レーニア山

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レーニア
空撮
標高 4,392 m
所在地 アメリカ合衆国ワシントン州
位置 北緯46度51分10秒 西経121度45分37秒 / 北緯46.85278度 西経121.76028度 / 46.85278; -121.76028座標: 北緯46度51分10秒 西経121度45分37秒 / 北緯46.85278度 西経121.76028度 / 46.85278; -121.76028
山系 カスケード山脈
種類 成層火山
初登頂 ハザード・スティーブンスと
P.R.ヴァン・トランプ(1870年
レーニア山の位置(ワシントン州内)
レーニア山
レーニア山 (ワシントン州)
レーニア山の位置(アメリカ合衆国内)
レーニア山
レーニア山 (アメリカ合衆国)
プロジェクト 山
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レーニア山(レーニアさん、英語:Mount Rainier)は、アメリカ西海岸の北部ワシントン州にあり、カスケード山脈の最高峰である成層火山である。高さは4,392m。

概要

地形図

名称は、イギリス海軍の艦船ディスカヴァリーの艦長で航海士ジョージ・バンクーバーが、1792年から1794年まで北太平洋沿岸を探検航行しコロンビア川の河口から見えるカスケード山脈の高い山々に英語の名前をつけた際、海軍大将ピーター・レーニアに由来して名付けたものである。もともとは、地元のインディアン部族のピュヤラップ族(Puyallup)が「水の母」という意味のtacobetと呼んでおり、そこから転じてタホマまたはタコマと呼ばれていた。

地形と地史

安山岩が主体で[1]、山体には26の氷河がある[1]。裾野からはホワイト川、カーボン川、ピュアラップ川、ニスカリ川、カウリッツ川などの河川が流れ出し、ピュージェット湾の湾奥から太平洋に注ぐ。

最も古い溶岩は約50万年前のものである。一番新しい記録に残る噴火1820年から1854年までの間のものであるが、多くの人々が19世紀後半にも火山活動を目撃している。

噴火の履歴については、1800年代、2200年前、4000年前、5000年前、5500年前、6000年前、6500年前、9000年前に、軽石噴火が生じており[1]、この中では2200年前が最も厚い堆積物を残している[1]

ISSから

大規模崩壊は過去6,000年間に少なくとも3回発生している[1]。約2,600年前と推定される大規模崩壊により、2億m3以上の山体が崩壊したとされている[1]。大規模な泥流も、紀元前8000年頃からの1万年間に約60回起きている。タコマを始めとする多くの都市がそうした過去の泥流による堆積物の上に位置している。

カスケード山脈の火山の中ではセント・ヘレンズ火山に次いで地震回数が多い[1]。21世紀初頭の時点では噴火の危機は切迫してはいないが、地質学者らはいつか再び噴火すると考えている。噴火の際にはラハール(火山灰による泥流・土石流)や火砕流の発生が危険視されている。

1998年からはアメリカ地質調査所がラハールの予測研究を始め、ピュアラップ川やタコマ市を襲う恐れのある土石流に対するハザードマップや避難計画が作られている。

インディアンによる改名要求運動

同山周辺を地元とする、ピュヤラップ族を始めとするインディアン部族は、現在この山を彼らの本来の名である「ティー・スワーク」(Ti'Swaq)に変更するよう、アメリカ連邦政府に要求している。

彼らはレーニア山を聖地としており、聖地の改名はインディアンの文化復興に不可欠であるとしている。2010年5月16日、ワシントン州のクリスティン・グレゴイル知事は、ピュヤラップ族の地名変更委員会である「SHB1084」と調印し、州政府に委員会を設置することを決定した[2]

したがって、将来「ティー・スワーク山」と改名される可能性がある。

登山

登頂は難易度が高い。標高1,800m以上は氷河に覆われ、山頂に着くまでに2 - 3日かかり、天候悪化などの要因により登頂に失敗する場合も少なくないとされる。多くの登山者の命を奪ってきた山であるが、山周辺のトレッキングハイキングは快適であり人気がある。周囲の森林地帯は1899年に全米で5番目となる「レーニア山国立公園」に指定され保護されており、園内には、当山を一周する全長150kmの「ワンダーランド・トレイル」がある。道は高低差があり険しいが、年に5,000人が一周を成し遂げる。当然、一部だけを歩く者は大勢いる。またクロスカントリースキースノーシューなどウィンタースポーツにもよい場所である。

脚注

  1. ^ a b c d e f g 山田孝、「米国アラスカ, カスケード山脈の火山」『砂防学会誌』 1995年 48巻 4号 p.49-57, doi:10.11475/sabo1973.48.4_49, 砂防学会
  2. ^ 『Puyallup tribal news』.com

参考文献

関連項目

外部リンク