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「親権」の版間の差分

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{{Otheruses|権利義務の一総称|[[花札]]競技のルールにおける「親権」|こいこい#役}}
{{Otheruses|成年に達しない子の監護・教育・財産管理を内容とする権利及び義務|[[花札]]競技のルールにおける「親権」|こいこい#役}}
{{Law}}
{{Law}}
'''親権'''(しんけん)とは、[[成年]]に達しない[[子供|子]]を[[監護]]、[[教育]]し、その財産を管理するため、その[[親|父母]]に与えられた身分上および財産上の[[権利]]・[[義務]]の総称。未成年の子に対し親権を行う者を[[親権者]]という。
{{国際化|日本}}
'''親権'''(しんけん)とは、[[成年]]に達しない[[子供|子]]を[[監護]]、[[教育]]し、その財産を管理するため、その[[親|父母]]に与えられた身分上および財産上の[[権利]]・[[義務]]の総称をいう。

未成年の子に対し親権を行う者を[[親権者]]という。また、用法として、親権を[[監護権]](子供と一緒に暮らし生活全般の面倒をみる権利)と[[法定代理人]]たる地位にあって財産管理や法律行為などを行う権利とに分け、後者を「親権」と呼ぶ場合も多い。この場合に子供は、親権者ではなく監護権者と一緒に暮らす。


[[民法 (日本)|民法]]について以下では、条数のみ記載する。
[[民法 (日本)|民法]]について以下では、条数のみ記載する。


== 親権の歴史 ==
== 概説 ==
親権(父権)は歴史的には支配権的性質を有するものであったが、その後、子の保護という保護的性格の観点から捉えられるようになり、子の保護の観点から親権は権利であると同時に義務でもあると理解されるに至った([[b:民法第820条|820条]]参照)<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、100頁</ref>。さらに[[子どもの権利条約]]が締結された現在、子どもは単なる保護の対象としてではなく人権の享有・行使の主体として捉えるべきとされる<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、100頁</ref>。他方、親権の概念には子の親に他者の介入を排除しつつ子育ての自律性を認めるという側面もある<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、168頁</ref>。

なお、親権と[[後見]]とを子の保護における公的コントロールの強化という点から制度的に統一すべきとする見解もあり「親権後見統一論」と呼ばれる<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、169頁</ref>。

== 国内私法(民法)における親権 ==
=== 親権に服する子 ===
親権に服する子は成年に達しない子である([[b:民法第818条|818条]]第1項)。なお、未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなされ父母の親権から離脱する([[b:民法第753条|753条]])<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、100頁</ref>。

なお、戦前の民法によれば未成年に限らず「独立ノ生計ヲ立ツル成年者」以外の者は父の親権に服するものとされていたが(旧877条第1項の反対解釈)、現行法では親権に服する子は未成年者に限られる([[b:民法第818条|818条]]第1項)<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、169頁</ref>。

=== 親権者 ===
==== 共同親権の原則 ====
親権は父母の婚姻中は父母が共同して行う('''共同親権の原則'''、[[b:民法第818条|818条]]第3項本文)。通常、子にとって父母双方と密接な関係を維持することが最善の利益につながるとみるもので、また、父母双方が対等に子の養育の責任を負うべきとの趣旨である<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、170頁</ref>。

明治民法では「子ハ其家ニ在ル父ノ親権ニ服ス」とされ(旧877条第1項)、「父カ知レサルトキ、死亡シタルトキ、家ヲ去リタルトキ又ハ親権ヲ行フコト能ハサルトキハ家ニ在ル母之ヲ行フ」とされており(旧877条第2項)、父を第一順位の親権者・母を第二順位の親権者としていた<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、265頁</ref>。

子が養子であるときは、養親の親権に服する([[b:民法第818条|818条]]第2項)。したがって、実親の親権からは離脱する<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、265頁</ref>。通常、養子は養親と共同生活しており、実親とは生活の本拠を異にするため、子の親権についても養親が責任を持って行うべきとされるためである<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、173頁</ref>。養親が養子の実親の配偶者である場合(配偶者の前婚の子が後婚の他方配偶者の養子となった場合など)には実親と養親の夫婦での共同親権となる<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、173頁</ref>。

