ガマ
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ガマ
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| 分類 | ||||||||||||||||||||||||
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| 学名 | ||||||||||||||||||||||||
| Typha latifolia L.[1] | ||||||||||||||||||||||||
| 和名 | ||||||||||||||||||||||||
| ガマ(蒲、香蒲) |
ガマ(蒲、香蒲、学名:Typha latifolia L.)は、ガマ科ガマ属の多年草の抽水植物である。別名、ミズクサともいい、古くはカマとも呼ばれていた[2]。中国植物名は寛葉香蒲(かんようこうほ)[3]。円柱状の穂は蒲の穂と呼ばれる。
分布[編集]
北半球の温暖な地域やオーストラリアと日本の北海道から九州の広範囲に分布する[4]。池や沼、川のほとりなどの浅い水辺に自生する[2][5]。
特徴[編集]
泥の中の根茎から直立する多年草で、葉は高さ1 - 2 mで、水中の泥の中に地下茎をのばす[5]。葉は線形で厚く、下部は鞘状に茎を抱く[5]。夏(6 - 7月)には葉よりも高く茎を伸ばし、頂に円柱形の花穂をつけ、上部は黄色い花粉をまき散らす雄花穂、下部の茶褐色部は雌花穂である[2][5]。花穂の下部は赤褐色で太く、雌花の集まりでありソーセージに似た形状である。穂の上半分は細く、雄花が集まり、開花時には黄色い葯が一面に出る風媒花である。雄花も雌花も花びらなどはなく、ごく単純な構造になっている。花が終わると、雄花は散り、軸だけが穂の上に立つ[5]。雌花は結実後は、綿クズのような冠毛を持つ微小な果実になる[5]。この果実は風によって飛散し、水面に落ちると速やかに種子が実から放出されて水底に沈み、そこで発芽する。また、強い衝撃によって、種が飛び散ることもある。
メイガ科(あるいはツトガ科)のニカメイガ(Asiatic rice borer, Chilo suppressalis)、ヤガ科のオオチャバネヨトウ(Nonagria puengeleri)などの幼虫の食草である[6]。魚類などの産卵場所や避難場所として利用され、栄養塩類の除去などの水質浄化に役立っている[6]。
利用方法[編集]
黄色い花粉には、フラボノイド配糖体のイソラムネチン、脂肪油、α-ティファステローム、β-シトステロール、ブドウ糖などの成分が含まれる[2][4]。このフラボノイド配糖体には、細胞組織を引き締める収斂(しゅうれん)作用があり、血管を収縮させて出血を止める作用があると考えられている[2]。また、脂肪油が外傷の皮膚面を覆うことにより、外部からの空気に触れないように保護し、自然治癒力を助けていると考えられている[2]。
ガマの雄化穂から出る花粉は、同属のコガマ、ヒメガマとともに、集めて陰干ししたものが生薬となり、蒲黄(ほおう)と呼ばれ薬用にする[2][3]。漢方では、蒲灰散(ほかいさん)、蒲黄散などに蒲黄が処方され、内服すると利尿作用、通経作用があるとされる[2]。民間では、1日量2 - 3グラムの花粉を、布袋などに入れて約400 ㏄の水で半量になるまで煎じて、3回に分けて服用される[3]。外傷には傷面を清潔にして花粉そのままつけてもよいとも言われており[2][7]、中国南朝の陶弘景注『神農本草経』、唐代の孫思邈著『備急千金要方』には、蒲黄が止血や傷損(すり傷)に効くとある[8]。日本最古の歴史書とされる『古事記』(712年)の中の「因幡の白兎」の挿話で登場することでも有名である[2]。『古事記』の「因幡の白兎」の説話では、毛をむしり取られた兎に、大穴牟遅神(大国主)が蒲黄を取って敷き散らし、その上に転がるよう教える[9]。
雌花の熟したものは綿状(毛の密生した棒様のブラシ状)になり、これを穂綿と呼ぶ。火打ち石で火を付けていた時代には、穂綿に硝石をまぜてほくちとして用いることがあった[10]。
蒲の穂を乾燥させて、蚊取り線香の代用として使われる事もある。
茎、葉は、樽作りで、樽材の隙間に噛ませ、気密性の向上に利用される事もある。
ガマ属の種[編集]
ガマ属(Typha)の日本で主に見られる種は、ガマのほか、草丈1 m内外と全体に小型のコガマ、草丈1.7 mほどとやや小さいヒメガマの3種である[2][12] 。これらは日本全土の池や沼に分布する多年草で、花期は6 - 8月、ガマが最も早く、ヒメガマ、コガマと続くとされる。雌花序と雄花序が約1 cmほど離れて花茎の軸が見えるのがヒメガマ[2]、雌花序と雄花序が連続しており、雌花序の長さが10 - 20 cmのものがガマ、6 - 10 cmのものがコガマと識別できる。
ガマの花粉を顕微鏡で見ると、花粉4個が正方形か1列に並んで合着しているのに対し、コガマとヒメガマでは、花粉が1個ずつ単独である[2][5]。種によって酸素漏出速度が異なり、生育している土壌に与える影響が異なる[13]。
その他[編集]
「蒲の穂」は「かまぼこ」の語源である。当時のかまぼこは現在と形が異なり細い竹にすり身を付けて焼いた食べ物を指していた。これは現在のちくわにあたる。ちくわと蒲の穂は色と形が似ている。
関連画像[編集]
脚注[編集]
- ^ “Typha latifolia L.” (英語). ITIS. 2011年11月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 田中孝治 1995, p. 79.
- ^ a b c 貝津好孝 1995, p. 182.
- ^ a b “ガマ”. やなぎ堂薬局. 2011年11月21日閲覧。
- ^ a b c d e f g 馬場篤 1996, p. 37.
- ^ a b “ガマの生態 (PDF)”. 農林水産省. pp. 41. 2011年11月21日閲覧。
- ^ 貝津好孝 1885, p. 182.
- ^ 福永光司『道教と日本文化』(ミネルヴァ書房、1982年)、85頁。初出は『健康』1979年1月。
- ^ 倉野憲司・校注『古事記』(岩波文庫、岩波書店、1963年)、44頁。
- ^ 大場達之「ガマ科」、『週刊朝日百科植物の世界』116(ガマ カヤツリグサ スゲ)、朝日新聞社、1996年7月14日発行、10-227頁。
- ^ 大場達之「ガマ科」、『週刊朝日百科植物の世界』116(ガマ カヤツリグサ スゲ)、朝日新聞社、1996年7月14日発行、10の227頁から228頁。
- ^ “取手市植物図鑑”. 取手市. 2011年11月21日閲覧。
- ^ “水辺に生きる植物たちのはたらき (PDF)”. 国立環境研究所. 2011年11月21日閲覧。
- ^ “ヒメガマ”. 熊本大学薬学部 (2002年8月). 2011年11月21日閲覧。
- ^ “ガマ”. 飯田市. 2011年11月21日閲覧。
参考文献[編集]
- 貝津好孝『日本の薬草』小学館〈小学館のフィールド・ガイドシリーズ〉、1995年7月20日、182頁。ISBN 4-09-208016-6。
- 田中孝治『効きめと使い方がひと目でわかる 薬草健康法』講談社〈ベストライフ〉、1995年2月15日、79頁。ISBN 4-06-195372-9。
- 馬場篤『薬草500種-栽培から効用まで』大貫茂(写真)、誠文堂新光舎、1996年9月27日、37頁。ISBN 4-416-49618-4。