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ピタバスタチン

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ピタバスタチン
IUPAC命名法による物質名
臨床データ
販売名 リバロ, Livalo
Drugs.com monograph
MedlinePlus a610018
ライセンス US FDA:リンク
胎児危険度分類
  • AU: D
  • US: X
法的規制
薬物動態データ
生物学的利用能60%
血漿タンパク結合96%
代謝minimally CYP2C9英語版
半減期11 時間
排泄糞中
識別
CAS番号
147511-69-1 ×
ATCコード C10AA08 (WHO)
PubChem CID: 5282452
IUPHAR/BPS 3035
ChemSpider 4445604 チェック
UNII M5681Q5F9P チェック
ChEBI CHEBI:32020en:Template:ebicite
ChEMBL CHEMBL1201753en:Template:ebicite
化学的データ
化学式C25H24FNO4
分子量421.461
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ピタバスタチン (Pitavastatin) はスタチンに分類される脂質異常症治療薬の一つである[1]。他のスタチンと同様、コレステロール生合成の最初の段階の酵素であるHMG-CoAレダクターゼを阻害する。日本日産化学工業が創薬し、興和が開発した[2]。商品名リバロ。旧名イタバスタチン、イタババスチン、ニスバスタチン。開発コードNK-104、NKS-104。
ピタバスタチンとエゼチミブの合剤がリバゼブとして上市されている。

効能・効果

日本で承認されている効能・効果は「家族性高コレステロール血症」および「脂質異常症」である。10歳以上の小児の家族性高コレステロール血症にも使用できる[3]

心血管疾患の予防に用いる。

2009年の臨床試験(LIVES試験)ではピタバスタチンが104週間投与され、LDLコレステロールを大きく減少(31.3%)させる事に加えて、特にHDLコレステロール値が40mg/dL未満の患者でHDLコレステロールを増加(24.6%)させることが見出された[4]。HDLは他のスタチンから切り替えた患者で経時的に増加した。70ヶ月の観察研究(CIRCLE試験)では、ピタバスタチンのHDL上昇効果はアトルバスタチンよりも高い事が判明した[5]

スタチンは糖尿病リスクを増加させるとの報告があるが[6]、ピタバスタチンは血糖値を上昇させないとされている[7]。結果として、ピタバスタチンは高LDL、低HDL、糖尿病を有するメタボリックシンドローム患者への投与に適していると言える。

副作用

重大な副作用とされているものは、横紋筋融解症ミオパチー、免疫性壊死性ミオパチー、肝機能障害、黄疸、血小板減少、間質性肺炎である[8]

副作用の種類は他のスタチンと変わらないが、筋肉への副作用は他の脂溶性スタチンよりも少ない[9]。アトルバスタチンを服用すると血中コエンザイムQ10値が低下するが、ピタバスタチンでは低下しない[2][10]。これは全てのスタチンがHMG-CoA還元酵素系に一様に作用している訳ではない事を示唆している。

ピタバスタチン服用中に高尿酸血症が発現した事が報告されている[11]

薬物動態学

多くのスタチンは肝臓シトクロムP450酵素で代謝されるので、薬物相互作用する可能性があり、一部の食品(グレープフルーツジュース等)も問題になる。ピタバスタチンはCYP2C9英語版で代謝されるがCYP3A4の基質ではない。これはピタバスタチンの相互作用が他のスタチンと異なる理由である。この結果、CYP3A4で代謝される薬物との相互作用がなく、特に高齢者で多くの薬剤を服用している様な場合に重要となる[2]

承認取得状況

日本で開発され、2003年に承認された[12]:3。2005年にインド[13]で、2008年に中華人民共和国[14]で、2012年にインドネシア[15]中華民国[16]で承認された。

欧州連合では2005年に一旦開発中止されたが[17]、2010年にイギリスでヨーロッパでの承認が合意[18]され、2011年にスペインで承認された。アメリカ合衆国では2009年に承認された[19]

2015年6月、日本で10歳以上の小児についての用法・用量が承認された[3]

