俵
(米俵から転送)
俵(たわら)は、わらを円柱形に編んで作られた袋。米や芋などの農産物や、木炭や塩魚など各種の産品を包装し、出荷・保管・運搬する為に用いられた。俵算の発想のもと。福俵として縁起物にもされる。
概要[編集]
俵は円柱状の側面に当たる菰(こも)と、桟俵(さんだわら)をそれぞれ藁で編み、最後にこれらをつなぎ合わせて作る。
桟俵とは米俵の底と蓋になる円い部分。別名さんだらぼうし、さんだらぼっち。炭俵では無い場合が多い。
木炭の一大生産地であった北海道胆振地方では、出荷する木炭を四角い俵詰にしていた。この場合、俵の素材も等級別に使い分けされており、上級品からカヤ(茅)、ヨシ、ムシロと区別されていた[1]。
作り方[編集]
- 稲わらをしごいて揃え、木製の専用の用具を使い、わら縄で向きを交互に藁たばを編んで菰を作る。5斗俵には、64束のわら束を編んだ幅の菰がいるという。
- わら束の胴中を縛って、踏みつけて円盤状に広げてから端を編みこみ、底と蓋になる「桟俵」を作る。
- 菰を丸め、端を編み合わせて筒にし、端を内側に織り込んで、桟俵を縫いこんで底をつくる。
- 中に定量の米を詰める。
- 桟俵で蓋をする。
- 底と蓋を、網状に編み上げた縄で外れないよう押さえる。これは、熟練が必要である。
- 胴体を数か所、藁縄できつく括り上げて完成。
- 現代では、藁編みの米俵の製作は失われつつある技能であり、技能者の高齢化も進行しつつある。各地で技能を伝承したり、動画に撮影する試みが行われている。
- 底や周囲を編んだ藁束で作った米俵からは、米粒が漏れるのが避けられなかった。そのため米俵を保管する倉庫の床には「敷いたように」米粒がこぼれていた[2]。江戸時代のある地域では、漏れの補充分として、規定量に6%分余計に詰めることが農民に強要された。
容量[編集]
四斗入りや六斗入りなど、産品に応じてさまざまな俵が使用された。単位としての俵は、俵 (単位)参照。
内容物[編集]
故事・著作物など[編集]
- 大黒天:七福神の一柱。米俵に乗り、福袋と打出の小槌を持った微笑の長者形で表される。
- 米百俵:長岡藩の藩士小林虎三郎による教育にまつわる故事。
- 落語「芋俵」(いもだわら):泥棒が芋俵の中に入り、大店に忍び込む与太郎噺。