エリトリトール

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エリトリトール
識別情報
CAS登録番号 10030-58-7
E番号 E968 (その他)
KEGG D08915
特性
化学式 C4H10O4
モル質量 122.12 g mol-1
密度 1.45 g/cm3
融点

121 °C, 394 K, 250 °F

沸点

329-331 °C, 602-604 K, 624-628 °F

特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

エリトリトール または エリスリトール (erythritol) とはメロンブドウなどの果実醤油味噌清酒などの発酵食品に含まれている天然の糖アルコール希少糖の一つに分類される。ブドウ糖を発酵させることにより作られる。非う蝕性の甘味料でありながらカロリーがほとんど無いことからダイエット甘味料として利用されている。歯垢に含まれる細菌同士の結合力を弱くすることにより、歯垢を分解しやすくする作用がある。IUPAC名は (2R,3S)-rel-ブタン-1,2,3,4-テトラオール。四炭糖の一種であるエリトロース糖アルコールにあたる。2個の不斉炭素を持つが、分子全体としてメソ体となっている。

水に溶解する場合、硝安(硝酸アンモニウム)などと同様に吸熱反応を起こす。その冷却の程度は、ヒトにも充分体感できる。

エリトリトールは体内に吸収されるので[1]大腸内の浸透圧を高める効果が少なく、他の糖アルコール甘味料に比べて下痢が起きにくい[2]。さらに、血糖値を上昇させず、インスリンの分泌を誘導しない[3]

副作用

エリトリトールの摂取によって下痢を引き起こす可能性がある[4]。また、即時型アレルギーの症例報告がある[5]

用途

  • 甘味料 - 砂糖の60-80%の甘味を示す。砂糖の甘さに近く、あっさりしたあと引きのない味質を持つ。ステビアアスパルテーム等の高甘味度甘味料と併用すると、高甘味度甘味料の味質をより砂糖に近い甘味質に改質することができる。
  • 低カロリー化または冷涼感用の食品
  • 口内細菌の活動を弱め、歯垢形成などを抑える効果があるとされ、また歯垢の結合を緩める効果を用い[6]歯みがき粉に清浄剤・洗浄補助剤として添加される。
  • 潜熱蓄熱材

脚注

  1. ^ 小腸等から体内に吸収され血中に移行するが、血中では代謝されずほとんどが尿として排出される。(参考:代謝|エリスリトール|三菱ケミカルフーズ
  2. ^ 奥恒行、「難消化吸収性糖質の消化・発酵・吸収ならびに許容量に関する研究 (平成17年度日本栄養・食糧学会学会賞)」『日本栄養・食糧学会誌』 2005年 58巻 6号 p.337-342, doi:10.4327/jsnfs.58.337
  3. ^ Oku T. et al. "Serum glucose and insulin levels and erythritol balance after oral administration of erythritol in healthy subjects.", Eur J Clin Nutr. 1994 Apr;48(4):286-92. PMID 8039489
  4. ^ 奥恒行、「低エネルギー糖質甘味料・エリスリトールの体内代謝と食品への応用」 『栄養学雑誌』 1998年 56巻 4号 p.189-198, doi:10.5264/eiyogakuzashi.56.189, 日本栄養改善学会
  5. ^ 松村泰宏, 加藤敦子, 夏見亜希、「エリスリトールによる即時型アレルギーの1例」 『皮膚の科学』 2017年 16巻 2号 p.133-138, doi:10.11340/skinresearch.16.2_133, 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
  6. ^ asahi.com: 糖類の働きで歯垢楽々分解 花王の研究所が発見

関連項目

外部リンク