DISCARDプロトコル

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DISCARD
通信プロトコル
目的 受信したデータの廃棄(試験、デバッグ、計測、ホスト管理の目的に使用)
OSI階層 アプリケーション層
ポート 9
RFC RFC 863

DISCARDプロトコル(ディスカードプロトコル)は、インターネット・プロトコル・スイートのサービスの1つであり、 RFC 863 で定義されている。試験、デバッグ、計測、ホスト管理の目的に使用されることを意図したものである。DISCARDは「廃棄」の意味である。

ホストは、Transmission Control Protocol(TCP)またはUser Datagram Protocol(UDP)を使用し、ウェルノウンポート番号であるポート番号9で、DISCARDプロトコルに対応した対象のホストにデータを送信する。応答は返らない。このため、通常はUDPが使用される。ただし、セッション指向の接続(HTTPプロキシやVPNを介した接続など)でサービスにアクセスする場合には、TCPを使用する。

DISCARDプロトコルは、Unixのファイルシステムにおける/dev/nullに相当するTCP/UDPメッセージである。DISCARDプロトコルのサービスは、送信されたものが受信されることが保証されており、送信されたペイロードが確実に受信されることを必要とするTCP/UDPコードのデバッグに使用できる。

inetdでの実装[編集]

UNIX系のオペレーティングシステムでは、DISCARDサーバはinetdファミリーのデーモンに組み込まれている。DISCARDサービスは通常、デフォルトで無効になっている。ファイル/etc/inetd.confに次の行を追加し、inetdで設定をリロードすることで有効になる[1]

discard   stream  tcp     nowait  root    internal
discard   dgram   udp     wait    root    internal

多くのルータで、DISCARDプロトコル用のポート9(およびECHOプロトコル用のポート7)は、ローカルネットワーク上のホストを遠隔から起動させるためのWake-on-LAN(WOL)マジックパケットを中継する際の代用のポート番号としてデフォルトで設定されている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 8. The inetd - /etc/inetd.conf file”. 2019年3月6日閲覧。

外部リンク[編集]

  • RFC 348, The Discard process
  • RFC 863, The Discard protocol