「光楯類」の版間の差分

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'''光楯類'''(こうじゅんるい、学名:Aglaspida Walcott 1911)は、[[化石]]のみで知られる[[節足動物]]であり、[[鋏角亜門]]に属する。[[三葉虫]]様ので2-6cm程度のやや細長い体の動物であった。
'''光楯類'''(こうじゅんるい、学名:Aglaspida<!-- Walcott 1911-->)は、[[化石]]のみで知られる[[節足動物]]であり、[[鋏角亜門]]に属する。やや細長い体の[[三葉虫]]様の体長 2~6cm 程度の動物であった。


== 形態 ==
== 形態 ==
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中体部は前体とほぼ同じ幅から次第に後方に狭まり、9体節からなる。そのうちの前の7節には前体とほぼ同じ付属肢があった。後体は幅の狭い尾部となり、先端は剣尾となる。下面には短い付属肢があった。このような構成はほぼ[[カブトガニ]]類と共通するものだが、カブトガニ類では前体部の両側が広がり、腹部の体節がより少なく(光楯類が11-12節に対して、カブトガニ類は10節)、全体に短縮している点が異なる。
中体部は前体とほぼ同じ幅から次第に後方に狭まり、9体節からなる。そのうちの前の7節には前体とほぼ同じ付属肢があった。後体は幅の狭い尾部となり、先端は剣尾となる。下面には短い付属肢があった。このような構成はほぼ[[カブトガニ]]類と共通するものだが、カブトガニ類では前体部の両側が広がり、腹部の体節がより少なく(光楯類が11-12節に対して、カブトガニ類は10節)、全体に短縮している点が異なる。

海産で浅い海底に生息していた。海底をはい回ったあととされる[[生痕化石]]も発見されている。


== 出現 ==
== 出現 ==
化石は[[北アメリカ]]大陸と[[ヨーロッパ]]から出ている。[[古生代]]の[[カンブリア紀]]前期から[[オルドビス紀]]後期まで発見される。中生代の記録もあるが疑問視されている。このような点から、この動物は[[ローレシア大陸]]中央部に生まれ、この大陸周辺でのみ発展を遂げたものと考えられる。この点ではカブトガニ類も共通している。
化石は[[北アメリカ]]大陸と[[ヨーロッパ]]からる。[[古生代]]の[[カンブリア紀]]前期から[[オルドビス紀]]後期まで発見される。中生代の記録もあるが疑問視されている。このような点から、この動物は[[ローレシア大陸]]中央部に生まれ、この大陸周辺でのみ発展を遂げたものと考えられる。この点ではカブトガニ類も共通している。

海産で浅い海底に生息していた。海底をはい回ったあととされる[[生痕化石]]も発見されている。


== 系統 ==
== 系統 ==

2008年6月13日 (金) 21:04時点における版

光楯類
保全状況評価
絶滅
地質時代
カンブリア紀 - オルドビス紀
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 鋏角亜門 Chelicerata
: カブトガニ綱 Merostomata
亜綱 : 光楯亜綱 Aglaspida
Walcott, 1911
下位分類群

本文参照

光楯類(こうじゅんるい、学名:Aglaspida)は、化石のみで知られる節足動物であり、鋏角亜門に属する。やや細長い体の三葉虫様の体長 2~6cm 程度の動物であった。

形態

体は腹背に偏平で、前体 prosoma と中体 mesosoma、それに後体 metasoma が区別できる。前体はやや幅広く半円形で、背面の両側に離れた位置には一対の複眼があった。この部分は頭胸部に当たり、下面には鋏角と五対の付属肢があった。鋏角は四節からなり、付属肢は歩脚型で、前体部の外まで伸びていた。なお、前端に一対の糸状の触角があるとされたこともあるが、どうやらこれは間違いで触角は全くなかったらしい。

中体部は前体とほぼ同じ幅から次第に後方に狭まり、9体節からなる。そのうちの前の7節には前体とほぼ同じ付属肢があった。後体は幅の狭い尾部となり、先端は剣尾となる。下面には短い付属肢があった。このような構成はほぼカブトガニ類と共通するものだが、カブトガニ類では前体部の両側が広がり、腹部の体節がより少なく(光楯類が11-12節に対して、カブトガニ類は10節)、全体に短縮している点が異なる。

海産で浅い海底に生息していた。海底をはい回ったあととされる生痕化石も発見されている。

出現

化石は北アメリカ大陸とヨーロッパから産出する。古生代カンブリア紀前期からオルドビス紀後期まで発見される。中生代の記録もあるが疑問視されている。このような点から、この動物はローレシア大陸中央部に生まれ、この大陸周辺でのみ発展を遂げたものと考えられる。この点ではカブトガニ類とも共通している。

系統

この類は鋏角類の構造を持っているが、全体に三葉虫に似ることから、また以前には触角があると考えられていたことからも、これが三葉虫から派生したものでこれから他の鋏角類が出たとする「三葉虫類と鋏角類の間のミッシングリンク」であると考えられたことがある。ただし現在ではこれを認めることは少ない

形態的にはむしろカブトガニに近いが、ウミサソリ類にも似た点があり、両者の祖先的なものとの見方もある。

分類体系の上ではカブトガニ綱の下に光楯目として置く事があるが、確定した扱いはない。3科11属が知られる。なお、いわゆるバージェス生物群エメラルデラ Emeraldella もこれに含まれるとされたことがある。

下位分類

  • Aglaspella科
  • Strobops科
  • Beckwithia科

参考文献

  • 関口晃一,(1980),カブトガニ -最近の研究ノートから-.動物と自然,Vol.10,no.5,p.49-53
  • 石川良輔編『節足動物の多様性と系統』,(2008),バイオバーシティ・シリーズ6(襟華堂)
  • 内田亨監修『動物系統分類学(全10巻)第7巻(中A) 節足動物(IIa)』,(1966),中山書店