父母の意見が一致しない場合につき日本の民法は規定を置いていないが、[[ドイツ民法]]にはこのような場合に備えて父母の一方に決定権限を与える場合について定めた条文がある(ドイツ民法第162条)<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、170頁</ref>。日本では[[b:民法第819条|819条]]第5項の規定を類推適用して解決すべきとの見解がある<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、170頁</ref>。

==== 共同親権の例外 ====
以下の場合には父母の一方による単独親権となる。
* 一方が親権を行うことができないとき
: 父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が親権を行う([[b:民法第818条|818条]]第3項但書)。「親権を行うことができないとき」には法律上行使しえない場合(親権喪失の審判、親権者の辞任、親権者に成年後見の審判・保佐開始の審判があった場合など)と事実上行使できない場合(行方不明とっなている場合、服役している場合、重病を患っている場合など)とがある<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、170頁</ref><ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、100頁</ref>。
: 父母の一方が亡くなった場合にも単独親権となり、双方ともに亡くなった場合には[[後見]]が開始する([[b:民法第838条|838条]]第1項)<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、100頁</ref>。養父母の場合も同様であり、養父母ともに亡くなった場合にも実親の親権は復活せず後見が開始されるとする説が通説であるが([[b:民法第838条|838条]]第1項)、これに対して実親の親権が回復されるとみる有力説もあり論点となっている<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、173-174頁</ref><ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、101頁</ref>。
* 離婚
** 協議離婚の場合
*:協議によって親権者を定める(819条1項)。協議が調わないときは、[[家庭裁判所]]は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる(819条5項)。
** 裁判上の離婚
*: 裁判所の決定によって親権者を定める(819条2項)。
なお、近時の外国での法制では離婚時における共同監護の立法例が増しているとされる<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、172頁</ref>。
* 養親子関係
** 養親との離縁の場合
*: 養子と養父母の双方と離縁となった場合には実父母の親権が回復するのであり後見は開始しない<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、265-266頁</ref>。養父母の一方が死亡あるいは離婚により単独親権となった場合で、その後、養子が単独親権をもつ養親と離縁した場合には、後見が開始されるとする説と実親の親権が回復するとする説がある<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、266頁</ref>。
** 養親の離婚の場合
*: 養親と実親による共同親権の場合(配偶者の前婚の子が後婚の他方配偶者の養子となった場合など)に、両親が離婚した場合には養親の単独親権となるとする説と通常の離婚と同様の扱いとすべきとする説とがある<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、266頁</ref><ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、173-174頁</ref>。
* 子の出生前に離婚
: 親権は母が行う(819条3項本文)。ただし、父母の協議によって変更することもできる(819条3項但書)。
* 嫡出でない子(非嫡出子)
: 嫡出でない子(非嫡出子)は母の単独親権に服する(819条4項)<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、101頁</ref>。父によって胎児認知されている場合にも原則として母の単独親権となる<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、172頁</ref>。ただし、父が[[認知]]した子の場合には父母の協議によって父を親権者と定めることができる([[b:民法第819条|819条]]4項)。単独親権者が亡くなった場合ついて、従来の通説は[[後見]]が開始する([[b:民法第838条|838条]]第1項)とみるが、一方の者に当然に親権が生じるとみる反対説もあり、判例にも一方の者が適任とみられるときは親権者変更の審判を請求しうるとしたものがある<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、101頁</ref>。

==== 日本での離婚後親権 ====
{{main|離婚後共同親権}}
親権については[[共同親権]]が原則であるが、離婚などの事由が発生した場合、例外として単独親権となる場合もある。

子供と住みたいがため、いわば、名を捨てて「親権」(この場合、法定代理権)を相手に与え、子供と一緒に暮らす「監護権」という実を取るような[[調停]]方法も、良く行われる。

なお古くは、女性が子供を育てるという社会通念を元に(特に子供が10歳未満の場合)ほとんど無条件で母親に全親権を委ねる例が多々あった。しかし、社会システムの変化や男女平等の概念から、父親に全親権が委ねられるケースも増えている。ただ、母子家庭に比べると父子家庭への社会的援助はまだ未整備であるという問題がある。[[一人親家庭#母子家庭と父子家庭における公的支援の格差]]を参照。

* 統計:[http://www1.mhlw.go.jp/toukei/rikon_8/repo5.html 親権を行う子の数別にみた離婚]