出典

  1. ^ Kajinami, K; Takekoshi, N; Saito, Y (2003). “Pitavastatin: efficacy and safety profiles of a novel synthetic HMG-CoA reductase inhibitor”. Cardiovascular drug reviews 21 (3): 199–215. PMID 12931254. 
  2. ^ a b c Mukhtar, R. Y. A.; Reid, J.; Reckless, J. P. D. (2005). “Pitavastatin”. International Journal of Clinical Practice 59 (2): 239–252. doi:10.1111/j.1742-1241.2005.00461.x. PMID 15854203. 
  3. ^ a b リバロ:10歳以上の小児で使用可能に”. 日経メディカル (2015年7月17日). 2015年9月9日閲覧。
  4. ^ “Effects of pitavastatin (LIVALO Tablet) on high density lipoprotein cholesterol (HDL-C) in hypercholesterolemia.”. J Atheroscler Thromb. 16: 654–61. (Oct 2009). doi:10.5551/jat.1719. PMID 19907105. 
  5. ^ “Pitavastatin in cardiometabolic disease: therapeutic profile”. Cardiovasc Diabetol. 12 Suppl 1: S2. (May 30, 2013). doi:10.1186/1475-2840-12-S1-S2. PMID 23819752. 
  6. ^ スタチンによる糖尿病リスク,従来報告を上回る46%の上昇”. MTPro (2015年3月6日). 2015年9月10日閲覧。
  7. ^ スタチンによる糖尿病の増加、日本人での検討で認められず”. 日経メディカル (2013年8月19日). 2015年9月10日閲覧。
  8. ^ リバロ錠1mg/リバロ錠2mg/リバロ錠4mg 添付文書” (2016年10月). 2016年11月5日閲覧。
  9. ^ ScienceDaily (11 May 2013). “Alternative Cholesterol-Lowering Drug for Patients Who Can't Tolerate Statins”. ScienceDaily. http://www.sciencedaily.com/releases/2013/03/130311151126.htm. 
  10. ^ Kawashiri, MA; Nohara, A; Tada, H; Mori, M; Tsuchida, M; Katsuda, S; Inazu, A; Kobayashi, J et al. (May 2008). “Comparison of effects of pitavastatin and atorvastatin on plasma coenzyme Q10 in heterozygous familial hypercholesterolemia: results from a crossover study”. Clin Pharmacol Ther. 83 (5): 731–9. doi:10.1038/sj.clpt.6100396. PMID 17957184. 
  11. ^ Ogata, N.; Fujimori, S.; Oka, Y.; Kaneko, K. (2010). “Effects of Three Strong Statins (Atorvastatin, Pitavastatin, and Rosuvastatin) on Serum Uric Acid Levels in Dyslipidemic Patients”. Nucleosides, Nucleotides and Nucleic Acids 29 (4–6): 321. doi:10.1080/15257771003741323. 
  12. ^ 審議結果報告書 リバロ”. 厚生労働省 (2015年6月9日). 2015年9月9日閲覧。
  13. ^ Zydus Cadila launches Pitavastatin, a cholesterol fighting product”. Business Standard News (2005年2月22日). 2015年9月9日閲覧。
  14. ^ 中国における高コレステロール血症治療剤ピタバスタチンの輸入承認取得について”. 興和 (2008年11月4日). 2015年9月9日閲覧。
  15. ^ 高コレステロール血症治療剤「ピタバスタチンカルシウム」 インドネシアにおける販売開始に関するお知らせ”. 興和・田辺三菱製薬 (2012年5月9日). 2015年9月9日閲覧。
  16. ^ 高コレステロール血症治療剤「ピタバスタチンカルシウム」 台湾における販売開始に関するお知らせ”. 興和・田辺三菱製薬 (2012年6月6日). 2015年9月9日閲覧。
  17. ^ 高コレステロール血症治療剤ピタバスタチンの欧州における開発が中止”. 日経メディカル (2005年12月16日). 2015年9月9日閲覧。
  18. ^ 高コレステロール血症治療剤「一般名 ピタバスタチンカルシウム」のスペインでの上市について”. 興和 (2011年5月11日). 2015年9月9日閲覧。
  19. ^ The Seventh Statin; Pitavastatin