誘導灯

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避難口誘導灯に
書かれているピクトグラム
避難口誘導灯、避難階(通常1階)まで直通で通じている避難階段の入口に設置されている、誘導灯の下に付いている紐は内蔵バッテリーの点検用
通路誘導灯

誘導灯(ゆうどうとう)は室内において非常口避難通路を示す為の、発光する標識のことである。

概要[編集]

誘導灯は消防法に定められた避難誘導用の標識で、形状は四角や長方形の箱に、白地に緑色、または緑地に白のシンボルマーク(ピクトグラム)が描かれており、多くは天井や床に配置してある。このピクトグラムは1982年4月1日以降に新築された建築物に義務づけられているが、1982年3月31日以前に竣工した建築物でも旧規格(大きな表示板に「非常口」などとゴシック体または明朝体の文字のみで大書きされている)のまま残っているものは急速に姿を消した。詳しくは非常口#誘導灯のデザインを参照。

なお、避難口誘導灯通路誘導灯を総合して誘導灯と呼ばれている。誘導灯の設置基準は、消防法施行令第26条、消防法施行規則第28条の3、消防予第245号により定められており、この2つの標識は、商用施設工業施設宿泊施設などに対して設置が義務付けられている。通路の一定の間隔に通路誘導灯が、脱出可能な出口に避難口誘導灯が設置されている。これらは、蓄電池により数十分から数時間程度点灯し続ける能力を有しているため、避難の際にもし停電したとしても、脱出の目標として使用できるようになっている。通常の誘導灯では約20分以上・長時間点灯型では1時間以上となっている。また最近ではキセノンランプ点滅装置(ストロボ)・音声案内装置がついている機種もある。

誘導灯の明るさが支障を来す劇場映画館等では、上演中や上映中に消灯する場合も多いが、非常時には自動火災報知設備と誘導灯用信号装置により点灯するようになっており、その旨の告知放送が館内放送によって行われる場合がある。またこれらの場所では公演や上映に支障がない程度の明るさで足下を照らす客席誘導灯が設けられていることが多い。但し、誘導灯を消灯する場合、消防法施行規則第28条の3、消防予第245号により消灯の条件が定められている。

構造[編集]

誘導灯は内部に充電式電池と電池で蛍光灯(または冷陰極蛍光灯LED)を点灯させるインバータ、充電回路、通常点灯用の安定器が内蔵されている電池内蔵型と、充電回路と充電式電池を持たない電源別置形がある。両者の見分け方は簡単で、機能チェックをするための点検スイッチと正常に充電されている事を示すモニターランプ(1985年以前の古い器具では赤色。それ以降は緑色で、現在は緑色の充電モニターと赤色のランプモニターが装備されている)が無いのが電源別置型である。電源別置型は器具自体は多少安価だが非常用電源装置(誘導灯は蓄電池限定)が必要で、器具と非常用電源装置の間は耐火配線(860℃-30分に耐える必要がある)での工事となり小規模な場合割高となるので大規模な施設で使われる。

種別[編集]

大きさ(区分)[編集]

平成11年(1999年)9月21日の消防法改正でA級(表示面の縦寸法が0.4m以上)、B級(表示面の縦寸法が0.2m以上0.4m未満)、C級(表示面の縦寸法が0.1m以上0.2m未満)になった。現在は冷陰極蛍光灯LED光源のものが主流であるが、蛍光灯のものが主流であった消防法改正前までは大形(基本は蛍光灯40W×2灯、特殊場所(天井が低く、40W×2灯のものが取付出来ない場所)用に32W・35Wまたは40W×1灯)・中形(蛍光灯20W×1灯)・小形(蛍光灯10W×1灯)であった。B級はBH形とBL形とがあり、BH形は旧大形のうち、蛍光灯32W・35Wまたは40W×1灯のものに該当し、BL形は旧中形に該当する。BH形とBL形では大きさが同じでもそれぞれ専用の器具とパネルを使用しなければならない。ただし、LED光源のものはパネルはBH形・BL形とで共用である。A級は旧大形(蛍光灯40W×2灯のもの)、C級は旧小形である。