==== 親権者の変更 ====
子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる(819条6項)。

==== 父母以外の者による親権行使 ====
法律上、例外的に子の父母でない者が親権者となる場合がある<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、172頁</ref>。
* 親権を行う者はその親権に服する子に代わって親権を行う([[b:民法第833条|833条]])。未成年者の自らの子に対する親権は、その未成年者の親権者が代行する(ただし、753条により未成年者が婚姻した場合には成年擬制により自ら直接親権を行使することになる)。
* 児童福祉施設の長は、入所中の児童で親権者のない者に対し、親権者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行う(児童福祉法第47条1項本文)。ただし、797条による縁組の承諾をするには都道府県知事の許可を得なければならない(児童福祉法第47条1項但書)。

=== 親権の内容 ===
==== 監護教育権 ====
親権者は、子の監護及び教育をする権利を有し義務を負う(820条)。本条は監護教育権の基本的内容を定めた包括的規定で<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、270頁</ref>、平成23年民法改正(平成23年6月3日法律第61号)により「子の利益のために」の文言が追加された<ref>[http://www.moj.go.jp/content/000070713.pdf 民法等の一部を改正する法律] 法務省</ref>。親権のうち子の身上に関する権利であり、「監護([[監護権]])」は主として肉体的成長、「教育([[教育権]])」は主として精神的発達を図るものであるが、ともに不可分の関係にあるとされる<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、270頁</ref><ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、101頁</ref>。

子の監護教育の内容・程度は親権者が自由に決定しうるが、社会政策などの観点から一定の制限を受ける([[教育基本法]]第4条、[[学校教育法]]22条・39条)<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、270頁</ref>。

* 居所指定権([[b:民法第821条|821条]])
: 子は、親権者が指定した場所に、その[[居所]]を定めなければならない。これを認めなければ監護権の行使が事実上不可能となるためである<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、271頁</ref>。親権者は自由に子の居所を指定しうるが、子の心身の発育に悪影響を及ぼす指定は居所指定権の濫用となる<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、271頁</ref>。子が親権者の指定した場所におらず、第三者の下にあるときは[[民事訴訟]]により子の引き渡し請求が可能である<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、176頁</ref>。ただし、子の自由意思により実母や祖父母の下にとどまっているときは、親権への妨害はないため、妨害を理由とする妨害排除請求はできないこととなり親権者は自ら子を説得する方法しかない(多数説は間接強制を認めない)<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、271頁</ref>。なお、[[児童虐待]]等の事実があり、子が児童福祉施設や[[里親]]の下で生活している場合には居所指定は認められない<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、176頁</ref>。なお、[[人身保護法]]も参照。
* 懲戒権([[b:民法第822条|822条]])
: 親権者は、必要な範囲で自ら子を懲戒できる([[b:民法第822条|822条]]1項)。ただし、社会通念を超える懲戒は親権濫用となり、[[傷害罪]](刑法204条)や[[暴行罪]](刑法208条)等の刑事責任の問題となりうる<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、272頁</ref>。なお、平成23年民法改正前の規定では家庭裁判所の許可により入れられる「懲戒場」の規定があったが、これに相当する施設は設けられず<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、177頁</ref>、平成23年民法改正(平成23年6月3日法律第61号)により懲戒場に関する文言は削られた<ref>[http://www.moj.go.jp/content/000070713.pdf 民法等の一部を改正する法律] 法務省</ref>。
* 職業許可権([[b:民法第823条|823条]])
: ここでいう「職業」は営業のほか他人に雇用される場合も含む<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、272頁</ref>。なお、未成年者の営業については6条に規定があり、営業を許された未成年者はその営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有することになる([[b:民法第6条|第6条]]1項)。また、親権者は営業許可を取消したり制限したりもできる(第6条2項)。
* 子の代理権
: 一定の身分行為につき親権者に法定代理人として代理権が認められている場合がある(認知の訴えにつき[[b:民法第787条|787条]]、十五歳未満の者を養子とする縁組の承諾につき[[b:民法第797条|797条]])。本来は自己決定に関する事項であるが、子の利益のため必要がある場合として代理権が認められている<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、177頁</ref>。

