原子力協定
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原子力協定(げんしりょくきょうてい)は、核物質・原子力関連資機材とこれらにかかわる技術の輸出入の際、平和利用に限定して軍事転用を防ぐために設けられる法的枠組みである[1][2]。
多国間協定
- 国際原子力機関(IAEA)憲章 - 1950年代半ば、アメリカ合衆国とソビエト連邦を軸に核兵器開発と原子力発電(原発)実用化が加速する中、西側諸国、東側諸国両陣営内では二国間原子力協定締結の動きも進んでいった。1955年8月には原子力の平和利用に関する国際会議「第一回ジュネーブ会議」が開催され、早期に国際機関を設立を求める意見が広がって国連全加盟国がこれに同意した。1956年、IAEA憲章採択会議においてIAEA憲章草案採択。1957年7月29日、IAEA憲章は所要の批准数を得て発効し、IAEAが発足した。2012年4月現在、IAEA加盟国は154か国[3]
- 国際原子力エネルギー協力フレームワーク(IFNEC) - 2006年にアメリカ合衆国・フランス・日本を中心に発足した、原子力の平和的活用並びに核兵器への転用防止などを主な目的としたパートナーシップ。2012年10月現在の参加国は32ヶ国で、IAEA・第4世代原子力システム国際フォーラム(GIF、Gen-4)・欧州原子力共同体(Euratom)がオブザーバー参加している。
二国間協定
発効した二国間協定
1950年代
1960年代
- 日米原子力協定 - 1968年7月10日旧協定発効、1973年一部改正。1988年7月17日現行の改定協定発効、有効期間30年、その後は6ヶ月の事前通告を経て終了[7][6]。
- 日加原子力協定 - 1960年7月27日旧協定発効。1980年9月2日現行の新協定発効[8]、有効期間10年、その後は6ヶ月の事前通告を経て終了[6]。
1970年代
- 日豪原子力協定 - 1972年7月28日旧協定発効。1982年8月17日現行の改定協定発効、有効期間30年、その後は6ヶ月の事前通告を経て終了[9][6]。
- 日仏原子力協定 - 1972年9月22日旧協定発効。1990年7月19日改正、現行の新協定発効、有効期間45年、その後は6ヶ月の事前通告を経て終了[10][6]。
- 米韓原子力協定 - 1972年11月24日署名、1973年3月19日発効、存続期間は30年。1974年5月15日、協定改定署名、存続期間41年に延長[11]。2014年
3月、存続期間が2年間再延長されたが、韓国側が求めていた使用済み核燃料再処理を米国側は引き続き認めなかった[12]。
1980年代
2000年代
2010年代
- 日本カザフスタン原子力協定 - 2011年5月6日発効、有効期間10年、その後は6ヶ月の事前通告をしない限り、自動的に5年ずつ延長[6]。
- 日韓原子力協定 - 1985年12月署名の日韓科学技術協力協定の下で原子力平和利用の協力を開始。1990年5月、日韓原子力平和利用協力取極締結[14]。2011年12月9日、第179回国会で承認。2012年1月21日発効、有効期間10年、その後は6ヶ月の事前通告をしない限り自動的に5年ずつ延長[6]。
- 日越原子力協定 - 2011年12月9日、第179回国会で承認。2012年1月21日発効、有効期間10年、その後は6ヶ月の事前通告をしない限り自動的に5年ずつ延長[6]。
- 日本ヨルダン原子力協定 - 2011年12月9日、第179回国会で承認。2012年2月7日発効、有効期間20年、その後は6ヶ月の事前通告をしない限り自動的に5年ずつ延長[6]。
- 日露原子力協定[15] - 1973年10月署名の日本ソビエト連邦間の科学技術協力協定の下で原子力平和利用の協力を開始。1991年4月、行政協定「原子力平和利用の協力協定」に日ソ両外相が署名。1991年12月、ソビエト連邦の崩壊に伴い、ロシアがこの行政協定を継承。2003年1月、両国は定期的に日露原子力協議を開催していくことを確認[16]。2011年12月9日、第179回国会で承認。2012年5月3日発効、有効期間25年、その後は6ヶ月前の事前通告により終了させることができる [6]。
