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メルボルン市電B形電車

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メルボルン市電B形電車
メルボルン市電B1形電車
メルボルン市電B2形電車
2026(2010年撮影)
基本情報
製造所 コモンウェルス・エンジニアリングABB
製造年 B1形 1984年 - 1985年
B2形 1987年 - 1994年
製造数 B1形 2両(2001・2002)
B2形 130両(2003 - 2132)
投入先 メルボルン市電
主要諸元
編成 2車体連接車
軸配置 B′(2)′B′
軌間 1,435 mm
電気方式 直流600 V
架空電車線方式
車両定員 110人(着席74人)(登場時)
120人(着席40人)(更新車)
車両重量 34.0 t
全長 23,630 mm
全幅 2,640 mm
全高 3,700 mm
車輪径 660 mm
固定軸距 1,800 mm
台車中心間距離 17,000 mm
主電動機 AEG製ABS 3322[1]
主電動機出力 195 kW
出力 390 kW
制御方式 電機子チョッパ制御
制御装置 AEG・シーメンス
備考 主要数値は[2][3][4][5][6]を参照。
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B形は、オーストラリアメルボルンの路面電車のメルボルン市電に在籍する電車の1形式。鉄道線を転換したライトレール区間の開通に合わせて導入された、同市電における初の連接車である[2][3][7][4]

概要

オーストラリア大都市メルボルン市内を走るメルボルン市電のうち、セント・キルダ英語版ポートメルボルン英語版へ向かう系統は、高規格の鉄道路線を市電の路線網へ転換したライトレール路線である。これらの路線は長年に渡って近代化が行われなかった結果老朽化が進行し、路線バスへの置き換えが検討される事態にまで至ったが、1982年にメルボルン都市圏における公共交通機関の運営組織がメトロポリタン交通局英語版(Metropolitan Transit Authority、MTA)へ一本化されたのを機に方針が転換され、両系統を市電の系統へと転換する事が発表された。これに伴い、軌間の改軌(1,600 mm1,435 mm)や信号システムの変更、市電との接続などの工事と合わせてライトレール路線に適した新型電車の導入も実施されることとなった。その中で、メルボルン市電における初の連接車として発注が行われたのがB形電車である[注釈 1][7][9][4][10]

両運転台式の2車体連接車で、前後のボギー台車に1基の主電動機が搭載されている(モノモーター方式)。これを含めた主要機器については同時期に開発が行われたA形と共通仕様となっており、製造メーカーもデュワグ(台車)、シーメンス/AEG(制御装置)と共通である。製造はオーストラリアのコモンウェルス・エンジニアリングダンデノングに所有していた工場で実施されたが、1990年に同工場がABBグループで売却された事で、以降の量産は同社によって実施されている[5][4][2][11][12]

塗装については、製造当初上半分および側面下部の線が黄色がかったクリーム色、下半分が緑色という、当時のメルボルン市電の標準として新たに定められたデザインが採用されたが、市電の運営権が民間事業者へ移管されて以降は各事業者の塗装に変更されている[13]

車種・運用

B1形

ライトレール路線の開通に合わせて導入された試作車。1982年に発注が行われ、1984年1985年に1両づつ(2001・2002)導入された。設計当初、ライトレール区間は高床式プラットホームを用いる構想があり、それに合わせて高床式プラットホームに対応した折り畳み式ステップが設置された。だが、試運転時にこの構造が乗客の往来に支障をきたす事が指摘された事でライトレール区間についても低床式プラットホームとしたため、営業運転時にステップは撤去された[4][14][2][5]

次項で述べるB2形と同様にライトレール路線を始めとした各系統で使用されたが2016年さよなら運転が行われ、2018年現在は2001のみ保存を前提とする形で残存する[15][16]

B2形

B1形の試験結果を基に製造された量産車。基本的な構造はB1形に基づいているが、ステップが当初から存在しない他、メルボルン市電の車両で初めて冷房装置ドットマトリクス式の方向幕が設置された。冷房装置は各車体の屋根上に1基づつ配置されている[4][2]

