「害獣」の版間の差分
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2021年5月1日 (土) 14:45時点における版
害獣(がいじゅう)とは、人間活動に害をもたらす哺乳類に属する動物一般をさす言葉である。人間の多い地域では、家畜などの飼育動物以外はほとんどがこれに含まれる可能性がある。
概要
哺乳類から受ける人間の被害には様々なものがある。直接に人間が肉体的被害を受ける場合(ヒグマ、イヌ、イノシシなど)、畑を荒らすなど農作物が被害を受ける場合(ニホンジカ、ニホンザル、イノシシなど)、家畜や養殖魚などが被害を受ける場合(オオカミ、タヌキ、キツネ、イタチなど)、芝生が荒れるなど景観の被害(モグラなど)、糞尿による汚染(コウモリ、ネコなど)、病原体の媒介(ネズミなど)があげられる。そのため、場合によっては地域のあらゆる哺乳類はその名を挙げられる可能性がある。
アイルランド以外のヨーロッパ全域に生息しているヨーロッパモグラのように、地下に穴を掘って土壌に酸素を供給したり害虫を抑制する働きが認められていながら、害獣として常に駆除の対象となってきた動物もいる[1]。
基本的に獣の側が人間の生息域に出現する事で被害が顕在化することが多いが、環境破壊により生息地の餌資源不足及び生息地そのものを失うといった事や、アライグマ、マングース、チョウセンイタチ、キョンのような本来の生息域の存在しない動物(外来生物)を人間が持ち込んだ事が要因である場合もあり、その場合は人災であるともいえる。また、人間の側も山村の過疎により、獣を撃退する人材不足の為に充分な対処が出来ずに状況が悪化する事も多い。
日本では、害獣の肉を動物園の大型肉食獣の餌として与える「屠体給餌」が模索されている[2][3][4]。飼育動物にとっては環境が自然界に近くなるメリット、人間側にとっては害獣の遺体を焼却や埋没処分する倫理面、そしてハンターの心理的負担面を改善できるメリットがある[5]。
脚注
- ^ Tracey Greenwood, Kent Pryor, Richard Allan『ワークブックで学ぶ生物学の基礎 第2版』2011年、251頁
- ^ “ジビエ、野性呼び覚ます 駆除肉を猛獣の餌に 福岡・大牟田市動物園”. 毎日新聞. 2020年4月7日閲覧。
- ^ “【ひと】「屠体給餌」に取り組む大牟田市動物園の飼育員 伴和幸さん”. 西日本新聞ニュース. 2020年4月7日閲覧。
- ^ “定期開催決定! 駆除されたシカを猛獣に給餌|豊橋総合動植物公園からのお知らせ|豊橋総合動植物公園”. www.nonhoi.jp. 2020年4月7日閲覧。
- ^ “動物園のライオンの餌に害獣の駆除個体を与える深い意味(田中淳夫) - Yahoo!ニュース”. Yahoo!ニュース 個人. 2020年4月7日閲覧。
関連項目
- 衛生害獣
- 害鳥
- 害虫
- 特定動物
- 鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
- 野生動物管理
- 有刺鉄線 - 鉄条網 - 電気柵
- 猟友会
- 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
- 世界の侵略的外来種ワースト100
- 日本の侵略的外来種ワースト100
外部リンク
- 環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護業務室. “野生鳥獣の保護管理 ~人と野生鳥獣の適切な関係の構築に向けて~”. 2013年11月30日閲覧。