経籍志

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経籍志(けいせきし)は、中国紀伝体歴史書における構成要素の一つである「」の中の篇目名であり、図書目録のことを指して言う。名称は異なるが、『漢書』に始まる「芸文志」と内容的には一致するものである。

『隋書』「経籍志」

経籍志は、『旧唐書』などの後代の正史にも見られるが、その筆頭は、魏徴らによる『隋書』である[1]。『隋書』の「経籍志」は、『漢書』「芸文志」以降、魏晋南北朝時代の各人によって試行錯誤が繰り返されてきた図書分類法の集大成として生まれた四部分類によって編輯されている。その構成は、

  1. 経部
  2. 史部
  3. 子部
  4. 集部
  5. 道経
  6. 仏経

と、四部の後に二教の経典を付録している。なお、各部は、さらに門類に細分されている。各条には、書名、巻数、撰者を記し、兵乱によって亡失したものには、「亡」と注記している。

『旧唐書』「経籍志」

上述の如く、の滅亡後、五代後晋の時代に勅命によって編纂された『旧唐書』にも、「経籍志」が立てられている。このも、

  1. 甲部経録
  2. 乙部史録
  3. 丙部子録
  4. 丁部集録

の四部分類を踏襲している。ただし、『隋書』とは異なり、道仏二教を四部以外に分出してはいない。また、丙部子録中には類書類が新設されている。

『旧唐書』が撰せられたのは、10世紀初めだが、「経籍志」に関しては五代の書目ではない。所収の典籍の年代は、玄宗開元年間(713年 - 741年)にまで遡り、当時の書目『古今書録』40巻の抄出であるため、以後の典籍は含まれていない。

参考文献

脚注

  1. ^ 魯迅『中国小説史略 上』ちくま学芸文庫、1997年、P.25頁。