13日の金曜日 (2009年の映画)
| 13日の金曜日 | |
|---|---|
| Friday the 13th | |
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| 監督 | マーカス・ニスペル |
| 脚本 |
ダミアン・シャノン マーク・スウィフト |
| 原案 |
ダミアン・シャノン マーク・スウィフト |
| 原作 |
ヴィクター・ミラー (キャラクター創造) |
| 製作 |
マイケル・ベイ アンドリュー・フォーム ブラッド・フラー ショーン・S・カニンガム |
| 製作総指揮 |
ブライアン・ウィッテン ウォルター・ハマダ ガイ・ストーデル |
| 出演者 |
ジャレッド・パダレッキ ダニエル・パナベイカー アマンダ・リゲッティ アーロン・ヨー トラヴィス・ヴァン・ウィンクル デレク・ミアーズ |
| 音楽 | スティーヴ・ジャブロンスキー |
| 撮影 | ダニエル・パール |
| 編集 | ケン・ブラックウェル |
| 製作会社 |
パラマウント・ピクチャーズ ニュー・ライン・シネマ プラチナム・デューンズ クリスタル・レイク・エンターテインメント |
| 配給 |
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| 公開 |
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| 上映時間 | 97分 |
| 製作国 |
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| 言語 | 英語 |
| 製作費 | $19,000,000[2] |
| 興行収入 |
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『13日の金曜日』(じゅうさんにちのきんようび、原題:Friday the 13th)は、2009年のアメリカのスラッシャー映画。1980年に公開された『13日の金曜日』のリブート作品でもある。
マーカス・ニスペルが監督し、ダミアン・シャノンとマーク・スウィフトが脚本を書いた。出演はジャレッド・パダレッキ、ダニエル・パナベイカー、アーロン・ヨー、アマンダ・リゲッティら。
概要
[編集]ニスペルは、トビー・フーパー監督の『悪魔のいけにえ』(1974年)のリメイク映画『テキサス・チェーンソー』(2003年)を監督しており、シャノンとスウィフトは2003年に公開されたクロスオーバー作品『フレディVSジェイソン』の脚本を務めている。
本作はプラチナム・デューンズとニュー・ライン・シネマ、パラマウント・ピクチャーズ、クリスタル・レイク・エンターテインメントの4社で共同製作され、ニュー・ライン・シネマとパラマウント・ピクチャーズが配給した。
『13日の金曜日』オリジナル版の複雑な権利関係の問題から、当初はジェイソンが出てこない独自のストーリーも考えられていたが、『13日の金曜日 PART8』まで歴代シリーズ8作品の権利を所有するパラマウントの協力が得られたことで、無事に新しいジェイソンの物語を作ることが出来た。
ストーリー
[編集]1980年6月13日の金曜日。クリスタル・レイクで発生した殺人事件の犯人パメラ・ボーヒーズが、生存者のキャンプ監視員に返り討ちにされる。水死したと思われていたパメラの息子ジェイソンは、母親の首が切断される光景を物陰で見ていた。それから約20年後、ウェイド、リッチー、アマンダ、マイク、ホイットニーの5人がクリスタル・レイクのキャンプ場付近を訪れ、成長したジェイソンによってホイットニーを除く4人が惨殺された。
