肺高血圧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

肺高血圧(はいこうけつあつ、PAH:Pulmonary Arterial Hypertension)は、何らかの原因により慢性的に肺動脈圧が上昇する病態の総称で難治性の循環器疾患呼吸器疾患の1つである。

定義[編集]

にかかる動脈血圧が通常より高い状態をさす。厳密には心臓カテーテル検査によって肺動脈安静時圧が25mmHg以上と定義されている。

病因[編集]

分類[編集]

第1群 肺動脈性肺高血圧症(PAH:Pulmonary Arterial Hypertension)
  1. 特発性肺動脈性肺高血圧症(IPAH)
  2. 遺伝性肺動脈性肺高血圧症(HPAH)
    1. BMPR2
    2. ALK1, endoglin,SMAD9,CAV1
    3. 不明
  3. 薬物・毒物誘発性肺動脈性肺高血圧症
  4. 各種疾患に伴う肺動脈性肺高血圧症
    1. 混合性結合組織病
    2. ヒト免疫不全ウイルス感染症(後天性免疫不全症候群
    3. 門脈肺高血圧
    4. 先天性短絡性疾患(中隔欠損)
    5. 住血吸虫症
  • 第1群の亜型’
  1. 肺静脈閉塞性疾患(PVOD : pulmonary veno-occlusive disease)
  2. 肺毛細血管腫症(PCH : pulmonary capillary hemangiomatosis)
  • 第1群の亜型’’
  1. 新生児遷延性肺高血圧症
第2群 左心性心疾患に伴う肺高血圧
  1. 左室収縮不全
  2. 左室拡張不全
  3. 弁膜疾患
  4. 先天性/後天性の左心流入路閉塞、流出路閉塞
第3群 肺疾患および/または低酸素血症に伴う肺高血圧症
  1. 慢性閉塞性肺疾患
  2. 間質性肺疾患
  3. 拘束性と閉塞性の混合障害を伴う他の肺疾患
  4. 睡眠呼吸障害
  5. 肺胞低換気障害
  6. 高所における慢性暴露
  7. 発育障害
第4群 慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)
第5群 詳細不明な多因子のメカニズムに伴う肺高血圧症
  1. 血液疾患(慢性溶血性貧血、骨髄増殖性疾患、脾摘出)
  2. 全身性疾患(サルコイドーシス、肺ランゲルハンス細胞組織球症、リンパ脈管筋腫症、神経線維腫症、血管炎)
  3. 代謝性疾患(糖原病ゴーシェ病、甲状腺疾患)
  4. その他(腫瘍塞栓、線維性縦隔炎、慢性腎不全)区域性肺高血

循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告)[1]より引用し改変。

臨床像[編集]

体内酸素飽和度が低下し低酸素血症になり、それにつれ運動能力も低下する。進行に伴って肺血流量が低下し、最終的には右心不全に至る。

検査[編集]

治療[編集]

様々な疾病が原因となっているため、それぞれの疾病の治療が行われる。左心流入路および流出路の疾患は外科手術が行われる。各種ガイドラインにおいて肺高血圧と診断された後は「急性肺血管反応試験」を行うことが推奨されており、急性肺血管反応試験で反応のある場合にはカルシウム拮抗薬が第一選択として用いられ、急性肺血管反応試験で無反応の場合に肺血管拡張薬が用いられる。

結合組織病に合併する肺高血圧症の場合は、免疫抑制剤を併用することがある[2]

薬物療法例[編集]

急性肺血管反応試験で無反応の場合に以下の肺血管拡張薬が用いられる。

外科手術[編集]

内科的薬物治療に限界の場合には外科手術(心臓欠損中隔の閉塞術、肺移植術など)の適応となる。

その他[編集]

肺動脈性肺高血圧症(PAH)は特定疾患で公費助成対象となる。

出典[編集]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]