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WASP-107b

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WASP-107b
主星の前面を通過するWASP-107bの想像図
主星の前面を通過するWASP-107bの想像図
星座 おとめ座[1]
分類 太陽系外惑星
スーパーネプチューン?
パフィー・プラネット
天文学における意義
太陽系外で初めてヘリウムが検出された惑星
発見
発見年 2017年
発見者 Tom Evans, Jessica Spake
スーパーWASP
発見方法 トランジット法
位置
元期:J2000.0[2]
赤経 (RA, α)  12h 33m 32.844s[2]
赤緯 (Dec, δ) −10° 08′ 46.13″[2]
距離 ~200 光年[3]
(~61.3 パーセク
軌道要素と性質
軌道の種類 周回軌道
軌道長半径 (a) 0.0553 ± 0.0013 au[4]
(8,272,880 ± 194,480 km)
離心率 (e) 0[1]
公転周期 (P) 5.72149242 ± 0.00000046 [4]
軌道傾斜角 (i) 89.560 ± 0.078°[4]
通過時刻 2456514.4106 ± 0.0001 (BJD)[1]
準振幅 (K) 17 ± 2 m/s[1]
WASP-107の惑星
物理的性質
直径 134,405 km
半径 0.924 ± 0.022 RJ[4]
表面積 5.31×1010 km2
体積 1.13×1015 km3
質量 0.119 ± 0.014 MJ[4]
平均密度 0.152 ± 0.017 ρJ[4]
(0.202 ± 0.023 g/cm3
表面重力 2.49 ± 0.05 (log g)[1]
表面温度 770 ± 60 K[1]
(497 ± 60
大気の性質
大気圧 不明
ヘリウム 割合不明
他のカタログでの名称
EPIC 228724232 b
TYC 5530-1795-1 b
2MASS J12333284-1008461 b
Template (ノート 解説) ■Project

WASP-107bは、おとめ座の方角に約200光年離れた位置にある恒星WASP-107公転している太陽系外惑星である[1][3]太陽系外惑星としては初めてヘリウムが検出された惑星として知られている。

特徴

大きさの比較
木星 WASP-107b
木星 Exoplanet

WASP-107bは、2017年にハッブル宇宙望遠鏡の観測結果を利用した、太陽系外惑星探索プロジェクトスーパーWASPの天文学者達によって、トランジット法で発見された。

WASP-107bは木星の0.924倍で、主星から約820万km離れた軌道を6日弱で公転している、ガス惑星とされている[4]。大きさは木星と同程度だが、質量海王星の2倍ほどしかないため、密度土星(0.70 g/cm3)の約5分の1しかなく、これは既知の太陽系外惑星の中でも特に低密度である[3]。こうした低密度な惑星はパフィー・プラネットと呼ばれる。表面温度は、金星とほぼ同程度の770K(497℃)とされている[4]

大気

主星の恒星活動が非常に活発であるため、WASP-107bの大気は高速で宇宙空間に放出されており、また主星からの放射を吸収して大きく膨張している。そのため、WASP-107bは10億年ごとに総質量の0.1~4%(10×1010~3×1011 g)を失っているとされている[3][5][6]

2018年5月、ハッブル宇宙望遠鏡の広視野カメラ3(WFC3)を用いた観測で、WASP-107bの大気からヘリウムが検出されたと発表された[5]。太陽系外惑星からヘリウムが検出されたのはこれが初めてであった。大量のヘリウムが検出された事により、WASP-107bの大気が高度数万kmまで広がっている事も判明した[3]。また、このWASP-107bは大きく広がった大気が赤外線波長の観測で検出された初めての惑星でもある[5][6][注 1]

主星

WASP-107bが公転している恒星WASP-107は、スペクトル分類がK6型[1]で、太陽の0.691倍の質量と0.657倍の大きさを持つ[4]金属量は太陽とほぼ同程度で、表面温度は4,430K(4,157℃)[1]である。視等級は11.6等と暗く、肉眼では観測出来ない。

脚注

注釈

  1. ^ 広がった大気の検出は、これまでは紫外線可視光線での観測によって行われてきた[5][6]

出典

外部リンク