1987年から1994年にかけて生産が実施され、1988年9月から営業運転を開始し、ライトレール路線に加えて需要が高いメルボルン市電の主要系統にも投入された。2013年以降はLED照明の導入、超低床電車に用いられている人間工学に基づいた座席への交換やそれに伴う乗客の流動性の向上、床面の更新といった近代化工事が施工され、着席数が減少した一方で総定員数は増加した。更に2014年には車内に情報案内装置が搭載され、多数の近代化を経て2020年現在も130両(2003 - 2132)全車が営業運転に用いられている[17][4][2][6][18][19]

その他

B形の設計段階にあたっては、当時ヨーロッパ各地で開発や導入が始まっていた、床上高さを下げた超低床電車とする計画が存在し、B形の開発が始まった1980年代初頭に加えてB2形の量産決定時や1998年にも同様の案が出された。しかしどれも実現する事なく、メルボルン市電において初めて登場した超低床電車は2001年から営業運転を開始したC形となった[20]

脚注

注釈

  1. ^ メルボルン市電には1931年まで在籍した2軸車に「B形英語版」という同形式の車両が存在しており、本項目のB形は2代目にあたる[8]

出典

  1. ^ Tram Track Design”. ヤラトラム. 2023年1月27日閲覧。
  2. ^ a b c d e f 服部重敬 1998, p. 84.
  3. ^ a b Dale Budd 2014, p. 33.
  4. ^ a b c d e f g Geoff Brown 2018, p. 3.
  5. ^ a b c B1 Class”. VICSIG (2018年2月9日). 2020年11月11日閲覧。
  6. ^ a b Public Transport Victoria (2014-5) (PDF). Yarra Trams Load Standards Survey Report. pp. 23. https://transport.vic.gov.au/-/media/tfv-documents/ptv/ptv_maca-yarra-trams-load-survey-report-may-2014-public.pdf?la=en&hash=5254C73ABF2A8C98A6D0ECEA11A0AE1A. 
  7. ^ a b Geoff Brown 2018, p. 1.
  8. ^ Russell Jones (2008年). “PMTT tramcar fleet”. Melborune Tram Museum. 2020年11月11日閲覧。
  9. ^ Geoff Brown 2018, p. 2.
  10. ^ 服部重敬 1998, p. 83.
  11. ^ TRAMS TOURISM IN MELBOURNE”. HiSoUR. 2020年11月11日閲覧。
  12. ^ John Dunn (2013-11-3). Comeng: A History of Commonwealth Engineering: Volume 5: 1985-1990 (plus ABB, Adtranz and Bombardier to 2012). Rosenberg Publishing. pp. 87-94, 200-207. ISBN 978-1922013521 
  13. ^ Dale Budd 2014, p. 44-46.
  14. ^ Geoff Brown 2018, p. 4.
  15. ^ B1 Celebration Tour”. facebook (2016年). 2020年11月11日閲覧。
  16. ^ Retired Tram Strategy”. CoMTA (2018年). 2020年11月11日閲覧。
  17. ^ Melbourne's tram fleet”. YarraTrams (2018年2月9日). 2020年11月11日閲覧。
  18. ^ B-Class tram upgrade delivers capacity and safety boost”. Yarra Trams (2013年10月18日). 2020年11月11日閲覧。
  19. ^ E-Class trams on Route 11 & new passenger info displays - all part of improving Melbourne’s tram network”. Yarra Trams (2015年6月12日). 2015年7月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年11月11日閲覧。
  20. ^ Geoff Brown (2019-3). “Introducing low-floor trams to Melbourne”. The Bellcord (Melbourne Tram Museum) 41: 1-4. http://www.hawthorntramdepot.org.au/downloads/bellcord/bc-041.pdf 2020年11月11日閲覧。. 

参考資料

外部リンク