6週間後、行方不明の妹ホイットニーを探すクレイと、大学生トレントをリーダーとしたジェンナ、チェルシー、ブリー、チューウィ、ノーラン、ロレンスたちのグループがクリスタル・レイク付近の雑貨店で出会う。民家を周って妹の手がかりを追っていたクレイは、偶然トレントの別荘を訪ねた。短気で横柄なトレントとは反対に、親切なジェンナは妹探しを手伝うと申し出る。湖で遊んでいたチェルシーとノーランはジェイソンに殺害され、閉鎖されていたクリスタル・レイクのキャンプ場跡地に来ていたクレイとジェンナは、ホッケーマスクを着けた大男が死体を運び込んでいる現場を目撃した。この危機を他の人々に報せようとクレイたちはトレントの別荘に向かうが、トレントとブリーがセックスをしている間に、物置小屋でチューウィが殺され、彼を探しに建物の外に出たロレンスもジェイソンの手にかかる。
クレイが警察に電話をかけていたことで地元の保安官が別荘に来るが、ドアの前でジェイソンに殺され、トレントもまた逃げ出した先で殺される。ジェイソンはキャンプ場跡地までクレイとジェンナを追い詰め、クレイはそこで地下道の片隅に囚われていた妹を発見する。ホイットニーはジェイソンの死んだ母親に似ていたため、殺されなかったのだ。3人はジェイソンの縄張りの地下道から脱出するが、その途中でジェンナは殺されてしまう。クレイ兄妹は近所の納屋まで逃げ延びた。ホイットニーがパメラのふりをしてジェイソンを油断させている隙に、クレイは鎖を使って彼を拘束し、ホイットニーがマチェットで突き刺す。クレイはジェイソンの遺体とホッケーマスクを湖に捨て、兄妹がその場を立ち去ろうとした時、桟橋を突き破って現われたジェイソンはホイットニーを捕まえる。
キャスト
[編集]| 役名 | 俳優 | 日本語吹替[4] |
|---|---|---|
| クレイ・ミラー | ジャレッド・パダレッキ[5] | 内田夕夜 |
| ホイットニー・ミラー | アマンダ・リゲッティ[5] | 樋口あかり |
| ジェンナ | ダニエル・パナベイカー[5] | 佐古真弓 |
| トレント | トラヴィス・ヴァン・ウィンクル[5] | 佐藤銀平 |
| チューウィ | アーロン・ヨー[5] | 宮下栄治 |
| ブリー | ジュリアナ・ギル[5] | 小林美佐 |
| ロレンス | アーレン・エスカーペタ[5] | 柳沢栄治 |
| ノーラン | ライアン・ハンセン[5] | 渡辺浩司 |
| チェルシー | ウィラ・フォード[5] | 浅野まゆみ |
| ブレイク保安官 | リチャード・バージ[6] | 立川三貴 |
| パメラ・ボーヒーズ | ナナ・ヴィジター[6] | 沢田敏子 |
| ジェイソン・ボーヒーズ | デレク・ミアーズ[5] | |
| 少年時代のジェイソン | ケイレブ・ガス[6] | |
| その他 | N/A | 村治学、赤池裕美子 鈴森勘司、北沢力 四宮豪、金野潤 |
| 日本語版制作スタッフ | ||
| 演出 | 簑浦良平 | |
| 翻訳 | 中村久世 | |
| 制作 | ACクリエイト | |
※日本語吹替はDVD、Blu-rayに収録
スタッフ
[編集]- 監督 - マーカス・ニスペル[7]
- 製作- マイケル・ベイ[7]、ブラッド・フラー[7]、アンドリュー・フォーム[7]、ショーン・S・カニンガム[6]
- 製作総指揮 - ブライアン・ウィッテン[7]、ウォルター・ハマダ[7]、ガイ・ストーデル[7]
- キャラクター創造 - ヴィクター・ミラー[5]
- 原案 - ダミアン・シャノン[7]、マーク・スウィフト[7]、マーク・ウィトン[7]
- 脚本 - ダミアン・シャノン[7]、マーク・スウィフト[7]
- 撮影 - ダニエル・パール[7]
- キャスティング・ディレクター - リサ・フィールズ[6]
- 美術デザイン - ジェレミー・コンウェイ[7]
- 衣装デザイン - マリ=アン・セオ[6]
- 編集 - ケン・ブラックウェル[7]
- 特殊メイク スーパーバイザー - スコット・スタッダード[6]
- 特殊メイク - クリス・ギャラハー[6]
- 特殊効果 - マイケル・アハセイ[6]
- 視覚効果 - キャシー・チェイセン=ヘイ[6]
- 音楽 - スティーブ・ジャブロンスキー[7]
企画
