BTA-6

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BTA-6天文台の全景

BTA-6 (ロシア語: БТА; Большой Телескоп Азимутальный, 英語: Large Altazimuth Telescope )は旧ソ連時代に建造された[1]ロシア連邦の口径6m[1]の大型反射望遠鏡である。

1975年から1993年までの長期にわたり世界最大の望遠鏡だったものの、技術的その他の要因により充分な性能を発揮できなかった[2]。それでもBTAの特徴的な設計はその後の大型望遠鏡に影響を与え、コンピュータ制御の経緯台式架台赤道儀式架台に取って代わった。

建設[編集]

1960年11月[1]にソビエト連邦科学アカデミー天文学評議会[1]と望遠鏡建設委員会[1]の合同会議が口径6mの大望遠鏡建設を決議した[1]。この時の望遠鏡建設委員会長はアレクサンドル・ミハイロフであった[1]。計画と建設はロモに一任された[1]

1964年[1]にアメリカ合衆国とソビエト連邦の科学アカデミーの間で協定が成立[1]し、設計主任のバグラート・K・イオアニッシァニ教授ら4人[1]のソビエト連邦技術者がアメリカ合衆国を2ヶ月間訪問[1]し、11月中旬の3日間ハーバード大学のスミソニアン天文台で[1]赤道儀式架台と経緯台式架台の優劣[1]、大型反射鏡の熱変形[1]、望遠鏡のデジタル制御[1]などについて合同の研究討論会を持った[1]

建設地はソビエト連邦内の16ヶ所を候補地として調査し、気象条件はアジア地域の方が良いことがわかったが、輸送の問題もあってゼレンチュクスカヤに近い標高2,100mのパツーコフ山に決定した[1]

鏡材はソビエト連邦で開発した低膨張ホウケイ酸ガラス[1]であり、専用炉を設計[1]白金製の導管[1]から型に流し込んで直径605cm[1]、厚さ65cm[1]、重量70t[1]鋳造、歪みを除去する焼なましには2年かかった[1]。この両面を同心球面に磨き、メニスク型の一定厚とした[1]1968年に鏡材は完成し船舶でロモに輸送された[1]。ロモでは恒温室を含む設備を新しく作った[1]

主鏡は1974年6月に完成[1]し、テストでは入射光の61%が直径0.5の円内に収まり[1]、91%が直径1秒に収まる[1]と確認された。たわみによる弾性変形は4重の環状に配置された60ヶ所の支点で均等に支え、1/60波長以下になると推定された[1]。この支持機構のため裏面に60個の穴を開けたために主鏡重量は42tとなった[1]

レニングラード(現サンクトペテルブルク)のロモ工場で完成した望遠鏡は船舶でロストフへ[1]、さらに6台の40tトレーラーで天文台に運ばれた[1]1974年11月から試運転[1]し、1975年12月に最初の星野写真を撮影[1]1977年1月から研究観測に入った[1]

詳細[編集]

主鏡は口径605cm、焦点距離2497cm[1]、F4[1]の反射鏡であり、主焦点における写野直径は2である[1]。D・D・マクストフが設計した補正板を入れると焦点距離は2401cmとなり、直径12分に視野を拡大できる[1]ナスミス式望遠鏡として使用するときは直径76cmの凸双局面副鏡を入れ合成焦点距離180m、F30となる[1]。ナスミス副鏡の直径が小さいのが特徴的である[1]。類似の望遠鏡に比べて焦点距離が長く、ヘール望遠鏡の場合口径508cmF3.3である。光学系はリッチー・クレチアン式望遠鏡である。視野は1mmあたり8.6秒である。

運用は主にコダックスペクトロスコピック感光材料IIaO写真乾板水素増感しフィルターなしで露出時間30分から92分で撮影していた[1]

コンピュータ制御による経緯台式架台に搭載され「経緯台式大望遠鏡」(ボリショイ・テレスコープ・アジムタルヌーイ)の頭文字を取ってBTAと呼ばれた[1]。回転には直径2.2mの玉軸受2個と直径6.6mの玉軸受1個を用いるユニークな3球システムを採用した[1]。直径6.6mの鋼球は6m主鏡を研磨した研磨機で真球との誤差を0.02mm以下に仕上げてある[1]

BTA-6は頑丈なドームに格納されている。最も高い部分は53 mの高さがある。シリンダ状の基盤からの高さは48 mである。ドームはとても大きく望遠鏡との間隔は12 mある。

成果[編集]

1983年10月12日、写真では世界で初めてハレー彗星を捉えた[1]

1979年当時M81を中心とするB2銀河団に所属する銀河は19個が知られていたが、V・E・カラチェンツェバとI・D・カラツェンツェフを中心とする研究グループは、1982年に新発見の8個を含む39個の矮小銀河がB2銀河団に所属すると発表、さらに1984年にはさらに淡い矮小銀河11個加えた[1]

出典[編集]

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  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag ah ai aj ak al am an ao ap aq ar as at au av aw ax 『天文アマチュアのための望遠鏡光学・反射編』pp.1-34「反射望遠鏡が宇宙を開拓した」。
  2. ^ The 200-inch Hale Telescope

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

関連項目[編集]