- 日本アラブ首長国連邦原子力協定 - 2009年6月交渉開始、2010年6月実質合意。2013年5月2日署名[17]。2014年7月10日発効[18]。
- 日本トルコ原子力協定 - 2011年1月交渉開始、2012年3月実質合意。2013年4月26日日本側署名、2013年5月3日トルコ側署名[17]。2014年6月29日発効[18]。
- 日印原子力協定 - 2010年6月交渉開始[17][18]。2016年11月12日署名[19]。
凍結された二国間協定
各国の方針
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日本
原子炉・燃料ウラン・原発技術などの日本への輸入や、日本国外での使用済み核燃料再処理の目的で交わされてきたほか、近年では新興国などへの原発輸出のために締結されている。
原子力協定を交渉中の国もある。
- 南アフリカ共和国 - 2010年9月交渉開始[17][18]。
- サウジアラビア - 2013年12月27日、外務省は協定交渉開始で合意と発表[18]。
- ブラジル - 2011年1月交渉開始[17][18]。
- メキシコ - 2014年7月9-10日、メキシコシティで締結交渉開催[17][18]。
これらの他に、日本国政府は現在モンゴル・マレーシア・タイとの間で原子力協定新規締結を交渉中であると報じられている[6][21]。
脚注
- ^ 原子力協定 朝日新聞掲載「キーワード」の解説 2011-10-30 朝日新聞 朝刊
- ^ げんしりょく‐きょうてい〔‐ケフテイ〕【原子力協定】デジタル大辞泉の解説
- ^ 国際原子力機関(IAEA)の概要 平成24年9月 外務省
- ^ 日英原子力協定(1968年) (13-04-02-02) - 原子力百科事典ATOMICA
- ^ 日英原子力協定(1998年) (13-04-02-12) - 原子力百科事典ATOMICA
- ^ a b c d e f g h i j k l m 「我が国の2国間原子力協力協定の現状」2012年5月30日、日本原子力産業協会 国際部(PDF)
- ^ 日米原子力協定 (13-04-02-01) - 原子力百科事典ATOMICA
- ^ 日加原子力協定 (13-04-02-04) - 原子力百科事典ATOMICA
- ^ 日豪原子力協定 (13-04-02-05) - 原子力百科事典ATOMICA
- ^ 日仏原子力協定 (13-04-02-03) - 原子力百科事典ATOMICA
- ^ 米韓原子力協力協定 日本原子力研究開発機構
- ^ 川合智之 (2014年3月19日). “米韓原子力協定を2年延長 再処理解禁は合意至らず”. 日本経済新聞 2014年11月16日閲覧。
- ^ 日中原子力協定 (13-04-02-06) - 原子力百科事典ATOMICA
- ^ 日韓原子力平和利用協力取極 (13-04-02-08) - 原子力百科事典ATOMICA
- ^ 原子力関連条約 平成24年9月 外務省
- ^ 日露原子力協定 (13-04-02-07) - 原子力百科事典ATOMICA
- ^ a b c d e f 原子力協定[二国間原子力協定 日・アラブ首長国連邦原子力協定 日・トルコ原子力協定]平成25年5月31日 外務省 軍縮不拡散・科学部 国際原子力協力室 (PDF)
- ^ a b c d e f g 「我が国の二国間原子力協力協定の現状」2014年7月14日、日本原子力産業協会 国際部(PDF)
- ^ “日本とNPT未加盟のインド、原子力協定に署名”. AFP. (2016年11月12日) 2017年11月21日閲覧。
- ^ “米政権、ロシアとの原子力協定を凍結”. AFP. (2008年9月9日) 2017年11月21日閲覧。
- ^ 政府、トルコと原子力協定締結で実質合意 原発輸出へ一歩前進 日本経済新聞 2012年3月23日--2012年11月1日閲覧