コンテンツにスキップ

画筆

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2018年11月13日 (火) 01:55; 112.138.251.208 (会話) による版(日時は個人設定で未設定ならUTC

(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
様々な種類の画筆

画筆(がひつ、: Paintbrush)は、絵画を描くのに用いる。油彩画筆・水彩画筆・日本画筆などに分類される。絵筆(えふで)ともいう。

概要

[編集]
絵筆

フィルバート(平)、フラット(平)、ラウンド(丸)、ファン(扇)などの形状がある。原毛は天然毛(獣毛)と合成毛(合成繊維)に分けられる。硬さによって、剛毛と柔毛・和毛(にこげ)に分けることも可能である。筆は同じ形状でも毛質によって描き味が異なる。

油絵具は、ふつう剛毛筆を用い面的に塗布する[1]ので、平型、特にフィルバートが好まれる。剛毛筆を用いるのは絵具に粘りがあるからであるが、繊細な描写にはイタチ毛などの柔毛筆の腰のあるものが好まれる。

他方、水彩絵具では絵具の操作に大きな力を要さないので、極めて柔らかく繊細なリス毛が重宝されている。リス毛とは反対に弾力のあるイタチ毛は、緻密な表現が容易であるため好まれている。一部はコリンスキーと呼ばれ区別され、極めて高価である。

原毛に採用される主な動物

[編集]
  • ブタ - 白豚毛は、油彩用として最重要の原毛。
  • リス - 黒色のリス毛は、極めて柔らかくしなやかで含みが良い。白色のリス毛は日本画筆の金泥刷毛などに使われる。
  • クロテンSable) - ロシアンセーブル(Russian sable) などと呼ばれる。揃いが良く、弾力があり、高価。
  • チョウセンイタチ - レッドセーブル(Red sableコリンスキー) などと呼ばれる。揃いが良く、弾力があり、高価。
  • ヨーロッパケナガイタチEuropean polecat) - ブラック セーブル(Black sable)、フィッチ(fitch)、ポールキャットの名で知られる。毛はレッド セーブルよりは固く太いが、揃いは良く、弾力もある。
  • マングース
  • アナグマ
  • ムジナ - 主にアナグマを指すが、タヌキハクビシンを指したり、これらのをはっきり区別することなくまとめて指している場合もある。
  • オロンピ - パーミー。
  • タヌキ
  • ウマ - 日本ではイミテーションオックスの主要原毛として採用されて重宝されている。単独で採用される場合もある。「熊毛」はウマの毛を指すことがある。
  • ウシ
  • ヤギ - 「羊毛」はヤギの毛を指す。
  • ネズミ - 和筆にはネズミの毛を用いたものもある。
  • ジャコウネコ - 2000年前後に、世界最大のブラシ専門メーカーであるラファエルのラインアップから消滅した。また、それ以前から重要な原毛ではないという指摘はされていた。
  • ネコ - 白猫の背筋毛のみが使用される。

その他の原毛

[編集]

脚注

[編集]
  1. ^ 『絵画技術体系』 マックス・デルナー 著 ハンス・ゲルト・ミュラー 著(改訂) 佐藤一郎 訳 美術出版社 1980.10 ASIN: B000J840KE

参考文献

[編集]
  • 『油彩画の技術 増補・アクリル画とビニル画 』 グザヴィエ・ド・ラングレ 著 黒江 光彦 訳 美術出版社 1974.01 ISBN 4568300304 ISBN 978-4568300307
  • 『絵画技術体系』 マックス・デルナー 著 ハンス・ゲルト・ミュラー 著(改訂) 佐藤一郎 訳 美術出版社 1980.10 ASIN: B000J840KE
  • 『絵画技術入門―テンペラ絵具と油絵具による混合技法 (新技法シリーズ) 』 佐藤 一郎 著 美術出版社 1988.11 ISBN 4568321468 ISBN 978-4568321463
  • 『絵画技術全書』 クルト・ヴェールテ(Kurt Wehlte) 著 ゲルマール・ヴェールテ(Germar Wehlte) 著 佐藤一郎 監修翻訳 戸川英夫 訳 真鍋 千絵 訳 美術出版社 1993.03 ISBN 4568300460
  • 『カラー版 絵画表現のしくみ―技法と画材の小百科』森田 恒之監修 森田 恒之ほか執筆 美術出版社 2000.3 ISBN 4568300533
  • 「da Vinci Watercolour brushes made from natural hair」da Vinci Künstlerpinselfabrik DEFET GmbH 2002年12月
  • 『2006 ARTISTS' MATERIALS』 株式会社 名村大成堂 2006年1月

関連項目

[編集]