長人

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『訓蒙図彙』(1666年日本)より「長人」

長人(ちょうじん)は中国に伝わる伝説上の人種である。大人(たいじん)とも称され、東方あるいは海にある島に住んでいるとされる。

概説[編集]

類書である王圻『三才図会』では、長人国は海にある島に住んでおり、長人は人間の姿をしているが、非常に大きな体格をしており、身長は3、4(約9 - 12メートル)もあるという巨人である。移動はとても素早く、嵐に遭遇して長人国に漂着した人物の目撃したところによると、飛ぶかのように移動していたという[1]。日本の『和漢三才図会』や奈良絵本『異国物語』などでも、その呼称と解説とが使われている。

日本では、「せいたか」あるいは「せたか」という呼称がつけられている場合がある。『頭書増補訓蒙図彙大成』(1789年)では、長人国(ちょうじんごく)という表示に対して「せたかじま」という日本語を併記している[2]

古代中国の地理書『山海経』の海外東経によると、大人国は君子国の南にあるという。

長人の登場する作品[編集]

鏡花縁
大人国が旅の途中に舞台として登場する。身長は普通の人間より高いが「大人」というのは実際は身長が大きいことではなく、徳が高いことを示す「大人」の意味があるとして設定されている。に乗って歩くこともできる。雲はそれぞれ個人の「徳」によって色が分かれており、五色のものが最も尊く黒色のものが最も下等だとされるが、僧侶や金持ちに黒色の雲に乗っている者もあれば見事な五色の雲に乗っている乞食もいる。そのため、高官などは色の悪いことを恥ずかしがって移動の時に足もとに布をかぶせたりしているという[3]
また、長人国も旅の途中に舞台として登場する。長人たちは身長が非常に高いひとびととして登場しており、足の甲の高さだけで主人公たちの背よりも高い[4]
奈蒔野馬乎人『啌多雁取帳』(1783年
喜多川歌麿の挿絵による黄表紙。主人公の金十郎がによってたどり着いた異国のひとつに大人国として巨大な人間たちの住む国が描かれる[5]
歌川国芳 朝比奈諸国廻り図(1829年
朝比奈三郎が出会ったとされるさまざまな異国人物が描かれている錦絵。大人国という表示の下に描かれている[6]

脚注[編集]

  1. ^ 王圻『三才図会』 「昔明州人泛海値風大不知舟所稍息乃在島下登岸伐薪忽一長人其行如飛」
  2. ^ 『頭書増補訓蒙図彙大成』巻4 1789年 28丁ウラ
  3. ^ 藤林広超訳 『鏡花縁』 講談社 1980年 110頁
  4. ^ 藤林広超訳 『鏡花縁』 講談社 1980年 157頁
  5. ^ 小池正胤等 編『江戸の戯作絵本』1 初期黄表紙集 社会思想社〈教養文庫〉 ISBN 9784390110372、271頁
  6. ^ 稲垣進一,悳俊彦 編著『国芳の狂画』東京書籍 ISBN 4-487-75272-8、68-69頁

参考文献[編集]

関連記事[編集]