奥田に指示した。その後、記憶喪失者や警察の威信を考え、神原の健忘催眠に関する捜査を中止させた。

計画の犠牲者[編集]

大沢(おおさわ)
聖森高校新聞部員。氷山を妬んでいた先輩の命令で氷山に暴行されたとの嘘を教員に訴える。その事を後悔し氷山に謝ろうとした際に、氷山から九遠寺の催眠法の力を確かめるため実験台を命じられる。氷山が最初に実験で催眠を施した相手で、その催眠により音楽に目覚めさせられ、軽音部を兼部する。氷山の催眠により自爆テロを行い冴木官房長官とともに死亡。
冴木(さえき)
民自党内閣官房長官。裏金などの汚職に手を染めていた事から、氷山による「悪の粛清」のターゲットにされ、大沢を使って引き起こした自爆テロの犠牲になる。氷山は冴木のことを「人間の弱さが生み出した悪の象徴」と評している。
堀田健治(ほった けんじ)
聖森高校新聞部部長。二年生。氷山の催眠により「第三の人間は九遠寺一樹」という趣旨の遺書を握った状態で飛び降り自殺を遂げる。
藤川勇気(ふじかわ ゆうき)
聖森高校軽音楽部部長。二年生。堀田同様に氷山の催眠で飛び降り自殺を遂げる。
河至場敬悟(かわしば けいご)
作家。52歳。九遠寺の催眠カウンセリングセンターに通っていた。氷山の催眠により、踏切への飛び込み自殺で死亡。彼以外にもセンターに通っていた人間が多数自殺させられている(後述)。
神原隼人(かんばら はやと)
タレント。元々は心理療法士だったが、TV局のディレクターの「スターにしてやる」という誘いに乗り、深夜のTV番組でアイドルに催眠法をかけるやらせの催眠ショーを行なうようになった。しかし人気の低迷で番組のリニューアルに伴い降板させられる。借金もあったため今後の生活に悩んでいた所を氷山に目をつけられ、設楽の誘いから氷山の計画に加担する。
氷山の催眠で失踪した生徒を解催眠で帰宅させ一躍英雄となるが、感謝状授与のために聖森高校に訪れた際に氷山に催眠をかけられる。その後TVで大々的な健忘催眠をやらされた末に服毒自殺し死亡。

その他[編集]

拝嶋(はいじま)
心理療養師。かつては米国臨床心理研究所の催眠心理学の教授だった。教授時代に研究所で九遠寺に出会い、彼の才能に驚愕し催眠法を指導する。九遠寺の事を信頼しており彼が警察から追われていたときは匿ったが、由香の不手際で九遠寺が確保された際、一時的に警察に拘束された。
小野田(おのだ)
聖森高校の新任女教師。雑用ばかりの現状に嫌気が差している。氷山に催眠をかけられ、聖森高校の生徒全員に催眠をかけるための下準備をさせられる。
安河内(やすこうち)
厚生労働省事務次官で神原による健忘催眠被害の対策本部長。策がなく困惑している状況で氷山と接触し部下と共に催眠をかけられ、氷山による催眠の動画を収録したメモリーを全国に流す。
美樹(みき)
神原の健忘催眠にかかった女性。氷山の催眠によって証である傷をつけ国会乗っ取りに参加するが、交際中の男性と九遠寺によって阻まれ九遠寺のカウンセリングセンターに保護される。事態の収拾後に九遠寺による治療を受け元の生活に戻った。

備考[編集]

  • 作中では「催眠では命の危険に関わる行為は直接実行させる事は出来ない」[1]と語られており、殺人行為を直接行う描写はないが、自殺についてはどのように行わせたのかが詳細に描かれていない(九遠寺のカウンセリングセンターの患者など)時もあり不透明な部分がある。
  • 単行本1巻ではオマケとして催眠のかかり易さが調べられる「被暗示性テスト」が収録された。また、第3巻では作中の主要キャラと一致する人間性がわかる「心理分析フローチャート」が収録されている。
  • 単行本1巻は連載開始から半年近くが経過した時期の発売だった。これはサンデーの連載作品としては異例の遅さであった。
  • 連載が開始された当初、ネット上の複数のニュースサイトや雑誌において『週刊少年ジャンプ』に連載されていた『DEATH NOTE』との類似性を指摘する報道があり、話題となった[2][3][4][5]。記事内では具体的な類似点として、両作品の第一話のストーリーの始まり方、容姿や性格を始めとする主人公のキャラクター設定などが挙げられている。これらの報道に対し小学館は「下敷きにしたような事実は一切ない」と表明している。集英社はこの件については「ノーコメント」と回答しており、それ以降は両社からのコメントなどは特に発表されていない。

単行本[編集]

  1. Vol.1(2008年5月16日発売) ISBN 978-4-09-121395-2
  2. Vol.2(2008年7月18日発売) ISBN 978-4-09-121437-9
  3. Vol.3(2008年8月11日発売) ISBN 978-4-09-121457-7

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ 単行本1巻、Sign003より
  2. ^ サンデーで『デスノート』の続編が連載開始か!?(トレビアンニュース 2007年12月13日)
  3. ^ サンデーで『デスノート』の続編が連載開始か[リンク切れ](インターニュース 2007年12月14日)
  4. ^ デスノートに「似てる、似てない」 少年サンデー連載ネットで話題(J-CASTニュース 2007年12月17日)
  5. ^ 月刊「創」 2008年3月号 「デスノート」をめぐる盗作騒動