[編集]プラチナム・デューンズ製作の『テキサス・チェーンソー』(2003年)が大成功を収めた後に、引き続き同社が製作した『悪魔の棲む家』(2005年)と『テキサス・チェーンソー ビギニング』(2006年)がいずれも好調な成績だったことから、『テキサス・チェーンソー・ビギニング』でエグゼクティブ・プロデューサーを務めていたニュー・ライン・シネマの製作部門社長トビー・エメリッヒは、『13日の金曜日』シリーズに自分たちの足跡を刻み込もうと考えた[8]。
エメリッヒはプラチナム・デューンズの設立メンバーであるブラッド・フラー、 アンドリュー・フォーム、そしてマイケル・ベイに話を持ちかけ、3人は『13日の金曜日』リブート企画に賛同したものの、すぐに複雑な権利問題に直面した。ニュー・ライン・シネマは続編の権利しか持っておらず、『13日の金曜日』というタイトルそのものは、パラマウント・ピクチャーズが権利を握っていた。過去のシリーズの権利を有していたパラマウントと、ショーン・S・カニンガムの会社クリスタル・レイク・エンターテインメントの権利関係をクリアするために1年半近くかかってしまった。当初はジェイソンもボーヒーズ夫人も登場せず、タイトルに『13日の金曜日』を使わないオリジナル作品も検討されていたが、最終的にパラマウントが参入を申し出てくれることになり、同社が製作した歴代シリーズの、どの要素を使っても構わないことに状況が好転した。タイトルも『13日の金曜日』のまま使えることになったのだ[8]。初期の頃は『テキサス・チェーンソー・ビギニング』から引き続き監督にジョナサン・リーベスマン、脚本にはマーク・ウィトンが参加していたが、制作スケジュールの大幅な遅延と法的な争いによって降板することになった[9]。プラチナム・デューンズは『フレディVSジェイソン』の脚本家コンビ、ダミアン・シャノンとマーク・スウィフトを新たに起用して、フラーとフォームはこの映画をスラッシャー映画本来の面白さに戻すという方向性を固めた[10]。
パラマウントから権利を獲得できたことで、フラーはオリジナルシリーズの『13日の金曜日』から『13日の金曜日 完結編』まで初期4作品の、優れたストーリー展開と殺害場面をミキシングしようと考えた。オリジナルシリーズの特定の作品のリメイクではなく、複数の要素を組み合わせたものをベースにしたかったからだ。その上で舞台は原作通りクリスタル・レイクにすることにこだわった。「重要なのは、ジェイソンは何者でどこから来たのか? そして舞台はクリスタル・レイクであること。過去のシリーズは、ここから逸脱してしまったものが多いように思います」とフラーは語っている[9]。フォームもまた、この企画を『テキサス・チェーンソー』や『悪魔の棲む家』のようなストレートなリメイクではなく、『13日の金曜日』シリーズ初期4作からヒントを得た新しい映画にしたかった[9]。企画段階初期の2003年には、『完結編』から『PART6』までシリーズ3作品に続けて出ていたトミー・ジャービスを登場させるアイデアもあったが、後にこの案はなくなった[10]。「トミー・ジャービスについては、本当に激しい議論を交わしました。我々はすでに作られた神話に基づいて新しい神話を作ろうとしているのです。つまり私たちは『13日の金曜日』のPART11やPART12を作ろうとしているわけじゃない。過去のキャラクターに負担をかけたくなかったのです。ですからこの映画の中で、コリー・フェルドマンが歩き回る姿は見られないでしょう」と、フラーはトミーを出さない理由を述べた[9]。
キャスティング
[編集]2008年3月30日、ホラー映画情報サイト『ブラッディ・ディスガスティング』が独占情報として、『ヒルズ・ハブ・アイズ』(2006年)、『ヒルズ・ハブ・アイズ2』(2007年)に出演していたデレク・ミアーズが、『13日の金曜日』リメイク版のジェイソン役に決定したと報じた[11]。歴代シリーズ『13日の金曜日 PART7』から『ジェイソンの命日』まで同キャラクターを演じたケイン・ホッダーは、最初から検討されていなかった[12]。