用途[編集]

避難口誘導灯(パネルが緑地のものでピクトグラムが強調されている。避難口の場所を示す。)・通路誘導灯(パネルが白地のもので矢印が緑で強調されている。避難口がある方向を示す。)・階段通路誘導灯・客席誘導灯(これらは通路を照らすものである)がある。

器具の種類[編集]

避難口、通路誘導灯器具には、下記の様な種類がある。

  • 一般型
    • 一般型は、ピクトグラム表示の照明のみで、他の付加機能を有しない誘導灯である。通路誘導灯には一般型が使用される。最も多く設置されている。
  • 点滅式誘導灯
    • 点滅式誘導灯は、ピクトグラム表示の照明の他に、光で避難口の方向を知らせる装置が付加されている。点滅式誘導灯には火災報知器と連動して明るさが100%-36%(停電時36%-10%)の可変を繰り返す内照式とストロボフラッシュが点滅する外照式(外付、組み合わせ、内蔵)がある。現在は外照式の内蔵型のものが殆どである。
  • 誘導音付加型誘導灯
    • 誘導音付加型誘導灯は、点滅型誘導灯の機能の他に点滅式誘導灯と同様に火災報知器と連動して、「ピンポーン♪ピンポーン♪非常口はこちらです 非常口はこちらです」と音声を発する。(YouTubeに投稿されてある映像を参考火災報知機+誘導灯)誘導音装置は火災報知器連動のほか自ら煙感知器を接続して該当非常口(階段)が煙で充満して危険な場合、音声(点滅組み合わせの場合は点滅も)を停止させる機能を有する。
    • 点滅式誘導灯と誘導音付加型誘導灯はその性格上避難口誘導灯としてのみ使用される。これらの誘導灯を使用すると、従来大形(A級)の設置が義務づけられていた場所でも1ランク小さいもの(BH形、BL形)に変更出来る場合がある。
  • その他長時間定格型(停電時の非常点灯時間が一般の20分から1時間に延長されている)も高層ビル向けにある。長時間定格型誘導灯にも一般型・点滅式・誘導音付加型の各種類がある。また、特殊環境用として防湿・防雨型、クリーンルーム用等がある。

誘導灯の取付は、通常天井直(または専用金具を用いての)取付、壁取付、または天井パイプ吊り取付の3種類である。その他、壁埋込型、床埋込型がある。

問題点と対策[編集]

エネルギー問題[編集]

安全のために欠かすことのできないものではあるが、常時点灯させるための電力消費が無視できない。

そこで、設置可能な場所は限られるが蓄光機能を持つ高硬度石英成形板で作成した誘導板が開発され注目されているほか、消費電力が少ないLEDを光源とする誘導灯が実用化され、冷陰極管蛍光灯蛍光灯型に取って代わってきている。

その他[編集]

2005年宮城県ホームセンターに設置されている誘導灯が発火し、商品の一部が焼ける火災が発生した。

その後、2006年札幌市三重県で誘導灯が発火している。

内蔵する蛍光灯安定器(32W・40W)がまれに異常発熱を起こし近傍の合成樹脂を焦がしたり、発火に至るものである。当初50Hz地区のみで多発したためメーカは60Hz地区については対策が行われていなかったが三重県で同様の事故が生じたため一斉対策になった(カバーの交換と延焼防止金属板を追加する)

これらの誘導灯は東芝ライテック1990年代に製造した物で、全国各地で同じタイプの誘導灯の修理などが行われている。[1]


誘導灯を含めて照明器具は寿命を8~10年と定めており、寿命に近づいた器具は点検又は交換するように照明器具メーカーのカタログ等で呼び掛けられている。

脚注[編集]

  1. ^ 東芝ライテック 誘導灯(大形・薄型タイプ)ご愛用のお客様へhttp://www.tlt.co.jp/tlt/kokuchi/youdou/youdou.htm

関連項目[編集]