頭髪検査

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頭髪検査(とうはつけんさ)とは、高等学校等で生徒指導の一貫として、学期に数回程度、行われる生徒の頭髪及び服装化粧の有無などを調べる検査である。これらは主に校内秩序維持する目的で行われる。検査担当教員は体育科教員が多い。

検査項目例[編集]

長髪[編集]

髪の長さが校則に示される規定より長くなっていないかどうかを調べる検査

変形[編集]

パーマカールは勿論のこと、ツーブロックなどの髪型になっていないかどうかを調べる検査

染色・脱色[編集]

髪を染色したり、脱色したりしていないかどうかを調べる検査

シラミ[編集]

ここまでに挙げた検査とは趣旨が異なるが、頭髪にシラミがいないかを確認する検査が行われることがある。

検査方法[編集]

あらかじめ、検査の予定日を事前に担任を通じて、生徒に告知するパターンが多く、抜き打ちで検査をすることは少ない。生徒の頭髪及び身体に触れる可能性があるということから基本的に男子の検査は男性の教員によって行われ、女子の検査は女性の教員によって行われる。また、予定日の通告を受けた担任は自分自身が受け持つクラスの生徒で過去に検査に引っ掛かったことのある生徒や検査に引っ掛かってもおかしくない頭髪にしている生徒には検査前に散髪に行くことを勧告する担任もいる。このような日時を決めた検査を行うのではなく、登校時に教諭が立ち番を行い、頭髪に問題のある生徒をいったん帰宅させ、直させる、という指導を行う学校もある[1]

前述のシラミ検出を目的とした検査は、実施時期も他の検査とは異なる。プール授業の始まる直前の時期にあたる6月に実施されることが多く、感染報告のピークも6月となっている[2]。このほか、地域でシラミ流行が確認された際に臨時に実施されたり、健康診断と同時に行われたりする場合もある。

髪色の検査においては、比較して色合いを確認できる色見本が検査用に市販されており[3]、特定の色見本より髪が黒いことを検査時の基準として示す学校もある[4]

引っ掛かった場合における処分[編集]

基本的に検査に引っ掛かれば、体育科教員から再検査の日時が伝達され、この日時までに規定の頭髪にする必要がある。守らなければ、最悪の場合停学等の懲戒処分を受ける可能性がある。

校則に適合する状態になるよう、校内で強制措置が行われる場合もある。1989年には愛知県の高校で、頭髪検査後、猶予期間を設けずにその場で教諭が生徒の髪を切った事例が問題となり[5]、法務局が介入し同校での頭髪検査はしばらく見合わせられた[6]。2005年には長崎県で、生徒の髪を切った教諭を親が呼び出し、暴行を加えた例がある[7]

2008年には、奈良県の中学校で生徒が脱色した頭髪を生徒自身の同意のもとに教諭が校内で黒に染め直した措置が体罰にあたるとして、損害賠償を求める訴訟が大阪地裁で起こされたが、地裁・高裁とも学校の措置を妥当とし、最高裁は上告を棄却した[8][9]。2012年には髪の長さが長すぎるとして、校内で生徒自らにはさみで髪を切らせた例が報じられた[10]

日本以外の頭髪検査[編集]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 3ゼロ運動の生徒指導
  2. ^ 『朝日新聞』2001年(平成13年)6月27日付東京本社朝刊25面。
  3. ^ 社会人の頭髪検査!? 茶髪「色見本」導入続々 就職活動・明るすぎは「アウト」 企業や役所・「ふさわしさ」数値化
  4. ^ 追高通信』12月号、北海道追分高等学校教務部、2016年11月28日。
  5. ^ 『朝日新聞』1989年11月18日付夕刊13面。
  6. ^ 『朝日新聞』1989年12月1日付朝刊23面。
  7. ^ 『朝日新聞』2005年4月21日付朝刊27面(長崎)。
  8. ^ 「公立中学校の教員らが女子生徒の頭髪を黒色に染色した行為が体罰にあたるとして訴えられたケース」『季刊教育法』第177号、エイデル研究所、2013年、6-7ページ。
  9. ^ 瀬戸則夫「市立中染髪指導国賠訴訟事件判例解説」『季刊教育法』第177号、エイデル研究所、2013年、44-48ページ。
  10. ^ 『長崎新聞』2012年8月8日付27面。