『13日の金曜日』の完全新作が作られると聞き、このシリーズの大ファンを自認しているミアーズはジェイソン役が欲しいと思い、オーディションを受ける前から自主的にトレーニングを始めていた。プロデューサーたちの間で、新しいジェイソン俳優を誰にするかが検討され、ミアーズは候補者の中に自分の名前が挙がっていることを知って驚いたという。オーディションに呼ばれて担当者と面接をしたミアーズは、シリーズ全作のDVDを持っているほどのファンで、本作に自分が関われるのなら最高だが、もしそうでなくとも良い出来の映画が観たいと述べた。その翌日、「ジェイソンには君が適任だ」と電話がかかってきて役が決まった時は、夢のようだと思った[13]。
行方不明になった妹を探す主人公クレイ役には『蝋人形の館』(2005年)のジャレッド・パダレッキがキャスティングされた。『ハロウィン』(2007年)のヒロインを演じたスカウト・テイラー=コンプトンも、ジェンナ・モンゴメリーのオーディションを受けたが、この役は『Mr.ブルックス 完璧なる殺人鬼』(2007年)のダニエル・パナベイカーに決まった。他にも『TATARI タタリ/呪いの館』(2007年)のアマンダ・リゲッティなど、ホラー映画とスリラー映画に出演歴のある若手俳優たちが集められた[12]。トラヴィス・ヴァン・ウィンクルは、マイケル・ベイが監督した『トランスフォーマー』(2007年)の時と同じく、トレントという役名で出演している。ベイによると同じ世界観を共有した同一人物の設定だという[14]。
『サスペリア・テルザ 最後の魔女』(2007年)に出演していたモラン・アティアスも当初はキャスティングされていたが、撮影開始後まもなく、脚本にないヌードと性的なシーンを求められたことを理由に降板した。ブリー役に決まっていたジリアン・マレーも土壇場になって降板を申し出たため、当時22歳だったジュリアナ・ギルが代役で出演することになった。本作の出演者のうち、ジュリアナ・ギルとアマンダ役のアメリカ・オリーヴォにとっては、初めてのヌード撮影になった[14]。
リッチー役のベン・フェルドマンとウェイド役のジョナサン・サドウスキーは、この映画の撮影前から親友同士で、彼らの間にある自然な相性の良さからキャスティングされた。2人の友人アーロン・ヨーは当初、あまり出演に乗り気ではなかったものの、フェルドマンたちからこの仕事を請けるよう説得されてチューウィ役で出ることになった[14]。13人もの若手俳優を集めるために、キャスティング期間は6カ月間に及んだ。出演者は5人組と7人組の2つのグループに大きく分かれ、そのグループをひとつにまとめて、撮影現場に集合させるのは大変な苦労が伴った[9]。
映画冒頭でパメラ・ボーヒーズの首をマチェットで切断する金髪女性は、エンドクレジットで「Camp Counselor(キャンプ指導員)」としか表記されていないが、シリーズ第1作のヒロイン アリス・ハーディーをモデルにしている。そのため、第1作と『PART2』でアリスを演じたエイドリアン・キングと同じく、ブロンドヘアの女優ステファニー・ローズに演じてもらっている[14][15]。当初はエイドリアン・キングもカメオ出演として、どこかのシーンに出てもらう構想があったが、オリジナル版の要素を引っ張るのは良くないという考えから計画は白紙になった。スタッフは事前にキングにコンタクトは取っていたとのこと[14]。
通常の映画では撮影前に全ての出演者がキャスティングされ、出演者たちは1週間から2週間は共に過ごすことになるが、この映画は撮影開始直前まで再キャスティングが行なわれた。ブレイク保安官役のリチャード・バージは、撮影開始の12時間前にキャスティングされた[9]。
製作
[編集]フラーが若いホラー映画ファンと話した時、『13日の金曜日』第1作から、ホッケーマスクを被った殺人鬼ジェイソンが出ると思っている人が多いことに驚いた。ホラー映画マニアからすれば、ジェイソンがお馴染みのマスクを被るのはシリーズ第3作というのは周知のことだが、現代の若い観客には意外と知られていないのだと感じた。そこでフラーは、ジェイソンがホッケーマスクを初めて被る様子と、その方法や理由を映画で描こうと思った[12]。
