「スンダ海峡津波」の版間の差分
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2019年1月1日 (火) 19:49時点における版
被災地、青色部分は津波の到達範囲 | |
日付 | 2018年12月22日[1] |
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時刻 | 午後9時27分(現地時間 UTC+8) |
場所 | インドネシア・スンダ海峡 |
座標 | 南緯6度6分27秒 東経105度25分3秒 / 南緯6.10750度 東経105.41750度座標: 南緯6度6分27秒 東経105度25分3秒 / 南緯6.10750度 東経105.41750度 |
別名 | インドネシア津波[1] |
原因 | 山体崩壊による土砂津波[2] |
死者 | 426人[2] |
負傷者 | 7202人[2] |
行方不明者 | 29人[2] |
スンダ海峡津波(インドネシア語: Tsunami Selat Sunda 2018)は、2018年12月22日、インドネシア・スンダ海峡で発生した大規模津波である[1]。津波は、火山島のアナク・クラカタウ山の噴火で山体の一部が崩壊したことに誘発されて発生した海底地すべりに起因するものとみられている[1][3][4][5]。
概要
噴火まで
アナク・クラカタウ山はクラカタウ火山を構成する火山島のひとつであり、1883年のクラカタウ火山の大規模噴火で周辺が海没した後、1930年に火山の中心部として新たに海面隆起した火山島である[3]。「アナク・クラカタウ」は「クラカタウの子」を意味するインドネシア語であり、1883年のクラカタウ山の噴火で大規模な津波が発生し、3万6000人を超える死者が発生した過去がある[4]。
火山活動は2018年6月から継続しており、特に2018年10月から11月にかけては今回の規模を超える大きな噴火があった[6]。ただし、イギリス・クイーンズランド大学の火山学者 Teresa Ubide によれば、これは異常の兆候ではなく、火山噴火が継続すること自体は通常の噴火活動のひとつであるとした[6]。
噴火と山体崩壊
2018年12月22日に発生した津波災害の主原因であるアナク・クラカタウ山の噴火とそれに伴う山体崩壊により、64ヘクタールに及ぶ土砂が海に向かって滑り落ちた[2]。この山体崩壊による地滑りは海底にまで及び、これが主原因となって津波災害が発生した[3]。
また、欧州宇宙機関の人工衛星センチネル1が2018年12月22日に撮影した同火山の画像で、山体南側の大部分が海へ崩落したことが判明している[3]。
津波被害
発生した津波はインドネシア中部のジャワ島、スマトラ島の沿岸部に到達し、多くの家屋に損害を与え、多数の死傷者を出した[7]。このとき、住民に対する津波警報は発令されず、住民は無警戒のまま被災した[4][6]。
住民への事前警報が発令されなかった背景は津波発生のメカニズムに原因が求められるもので、これまでにインドネシアで発生した津波のほとんどが地震を原因とするものだったが、今回は山体崩落が主原因であり、地震波などの前兆を捉えることができなかった[4]。インドネシアの災害対策本部報道官はこの問題に対し、「インドネシアには地滑りや火山噴火に対する早期警戒システムは存在しない」「現時点で存在する早期警戒システムは全て地震活動に主眼を置くもの」などとTwitterで発言した[6]。また、同報道官は「インドネシアの津波ブイは予算不足により2012年以降運用されていない」とも指摘している[6]。インドネシア国家防災庁 (BNPB)も当初、津波の原因を満月による高波として言及したが、後にこれを撤回し海中の地滑りによるものとした[8]。
インドネシア海洋・水産省の依頼により、日本の東北大学津波工学教授今村文彦と中央大学海岸工学教授有川太郎が2018年12月28日から翌29日の2日間にかけて行ったジャワ島被災地における現地調査の結果、「津波の高さは3〜4メートル」「標高13メートル付近まで遡上した場所を確認」「短い周期で次々と押し寄せた今回の津波は、地震による津波より瞬間的な破壊力が強かった」などと言及した[5]。
噴火後
噴火から1週間が経過した2018年12月30日に至っても、アナク・クラカタウ山周辺では斜面からの岩石、火山灰などの崩落が続いている[9]。
また、インドネシアの火山地質災害軽減センター (CVGHM) によれば[2]、アナク・クラカタウ山の標高は噴火前の338メートルから110メートルとなり、2018年12月24日から同月27日までにかけての山体の総体積は1億5000万から1億8000万立方メートル減少し、2018年12月30日時点で4000万から7000万立方メートルとなったことを発表している[2]。これは噴火前の三分の一である[9]。
被害
インドネシア国家防災庁の発表によれば、2018年12月28日時点での被害は、負傷者が7202人、行方不明者が29人、避難者が4万3386人である[2]。また、インドネシア政府は2018年12月29日時点の発表で死者数を426人とし、従前より死者数が減少した理由として集計の一部に重複があったと説明した[2]。
津波により最大の被害を被った地域はジャワ島のパンデグラン地域であり[8]、津波発生時にバンデグランの海岸に多くの観光客が訪れていたことによる[8]。2018年12月23日時点でのバンデグラン地域の物的被害は家屋損壊430棟、ホテル9軒、船舶10隻が報告されている[8]。
影響
甚大な被害を受けたアナク・クラカタウ山(アナク・クラカタウ島)周辺地域には重機が投入され、被災者の捜索支援が行われているが、周辺道路は封鎖され、救出活動に支障が生じていることを、2018年12月25日にイギリス・BBCは報じている[1]。
2018年12月25日時点で、既に新たな津波の可能性があることを政府報道官が言及しており[1]、今後更に大規模噴火を起こす可能性が高まったとして、インドネシア政府は2018年12月27日にアナク・クラカタウ山の警戒レベルを上から2番目のレベルとなる「レベル3」に引き上げた[9]。
脚注
- ^ a b c d e f “インドネシア津波、死者420人超に 火山活動続き新たな津波の恐れも”. BBCニュース. 英国放送協会 (2018年12月24日). 2018年12月25日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i CNN.co.jp (30 December 2018). "津波原因のインドネシアの火山、高さが3分の1に". CNN. 2019年1月1日閲覧。
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に無意味な名前が入力されています。 (説明) - ^ a b c d “【解説】 インドネシア津波の原因、火山学者が写真で説明”. BBCニュース. 英国放送協会 (2018年12月26日). 2018年12月31日閲覧。
- ^ a b c d “インドネシアの火山津波 警報が出なかったわけ”. ナショナルジオグラフィック日本版. 日経ナショナルジオグラフィック社 (2018年12月26日). 2018年12月31日閲覧。
- ^ a b “噴火に伴う津波、「日本でも可能性」…現地調査”. YOMIURI ONLINE. 読売新聞社 (2018年12月31日). 2018年12月31日閲覧。
- ^ a b c d e "Indonesia tsunami caused by collapse of volcano" (英語). ガーディアン. 24 December 2018. 2019年1月1日閲覧。
- ^ CNN.co.jp (24 December 2018). "写真特集:ジャワ島やスマトラ島で津波被害". CNN. 2019年1月1日閲覧。
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に無意味な名前が入力されています。 (説明) - ^ a b c d BBC NEWS INDONESIA (23 December 2018). "Tsunami terjang Selat Sunda, korban diperkirakan terus bertambah" (インドネシア語). BBC. 2019年1月1日閲覧。
- ^ a b c YOMIURI ONLINE (30 December 2018). "標高が3分の1、110mに…津波原因の噴火で". 読売新聞社. 2019年1月1日閲覧。