==== 財産管理権 ====
親権のうち子の財産に関する権利である<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁</ref>。親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する([[b:民法第824条|824条]]本文)。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない([[b:民法第824条|824条]]但書)。[[b:民法第824条|824条]]本文にいう「代表」とは実質的には[[代理]]を意味する<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、277頁</ref><ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、177-178頁</ref><ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁</ref>。

===== 共同代理の特則 =====
共同親権の場合には共同代理となり、本来ならば一方の同意のない代理や同意は追認のない限り効力をもたないはずだが、それでは第三者が不測の損害を被ることになりかねない。そのため、第三者保護の観点から民法は「父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない」と定める([[b:民法第825条|825条]]本文)<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁</ref>。ただし、相手方が悪意であったときは保護の必要はないため本文の適用はない([[b:民法第825条|825条]]但書)。

===== 利益相反行為 =====
親権者とその子との間、あるいは同一の親権者の下での一人の子と他の子との間で[[利益相反行為]]となる場合、親権者の財産管理権は認められず、親権者は特別代理人の選任を[[家庭裁判所]]に請求しなければならない([[b:民法第826条|826条]]第1項・第2項)。

利益相反行為にあたるか否かは、行為の動機・目的を問わず、外形から形式的に判断すべきとされる(外観説・形式的判断説。判例として最判昭42・4・18民集21巻3号671頁)<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、178頁</ref>。

親権者の一方とのみ利益相反行為となる場合については、他方親権者の単独行使を認める他方親権者単独説、特別代理権による単独行使を認める特別代理人単独説もあるが、通説・判例は親権者の一方と特別代理人が共同して親権を行使すべきとして共同代理説をとる(最判昭35・2・25民集14巻2号279頁)<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、182頁</ref>。

本条に違反して特別代理人の選任によらずになされた行為は無権代理行為であり、子が成年に達した後に追認しない限り本人に効力は及ばない(通説・判例。判例として最判昭46・4・20家月24巻2号106頁)<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、182頁</ref><ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、103頁</ref>。

===== 財産管理における注意義務 =====
親権者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない([[b:民法第827条|827条]])。未成年後見人の場合に比べて注意義務は軽減されている([[b:民法第869条|869条]]・[[b:民法第644条|644条]])<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁</ref>。

===== 財産の管理の計算 =====
子が成年に達したときは、親権者は遅滞なくその管理の計算をしなければならない([[b:民法第828条|828条]])。計算ののち、その子の養育及び財産の管理の費用は、その子の財産の収益と相殺したものとみなされる([[b:民法第828条|828条]]但書)。したがって、子の有する不動産賃料を子の財産管理・養育費に充てて相殺することができる<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁</ref>。ただし、この規定は無償で子に財産を与える第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については適用されない([[b:民法第829条|829条]])。

828条の計算の結果、収益が費用を上回った場合について、従来は828条但書により親権者に収益権を認める説が多かったが批判があり、近時は子に返還すべきであるとする説が有力となっている<ref>高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、178頁</ref><ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁</ref>。

=== 親権の濫用 ===
親権は子のための制度であり、子にとって有害で不適当な親権の行使がなされる場合には親権を奪うことが必要となる<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、104頁</ref>。ただ、親権の喪失は重い処分とされ躊躇されてきたため、親権の停止という制度を新設する改正案が2011年の通常国会に提出され成立した。

なお、これらの審判は扶養義務や相続権などに影響しない<ref>遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、286頁</ref>。

==== 親権喪失の審判 ====
父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる([[b:民法第834条|834条]])。親権者がいなくなったときは後見が開始される([[b:民法第838条|838条]]、[[b:民法第839条|839条]])。平成23年民法改正(平成23年6月3日法律第61号)により、請求権者に子本人、未成年後見人、未成年後見監督人が追加され、また、下の親権停止の審判を新設したことから「二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない」との文言が追加された<ref>[http://www.moj.go.jp/content/000070713.pdf 民法等の一部を改正する法律] 法務省</ref>。

==== 親権停止の審判 ====
親権停止の審判は平成23年民法改正(平成23年6月3日法律第61号)により新設された制度である(平成24年4月施行予定)<ref>[http://www.moj.go.jp/content/000070713.pdf 民法等の一部を改正する法律] 法務省</ref>。父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる([[b:民法第834条の2|834条の2]]第1項)。親権停止の期間は2年を超えない範囲内で一切の事情を考慮して家庭裁判所が定める([[b:民法第834条の2|834条の2]]第2項)。親権者がいなくなったときは後見が開始される([[b:民法第838条|838条]]、[[b:民法第839条|839条]])。

