電荷密度

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電荷密度
charge density
量記号 ρ
次元 T I L−3
種類 スカラー
SI単位 クーロン毎立方メートル
CGS単位 クーロン毎立方センチメートル
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電荷密度(でんかみつど、: charge density)は、単位体積当たりの電荷の量(体積密度)。電荷を担うものとしては負電荷をもつ電子、正電荷を持つ原子核がある。(注:原子核の正電荷は陽子のものだが、陽子は複数の素粒子で構成されており、それらの中に正電荷を持つものがある。電荷の起因を議論するときは考えるスケールによることに注意。)電荷密度というときには、どの体積スケールで定義するかが大事である。物質は原子(や分子)で構成されているから、原子の中を細かく区分けした体積スケールでいうなら、原子核の位置付近では電荷密度は正であり、その外側では電荷密度が負である。原子の大きさのスケールでいうなら、その体積中の正電荷と負電荷が打ち消しあうから電荷密度はゼロということになる。

また、物性物理では、電流を担う電子に注目することも多いので、そのような伝導電子の密度を取り出し、一つの実体として議論をすることがある。例えば金属の銅は、正の1価の銅イオンと、そこから出てきた伝導電子との集合体としてとらえることが多い。そのような場合は、電荷密度として「伝導電子の電荷密度」を意味することもある。

実験的にはX線は電子と、中性子線は原子核と強く相互作用をすることを利用して、X線回折による構造解析から得られた結果から電子による負電荷密度の分布が求まる。中性子回折実験では、同様な手法により原子核による正電荷密度が求まる。

バンド計算での電荷密度[編集]

バンド計算では通常、電荷密度とは電子の密度のことを示す。従って、この場合は電子密度(electron density)とも言う。電子以外の電荷(例えばイオンなど)に対しても "電荷密度" の表記を用いることがあるので注意が必要。

バンド計算では、実空間での電荷密度 ρ(r) は波動関数 ψi,k(r) のノルムを取ることにより求められる:

i, k はそれぞれバンドk点の指標。fi,k は、各 k 点上の各バンドでの電子の占有数。なお、バンド計算では普通原子単位を用いるので素電荷は、e = 1(ハートリー原子単位系の場合)としている。ここで占有数は、N を系の全電子数とすると

となる。バンド計算において波動関数は規格化されており、占有数 fi,k は非整数となる場合がある。

実空間の電荷密度をフーリエ変換したものは、

構文解析に失敗 (SVG(ブラウザのプラグインで MathML を有効にすることができます): サーバー「http://localhost:6011/ja.wikipedia.org/v1/」から無効な応答 ("Math extension cannot connect to Restbase."):): {\displaystyle \rho (\boldsymbol{G}) = \frac{1}{V} \int \rho (\boldsymbol{r}) e^{-i\boldsymbol{G}\cdot\boldsymbol{r}} d\boldsymbol{r} }

i虚数単位)であり、上式左辺の ρ(G) は構造因子と言われるが、このことを逆空間表示での電荷密度と言う場合もある。

運動量密度[編集]

実空間の波動関数をフーリエ変換して(指標 i, k は省略、V:系の体積)、

を得る。ψ(G) は逆格子空間運動量空間)での波動関数であり、これのノルムをとると、

となり、上式左辺の P(G) は逆格子空間での電荷密度と言えるが、通常は運動量密度(momentum density)と呼ばれる。

運動量密度は、コンプトン散乱や電子‐陽電子消滅実験などの実験によって観測される量で、対象が金属(含む半金属)の場合、フェルミ面の情報を含んでいる。

自由電子の場合の運動量密度 ρ(P) は、自由電子の実空間3次元)での波動関数 ψ平面波 であるから、

となり(体積は省略)、

を得る(fkフェルミ分布関数←電荷密度での占有数と表記が類似するが異なるものである)。実際は、2次元ないし 1次元表示したものが実験による観測結果と比較される。

2次元表示
1次元表示

以上から、3次元での自由電子の運動量密度の2次元表示は半球状、1次元表示は放物線となる。実際に観測されるものは、アルカリ金属のような価電子が自由電子的であるような場合を除いて自由電子のものとは大分異なった形状になることが多い。

関連項目[編集]