1980年代のオリジナル版『13日の金曜日』、『エルム街の悪夢』シリーズを観て育ったダミアン・シャノンとマーク・スウィフトが書いた『フレディVSジェイソン』の脚本は、ノンクレジットの脚本家デヴィッド・S・ゴイヤーによって大幅に書き直され、最終的に出来上がった映画はシャノンたちの好みの作品ではなかった。スタジオ側はシャノンとスウィフトに『フレディVSジェイソン』続編の脚本をオファーしたが、2人は「自分たちのアイデアは1作目で全部使い果たしてしまった。続編を作るなら、他の誰かが挑戦すべきだと思う」と言って断っていた[14]。シャノンは、『フレディVSジェイソン』のホラーとコメディの融合というコンセプトが上手く行ったとは思わないと話し、共同脚本家のスウィフトも「あの映画には完全に満足していない。漫画的になりすぎた」と認めている。ジェイソンのキャラクターに再び挑むチャンスを得た2人の脚本家は『フレディVSジェイソン』での失敗を踏まえ、降板した脚本家マーク・ウィトンがホラー映画への愛情たっぷりに書き上げた原案をベースに、2007年からシナリオ作りに取りかかっていた[16]。シャノンとスウィフトは、フランケンシュタインの怪物のように緩慢な動きでゆっくり歩くジェイソンを、もっと速く動く、狂暴でリアルなキャラクターにしようと提案した。スウィフトはまず、森の中で1人で生き延びてきた男なら、罠を仕掛けて人間や動物を捕えるような、知恵のまわる奴になるだろうと思い、ジェイソンが地下のトンネルを移動する設定を考えた[16]。
過去のシリーズでジェイソンを演じたケイン・ホッダーは、『フレディVSジェイソン』で自分に声がかからなかったことに公の場で不満を表明していたが、今回の作品で最初からホッダーにオファーを出さなかった理由を「我々はこのフランチャイズで新しいことに取り組みたかった。以前と同じことをしたくなかっただけです」と、監督のマーカス・ニスペルは語っている。ハリー・マンフレディーニの不在も同様の理由だという。ニスペルは、プラチナム・デューンズ製作の『テキサス・チェーンソー』と『悪魔の棲む家』に参加していたスティーヴ・ジャブロンスキーに音楽制作の依頼をした[17]。プロデューサーのフラーは、ハリー・マンフレディーニの印象的な音楽なくして『13日の金曜日』は作れないだろうと考え、使用権のライセンスを取得した。ただしマンフレディーニのスコアをそのまま流用するのではなく、ジャブロンスキーがオリジナルの音楽からインスピレーションを得た、新しい楽曲を用意している[9]。本作でジェイソン登場時に流れる“Kill、Kill、Kill…mon、mom、mom…”という有名な効果音は、過去のオリジナルシリーズから使いまわしたものではなく、ジェイソンの大ファンだったジャブロンスキーが自分の声をサンプリングして新たに制作した[14]。
製作にあたり、オリジナル版の生みの親であるショーン・S・カニンガムと本作のメインスタッフは友好的な関係を築いた。フラーはカニンガムの印象を以下のように話している。「ショーン(カニンガム)とは沢山話しました。彼は“必要なことがあったら、なんでも言ってくれ”と、この映画の支援者として本当に親切にしてくれました。私たちはこの映画を作るために、多くの権利所有者たちと話をしましたが、その中でもショーンはもっとも協力的で完璧なパートナーだったんです。これはリップサービスや社交辞令じゃありませんよ。他の映画について同じ質問をされたら、そうは言わなかったでしょう」[9]。
撮影
[編集]主要撮影は2008年4月21日より、テキサス州オースティンで始まった[18]。これまでブラッド・フラーとアンドリュー・フォームが製作したホラー映画にヌードシーンとセックスシーンは無かったが、セクシーな女性とヌードなしでは『13日の金曜日』は作れないと思った。これは『13日の金曜日』の最新作なのだから、変に手加減するのは止めようと考えた2人は、性描写にも全力で取り組むことにした[9]。幸いなことにパラマウントとニュー・ラインの2社も、この点に関して非常に協力的だったため、テント越しのシルエットでリッチーとアマンダが後背位で行なうアナルセックスを描くことにした[9][19]。