==== 管理権喪失の審判 ====
父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる([[b:民法第835条|835条]])。

=== 親権者の辞任 ===
親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる([[b:民法第837条|837条]]第1項)。「やむを得ない事由」には重病、長期不在、服役、健康、知識や能力の問題などが挙げられる<ref>千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、105-106頁</ref>。親権者がいなくなったときは後見が開始される([[b:民法第838条|838条]]、[[b:民法第839条|839条]])。辞任の事由が消滅したときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる([[b:民法第837条|837条]]第2項)。

=== 旧民法の親権 ===
=== 旧民法の親権 ===
親権は戸主権とはまったく異なる別のものであるが、旧民法はこの点において戸主権(家族制度)と親権(個人制度)とが過渡期的に混在するものとされた。
親権は戸主権とはまったく異なる別のものであるが、旧民法はこの点において戸主権(家族制度)と親権(個人制度)とが過渡期的に混在するものとされた。
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この問題について大審院は具体的な事実によって判断するほかないと解釈した。
この問題について大審院は具体的な事実によって判断するほかないと解釈した。


== 親権の性質 ==
== 国際私法における親権 ==
親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法と同一である場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法によるとされる([[法の適用に関する通則法]]第32条)。
親権は、権利であると同時に義務でもある([[b:民法第820条|820条]])。親権の義務性を謳うことにより、親権を親の子に対する支配権として理解する、明治以前の思想との決別を意図したものである。

== 親権を行使する者 ==
*未成年者は、父母の親権に服し、養子については、[[養親]]の親権に服する。父母が[[結婚|婚姻]]中の場合は、親権の行使は父母が共同で行うのが原則であるが、一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う([[b:民法第818条|818条]])。
*父母が[[離婚]]、又は離婚([[再婚]])後に[[認知]]した場合の子の親権者の決定についての準則は、[[b:民法第819条|819条]]に規定がある。
**協議離婚の場合は、協議による(819条1項)。
**裁判上の離婚の場合は、裁判所の決定による(819条2項)。
**子の出生前に離婚した場合は、母が行う。ただし、父母の協議によって変更することもできる(819条3項)
**父が認知した子に対する親権は、母が行うのが原則であるが、父母の協議によって変更することもできる(819条4項)。
**協議が調わないときは、[[家庭裁判所]]は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる(819条5項)。
**子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる(819条6項)。
*未成年者の非[[嫡出]]子への親権は、未成年者の親権者が代行する([[b:民法第833条|833条]])。

== 親権の内容 ==
* 監護教育権(820条)
* 居所指定権([[b:民法第821条|821条]])
*: 子は、親権者が指定した場所に、その[[居所]]を定めなければならない。
*: 例外につき、[[b:民法第857条|857条]]([[未成年後見人]]の権限)
* 懲戒権([[b:民法第822条|822条]])
*: 親権者は、必要な範囲で自ら子を懲戒できる([[b:民法第822条|822条]]1項)。
* 職業許可権([[b:民法第823条|823条]])
*: 営業を許された未成年者はその営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有することになる([[b:民法第6条|第6条]]1項)。親権者は許可を取消したり制限したりもできる(第6条2項)。
* 財産管理権・法定代理権([[b:民法第824条|824条]] - [[b:民法第832条|832条]])
*: 親権者は子の財産管理権を有する。具体的には財産に関する法律行為の代理権であり、未成年者の法律行為に対する同意権もここから派生するものとされる。
*: [[利益相反行為]]となる場合、親権者の財産管理権は認められず親権者は特別代理人の選任を[[家庭裁判所]]に請求しなければならない。 
* 未成年の子の子に対する親権の代行権([[b:民法第833条|833条]])

== 親権をめぐる問題 ==
=== 利益相反行為 ===
[[利益相反行為]]は、一方の利益になると同時に、他方への不利益になる行為である。

親権を行う父親又は母親とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない([[b:民法第826条|826条]])。親権を行う者と子との[[利益相反行為]]において、親権を行う者が特別代理人を選任せずに行った代理行為は無効である。


