5S

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5S(ごエス、ごーエス)とは、製造業サービス業などの職場環境の維持改善で用いられるスローガンである。各職場において徹底されるべき事項を5つにまとめたもので、4S運動に「」(習慣化の場合もある)を加えた5項。

概要[編集]

名前は、5項目のローマ字での頭文字がいずれもSとなっている事に由来する。5Sに基づいた業務管理を5S管理5S活動などと呼ぶ。

整理(せいり、Seiri)
いらないものを捨てる
整頓(せいとん、Seiton)
決められた物を決められた場所に置き、いつでも取り出せる状態にしておく
清掃(せいそう、Seisou)
常に掃除をする
清潔(せいけつ、Seiketsu)
3S(上の整理・整頓・清掃)を維持し職場の衛生を保つ
躾(しつけ、Shitsuke)
決められたルール・手順を正しく守る習慣をつける

5S自体による効果は職場環境の美化、従業員のモラル向上などが挙げられる。5Sの徹底により得られる間接的な効果として、業務の効率化、不具合流出の未然防止、職場の安全性向上などが挙げられているが、メリットもデメリットもある。

海外の5S

日本で生まれた概念だが、日本国外で用いられることもあり、「ファイブ・エス (five S)」と言う。

5Sのメリット・デメリット[編集]

5S導入のメリット[編集]

無駄の削減と効率化による生産性の向上が期待できる[編集]

整理・整頓を徹底することで、あらゆる無駄がなくなります。無駄がなくなることで、ひとつひとつの行動にかかる時間が短縮されていきます。その結果、全体の効率化や生産性の向上に期待できるでしょう。前述したように、必要なものを探している時間は年間で150時間にものぼります。

ひとつのものを探している時間は、非常にわずかな時間です。しかし、ひとつひとつの時間はわずかでも、積み重なっていくと膨大な時間になってしまいます。そのため、これらを削減していくことで、生産性が高まり、中・長期的な企業の収益に貢献することにもつながります。また、生産性が向上することで、作業時間の短縮が見込まれるため、残業時間の削減などでワークライフバランスを整えられます。そのため、5Sは、企業だけではなく、働く側にとっても大きなメリットがあるといえるでしょう。

社員の意識改善につながる[編集]

環境犯罪学の理論に、「割れ窓理論」というものがあります。この割れ窓理論は、「破れ窓理論」や「壊れ窓理論」、「ブロークン・ウィンドウ理論」とも呼ばれています。この理論では、建物の窓が壊れていることを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になっていまい、やがてほかの建物の窓もすべて壊されてしまうとされています。

つまり、「窓が割れている」という小さなことを放置すると、犯罪が起こりやすい環境をつくり、最終的には、凶悪犯罪が多発するようになってしまうということを示唆しています。したがって、小さな犯罪でも徹底的に取り締まることで、犯罪が起きにくい環境をつくり、治安を保っていくということが、割れ窓理論の概要です。

職場環境もこれと同じで、ゴミが落ちていることを放置してしまうと、誰も関心を払わなくなり、職場が荒れて、いずれ大きな事故につながってしまいます。また、そこで働く社員の士気が下がることで、生産性も低下し、企業の業績へも悪影響を及ぼします。

そのため5Sを徹底して行い、職場や身の回りをきれいに維持することで、社員の仕事に対する意識が改善されていきます。また、5S活動によってさまざまな改善を行うことで、社員自身も何かできることはないかといった問題意識を持つようになるため、社員の主体性の向上にも期待できます。

5S導入のデメリット[編集]

コストがかかる[編集]

5Sを導入し継続していくためには、さまざまなコストがかかります。例えば、職場を整理・整頓するための道具やロッカーなどの収納場所を用意するためのコストや、社員へ教育を行うためのコストが挙げられます。また、5Sを導入したばかりのタイミングでは、社員への習慣づけができていないことから、戸惑いもあり、生産性の低下が起こってしまう恐れもあります。

したがって、これらのコストが発生する可能性があることが、5Sのデメリットのひとつです。

すぐに効果が表れにくい[編集]

5Sはすぐに利益に貢献するような取り組みではありません。5Sを継続して行い習慣づけることで、徐々に作業効率などが改善されて生産性の向上といった効果が表れてきます。すぐに目に見える効果が表れにくいため、途中で5Sをやめてしまう企業も少なくありません。

しかし、トヨタ自動車のように、5Sをはじめとした取り組みを何十年と続けてきている企業は成果をあげ、大きな成功を収めています。したがって、5S活動で成果を出すためには、継続して続けていくことが非常に重要なポイントです。

5S活動の事例[編集]

日本電産グループでは「作法」を加えて「6S」または「3Q6S」とする。東芝グループでは「しっかり」「しつこく」を追加して「7S」とすることがある。プロトコーポレーションでも7Sとしており、各階で掃除管理人を定める。セガ エンタテインメントでは「習慣」「しつこく」「しっかり」「信頼」「スパイラルアップ」を追加して「10S〜マネージメントの基本〜」とし、アミューズメント施設店舗で復唱が行われている。

関連項目[編集]


外部リンク[編集]