撮影現場にはスタジオの重役が来ていて、「腰を前後に動かすピストン運動を3回以上続けるな。全米配給協会のMPAAが許さないだろう」と言ってきた。フラーはセックス場面で腰を振る回数に制限があるなんて知らなかったと返事をし、実際の撮影現場ではリッチー役のフェルドマンと、アマンダ役のオリーヴォは3回以上の激しいピストン運動を続けていた[9]。しかし本作のプレミア上映会で途中退席したマイケル・ベイは「セックスが多すぎる」と述べ、試写会で観た人々からも「性描写とヌードが多すぎる」との声があったため、制作陣は完成作から性描写に関するシーンを減らす結果となった[14]。
チェルシー役のウィラ・フォードは役作りのために、10日間をかけてウェイクボード[注 1]の練習をしていた。フォードはウェイクボードそのものより、トップレスで演じることの方が気がかりだったが、実際の撮影に臨んだ時は開放的で素晴らしい気分だったと話している[14]。
独自の解釈でジェイソンを演じていたデレク・ミアーズは、歴代のジェイソン俳優も大好きだったので、『13日の金曜日 PART2』 のスティーヴ・ダッシュや、『PART3』のリチャード・ブルッカー、『完結編』のテッド・ホワイトへのオマージュも部分的に忍ばせている。「どれぐらい気付いてもらえるか分かりませんが……例えば窓から飛び出して、あるキャラクターに掴みかかるシーンは『PART2』と似せて演じていますし、階段を降りてきたトミーを見たジェイソンがゆっくり首を動かす『完結編』の1シーンも、今回の映画の中でやっています」とミアーズは語る[20]。
歴代シリーズでは『PART3』と『完結編』のジェイソンのマスクが好きだという特殊メイク担当のスコット・スタッダードは、『PART3』のマスクのコピーを入手し、研究を重ねて新たに彫刻を起こした。既存の物をそのまま使うのは嫌だったが、素晴らしいと思うオリジナルの部分は残しつつ、少し変更も加えた。あくまで全体はカスタムメイドだが、基本的なデザインは全て残した。特にマスクの額部分と頬の模様にはこだわった。撮影のために6つのマスクが制作され、それぞれ摩耗具合が少しずつ異なっている[8]。脱毛、皮膚の発疹、頭部の先天的な奇形を持つジェイソンのルックスを作り上げたスタッダートは、『PART2』のカール・フラートンと、『完結編』のトム・サヴィーニが造型したジェイソンの顔を組み合わせたと話している[14]。
本作では、狙われている女性が全力で逃げているのに、歩いているジェイソンがターゲットに追いつく過去作のような不自然さを排しているが、ジェイソンが走ることを好まないファン層のために「全体を通して彼が走り回っているわけではない」とフォームは話す。ジェイソンは、クリスタル・レイク全体の地下に張り巡らされているらしきトンネルを移動し、色々な場所へ現れる頭の回るキャラクターになっているのだ[8]。ミアーズは撮影現場で「ジェイソンなら、こういうことはしないと思う」など積極的に意見を出し、インタビューでも「大きな責任を感じていますし、本当に良い作品にしたいと思っています。様々な部署の多くのスタッフがこのシリーズのファンで、みんな最高の作品にしたいと思いながら撮影に取り組んでいます」と話している[20]。
撮影は2008年6月13日に終了したが、テキサス州マーシャル郊外のキャンプ・ファーンで2日間をかけて追加撮影が行なわれた[18][21]。
興行
[編集]『13日の金曜日』は2008年4月12日に劇場用予告編とポスターが公開され[22]、2009年2月13日の金曜日に3,105の劇場で公開された。公開初週に19,293,446ドル[2]、公開から3日間の週末が終わるまでに40,570,365ドルを稼ぎ出し、フランチャイズ作品としては『フレディVSジェイソン』に次ぐ歴代2番目に高い興行収入を記録した[23]。
