Indoor MEssaging System

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Indoor MEssaging SystemIMES)は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が考案した屋内測位技術の一つ。一般に、IMESという略称が用いられる。 「アイメス」「アイムス」「アイムズ」「アイエムイーエス」などと呼ばれているが、IMESコンソーシアムでは「アイムス」と呼んでいるため、「アイムス」が事実上の正式呼称である。 その性質から、屋内GPSと呼ばれることもあるが、屋内GPS技術としては、他にもいくつかの方式があるため正確ではない。

概要[編集]

IMESの仕組み[編集]

GPS技術は地球の周りのGPS衛星から「時刻」を知らせる無線信号が送信されている。その送信された時刻と受信機への到達時刻の差から、複数のGPS衛星との距離を計算でき、その情報を基に受信機の地上での位置を特定している。

IMESは、GPS衛星と同じ電波形式を用いた屋内GPS送信機(モジュール)を設置し、送信機からは時刻情報の代わりに送信機の「位置情報」を送信する。これにより受信機側では屋外で行われる時差の計算を行わず、屋内GPS送信機の位置情報を受信機の位置としてそのまま受け取り[1]、受信機の屋内外でのシームレスな利用を可能にしたもの。

技術仕様[編集]

  • 周波数:1.5754282GHz(将来予約:1.5754118GHz)
  • 変調方式:BPSK
  • PRN番号:173番~182番
  • データ転送速度:50bps/250bps
  • 電波法規制:微弱無線
  • 送信機の設置・運用にはJAXAへの登録手続きが必要

測位精度[編集]

一般には測位精度10m程度と言われている。


海外での利用[編集]

現在、日本国内のみで利用できる技術であり、海外では使用できない。


沿革[編集]

2007年4月3日、JAXAは、GPS衛星や準天頂衛星の無線信号が届かない屋内や地下街でも測位できる屋内GPS技術としてIMES方式を考案し、NTTドコモ日立製作所、測位衛星技術、新衛星ビジネス(ASBC)らと共同で、地下駐車場における実証実験に成功したと発表した[2]

この実証実験の成功により、JAXAは準天頂衛星システム(初号機 みちびき)の地上補完システムとして、GPSや準天頂衛星の電波が届かない屋内や地下街でも測位できるようにするために、IMES送信機を設置することを提案している[3]

日本国の電波法としては、IMES送信機の送信出力が微弱無線に相当するため、免許不要で送信機の設置運用ができる。

2007年11月、米国GPS運用機関はIMESのためにGPSのPRN番号として173番~182番を使用することを認可した[4]。しかし、米国GPS運用機関はIMESの利用を日本国内に制限している[5]

IMES送信機から送信される信号は、GPSや準天頂衛星と周波数や変調方式で互換性がある無線信号であるが、そもそもGPSや準天頂衛星などの衛星測位システムとは全く異なる測位方式であること、航法メッセージのフォーマットがIMESの独自であることから、GPS受信機のファームウェアに若干の機能追加が必要である。 しかし、既存のGPS受信機と同一のハードウェアで、屋外と屋内をシームレスに測位できるという特徴を持つため、屋内測位技術の一つとして注目を浴びている。

2009年2月、ナビタイムKDDI、KDDI研究所が「神戸自律移動支援プロジェクト」実証実験において、IMESを用いたナビゲーションシステムの実証実験を行った[6]

2011年6月、IMESコンソーシアム発足。

2011年10月、北海道「網走監獄博物館」がソフトバンクモバイルが提供する「ふらっと案内」を用いて準天頂衛星「みちびき」と「IMES」による観光案内の実証実験を実施。 IMESコンソーシアム他、北海道 オホーツク管内の市町村、ソフトバンクモバイル、ソフトバンクテレコム、JR北海道、東京農業大学オホーツクキャンパス、財団法人網走監獄保存財団、財団法人衛星測位利用推進センター、社団法人北海道観光振興機構らが協力して実現[7]

2012年6月、Interopに併設されているLocation Business Japan2012において、iMES ShowCaseを出展。iMESコンソーシアム会員各社による技術と製品・サービスの展示等を行った。

開発の経緯[編集]

特に注釈がない限り、IMESコンソーシアム発表のIMES開発経緯の資料に基づく[8]

  • 2005 年度

準天頂衛星システムから送信する測位信号の設計検討作業において、IMES のコンセプト発案。

  • 2006 年度

第 4 回GPS-QZSS 専門家会合(EWG)において、米国GPS に対して共同検討を提案。分科会を設置、GPS やQZSS への干渉解析を実施。 送信機ハードウェアの試作機を開発。

JAXA,NTT ドコモ、ASBC,日立製作所、測位衛星技術の5 社で共同研究を実施、赤坂国際ビル地下駐車場にて基礎実証試験を実施、IMES の原理、コンセプトを検証。

  • 2007 年度

微弱電波の上限を守り、適切な隔離距離を確保して運用されるIMES はGPS に対して干渉を与えずに運用可能との結論を得る。

第 7 回EWG において、IMES 用のPRN コードを申請、米国GPSW(当時はJPO)より、地上補完用のPRN コード10 セットの割当認可を受ける。

準天頂衛星システムユーザインタフェース仕様書(IS-QZSS)のAppendix としてIMES の仕様案を公開。 国土交通省自律移動支援プロジェクトの豊田市社会実験に参加。

  • 2008 年度

国土交通省自律移動支援プロジェクトに採用され、神戸三宮地下街での実証実験に参加。

新エネルギー・産業技術総合開発機構イノベーション推進事業 (産業技術実用化開発助成事業)に採択、IMES 送信機LSI 開発に着手。

  • 2009 年度

経済産業省 IT とサービスの融合による新市場創出促進事業(e 空間実証事業)に採択、阪急梅田にて実証実験実施。

経済産業省 IT とサービスの融合による新市場創出促進事業(異種測位技術間における共通処理基盤構築事業)に採択、新丸の内ビルにて実証実験実施。

慶應大学、東京海洋大、芝浦工業大でのシームレス測位に関する研究。

文部科学省宇宙利用促進調整委託費公募、衛星からの広域同報小容量データを利用したリアルタイム防災ソリューションの構築研究が採択、慶應大日吉キャンパスで実証実験実施。

  • 2010 年度

文部科学省宇宙利用促進調整委託費公募に準天頂衛星システムの利用促進に向けた測位端末およびシミュレータの開発・整備(シームレス測位テストレンジの開発)が採択され実証実験環境を整備、受信機メーカが実験実施。

国土地理院「場所情報コードの利用技術に関する共同研究」開始。本テーマ内で、利用、運用について研究推進。文部科学省宇宙利用促進調整委託費公募、衛星からの広域同報小容量データを利用したリアルタイム防災ソリューションの構築研究において、横浜駅東口地下街ポルタにて実証実験実施。

G空間エキスポ(パシフィコ横浜)において、IMES に関する各種デモンストレーションを実施。宇宙航空研究開発機構の宇宙オープンラボ公募に、位置情報連動広告配信事業の検討が採択。

東急電鉄二子玉川ライズにてIMES 送信機を常設、アプリケーション開発のプラットフォーム開発。独立行政法人交通安全環境研究所による、準天頂衛星を利用した鉄道車両位置検知試験で、鉄道車両のホーム到着確認へのIMES 適用可能性評価を実施。

  • 2011 年度

IMES コンソーシアム設立。 2011年10月、北海道「網走監獄博物館」実証実験。

脚注[編集]

関連項目[編集]