アメリカ国内公開時の勢いには及ばなかったものの、海外30の市場では9,500,000ドルの興行収入を記録し、トップ5入りを果たした。『13日の金曜日』は『テキサス・チェーンソー』と比較しても、どの市場でも好成績を収めており、19,000,000ドルの製作費を考慮すれば健闘したと言える。最も好調だったのはロシアで、1,700,000ドルの興行収入を記録した。その他の主要市場ではイギリスの1,700,000ドルが、まずまずの成績だったが、スペインでは949,732ドルと期待外れの結果に終わった[24]。
この映画は北米での最終的な興行収入が65,002,019ドルとなり、北米以外の27,668,218ドルを加算して全世界の興行収入は92,670,237ドルになった。アメリカ国内でのDVD販売の売り上げは10,344,904ドルと好調だった[3]。
評価
[編集]レビューアグリゲーターのRotten Tomatoesでは179人の批評家のうち26%が肯定的で、平均評価は4.3/10となっている。同サイトの総評は「『13日の金曜日』は、技術的にはよく作り込まれているものの、前作とほとんど区別がつかない、単なるシリーズの焼き直しに過ぎない」というものだった[25]。 加重平均を用いるMetacriticでは、29件の批評家レビューに基づき34/100点のスコアとなり、「好ましくない」という評価が与えられている[26]。IMDbでは10点満点中5.5点と、平均的なスコアを示した[27]。
日刊紙『ワシントン・ポスト』は、掘り起こした名作ホラー映画の数々を、忠実に再現することも大胆に再解釈することも拒否し、結果的にホラー映画界を破壊していると痛烈に批判した。「この映画は、商業目的のためだけに作られたスラッシャー映画だと自覚しており、アメリカを愛する人ならお金を払ってまで観に行く必要はない」と評している[28]。
『ロサンゼルス・タイムズ』のマーク・オルセンは「オリジナルの『13日の金曜日』シリーズには、どこか安っぽいながらも洗練された魅力があったが、このリメイク版は薄暗い照明と目まぐるしい編集のリズムによって、それらの味が失われている。確かにジェイソンは登場するものの、それ以外はオリジナル作品の魅力のほとんどすべてが欠けている」と酷評した[29]。
『エンターテインメント・ウィークリー』のクラーク・コリスは「マイケル・ベイ製作の『テキサス・チェーンソー』同様、『13日の金曜日』は荒々しくも手堅い雰囲気を漂わせる。確かに登場人物たちは、しばしば信じがたい、あるいは自殺行為とも言える行動をとるが、近年リメイクされた『プロムナイト』や『ブラッディ・バレンタイン3D』などに比べれば、遥かに優れている」と好意的な批評を書いている[30]。
『IGN』のクリストファー・カールは、ジェイソン役のデレク・ミアーズが単なるスタントマンの枠を超えた名演技だと批評した。「デレクは全身を使って殺人鬼に力強さを与えていますが、彼の小さな動きには繊細さも宿っています。これまで観てきたシリーズの中で、最も運動能力が高いキャラクターに見えますね」と、カールは絶賛した[31]。
続編の製作中止
[編集]映画の撮影中に本作の監督ニスペルは続編の可能性をインタビューで聞かれ、「彼ら(スタジオ)は、今後も『13日の金曜日』シリーズを作るかも知れないが、新しい監督を探す必要があるだろう」と答えた。ニスペルは『テキサス・チェーンソー・ビギニング』の監督をオファーされた時に「もう第1作で総てやり尽くしているだろう」という考えから辞退していた。『13日の金曜日』も同様で「彼らはジェイソンの次の物語を作るために何かの方法を考えるだろうが、続編を私が作ることはないと思う。これを超える映画を作る方法が分からないからね」と述べている[17]。
映画公開から半年以上が過ぎた2009年10月、ワーナー・ブラザースはリブート版『13日の金曜日』の続編を2010年8月13日に公開すると発表した。ブラチナム・デューンズ製作&ワーナー配給の『エルム街の悪夢』(2010年)の予告編が好評であることから、ワーナーはジェイソンもターゲットに入れたようだと報道された[32]。しかし2009年12月のニュースでワーナーは続編の公開スケジュールを白紙に戻し、公開日は未定と報じた。この時の報道で続編のタイトルは『Friday the 13th Part 2 in 3D』だと明かされ、当時『アバター』(2009年)で注目を集めた立体映画で製作する計画だったことが察せられた[33]。
『Friday the 13th Part 2 in 3D』のタイトルは、その後もIMDbを始めとした複数のウェブサイトに掲載されていたが、やがて各サイトから削除された。興味深いことに2009年11月時点では、アメリカの大手映画チェーンのリーガル・エンターテインメントの公開予定リストに“2010年8月13日公開作品”として掲載されていたが、その1カ月後にはWeb上から削除された[34]。
続編の製作発表から約1年間、進捗状況に関する情報が途絶えていたため、ブラッド・フラーは自身のTwitterアカウントで、続編の製作が中止されたことを認めた。フラーの談話によると第2作目はその後、パラマウント映画が2017年10月13日の公開を目指していたが、パラマウントはダーレン・アロノフスキー監督のスリラー映画『マザー!』(2017年)を製作するために企画を断念したとのこと[14]。この談話を裏付けるように、2013年6月にデレク・ミアーズが独占インタビューの中で、現在も『13日の金曜日』の権利はパラマウントが持っており、プラチナム・デューンズと協力してリブート版の第2作目を進めている、と話していた。ミアーズはジェイソン役で復帰を希望し、「もし続編に出演できなかったとしても、このシリーズをもっと観ていたんだ」と語っていたが、実現することはなかった[35]。
第1作の脚本家ダミアン・シャノンとマーク・スウィフトは、2017年10月10日に2人の共同Twitterアカウントに続編の脚本の表紙をUPし、タイトルは『Friday the 13th Camp Blood: The Death of Jason Voorhees(13日の金曜日 キャンプ・ブラッド: ジェイソン・ボーヒーズの死)』と書かれていた[36]。シャノンとスウィフトは、2009年版の直接の続編ではあるが、クレイ・ミラーとホイットニー兄妹の話を続けるのではなく、新しいキャラクターを中心に描く予定だったことを明かした。シャノンたちは10月13日にTwitterに脚本の冒頭4ページをUPした[37]。
スウィフトによると冬の凍ったクリスタル・レイクが舞台になっており、冬が舞台の『13日の金曜日』が今まで作られなかったことと、ホッケーマスクの中から白い息が漏れるところや、鋭い氷柱で相手の目を突き刺すジェイソンが見てみたいのが動機だった。スウィフトは陽の目を見ることがなかった続編の冒頭を以下のように明かした。「オープニング・シーンは完全に凍結したクリスタル・レイクの氷の上で2人のティーンエイジャーがアイスホッケーに興じている。滑って行ったパックの下には、前作を生き延びたホイットニー・ミラーの凍った死体があるんだ。2人組が岸辺の方を見ると、マチェットを片手に持った威圧的な大男が立っているというものだ。前作の懐かしいキャラクターも出る予定でした」[38]。
脚注
[編集]注釈
[編集]出典
[編集]- ↑ “13日の金曜日:作品情報・キャスト・あらすじ・動画”. 映画.com. 2025年9月16日閲覧。
- 1 2 “Friday the 13th (2009)”. Box Office Mojo. 2009年12月8日閲覧。
- 1 2 “Friday the 13th (2009)”. ザ・ナンバーズ. 2026年7月15日閲覧。
- ↑ “13日の金曜日 (2009)”. アトリエうたまる ビデオ・DVD版. 2026年7月15日閲覧。
- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 “13日の金曜日(2009)”. allcinema. 2026年7月15日閲覧。
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関連項目
[編集]- エルム街の悪夢シリーズ
- 山中湖 - 本作のタイアップ企画により、2009年2月1日から13日までの13日間限定で、舞台である「クリスタル・レイク」に改名された。