=== 親権の濫用 ===
児童虐待は、懲戒権(822条)の行使と称してなされる場合も多い。この場合、親権者に自らの行為が虐待行為に当たるとの認識がないか希薄なことがほとんどであり、[[児童相談所]]や学校などの第三者から指導を受けても浸透しないまま、過酷な虐待行為がなされ、子が死亡や重篤な傷害といった重大な被害を受ける事例が頻発している。もとより、822条は児童虐待を正当化するものではない。目的において不当な、あるいは手段において不相当(例えばしつけと称して子供にタバコの火を押し付ける手段)な行為は本条に言う懲戒権の行使として認められない。したがって虐待行為の違法性は本条によって阻却しえず、場合によっては[[暴行罪]]や[[傷害罪]]・[[傷害致死罪]]などの犯罪を構成することになる。

親権者が親権を濫用し、又は著しく不行跡であるときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その親権の喪失を宣告することができる([[b:民法第834条|834条]])。また、親権者の管理が不適切であったことによってその子の財産を危うくしたときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求によって、その管理権の喪失を宣告することができる([[b:民法第835条|835条]])。これらの原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によって、親権又は管理権の喪失の宣告を取り消すことができる([[b:民法第836条|836条]])。

また、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる([[b:民法第837条|837条]]1項)。

未成年者に対して親権を行う者がいなくなったときは、「'''未成年[[後見人]]'''」制度が適用される([[b:民法第838条|838条]]、[[b:民法第839条|839条]])。

親権の喪失は重い処分とされ躊躇されてきたため、親権の停止という制度を新設する改正案が2011年の通常国会に提出され、成立した。

=== 日本での離婚後親権 ===
{{main|離婚後共同親権}}
親権については[[共同親権]]が原則であるが、離婚などの事由が発生した場合、例外として単独親権となる場合もある。

離婚後の親権については、どちらかの親に「親権」すべてをゆだねる場合もあるが、先に述べたように、親権を、監護権と法定代理権に分け、それぞれを、各親において持つという方法も、よく行われている。

子供と住みたいがため、いわば、名を捨てて「親権」(この場合、法定代理権)を相手に与え、子供と一緒に暮らす「監護権」という実を取るような[[調停]]方法も、良く行われる。

なお古くは、女性が子供を育てるという社会通念を元に(特に子供が10歳未満の場合)ほとんど無条件で母親に全親権を委ねる例が多々あった。しかし、社会システムの変化や男女平等の概念から、父親に全親権が委ねられるケースも増えている。ただ、母子家庭に比べると父子家庭への社会的援助はまだ未整備であるという問題がある。[[一人親家庭#母子家庭と父子家庭における公的支援の格差]]を参照。

* 統計:[http://www1.mhlw.go.jp/toukei/rikon_8/repo5.html 親権を行う子の数別にみた離婚]

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== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
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* [[離婚後300日問題]]
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* [[ジェームズ・クック (共同監護の父)]]
* [[ジェームズ・クック (共同監護の父)]]

== 脚注 ==
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
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[[Category:家族制度]]
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[[Category:権利]]
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[[en:Parental responsibility (access and custody)]]
[[en:Parental responsibility (access and custody)]]

2011年11月1日 (火) 16:03時点における版

親権(しんけん)とは、成年に達しない監護教育し、その財産を管理するため、その父母に与えられた身分上および財産上の権利義務の総称。未成年の子に対し親権を行う者を親権者という。

民法について以下では、条数のみ記載する。

概説

親権(父権)は歴史的には支配権的性質を有するものであったが、その後、子の保護という保護的性格の観点から捉えられるようになり、子の保護の観点から親権は権利であると同時に義務でもあると理解されるに至った(820条参照)[1]。さらに子どもの権利条約が締結された現在、子どもは単なる保護の対象としてではなく人権の享有・行使の主体として捉えるべきとされる[2]。他方、親権の概念には子の親に他者の介入を排除しつつ子育ての自律性を認めるという側面もある[3]

なお、親権と後見とを子の保護における公的コントロールの強化という点から制度的に統一すべきとする見解もあり「親権後見統一論」と呼ばれる[4]

国内私法(民法)における親権

親権に服する子

親権に服する子は成年に達しない子である(818条第1項)。なお、未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなされ父母の親権から離脱する(753条[5]

なお、戦前の民法によれば未成年に限らず「独立ノ生計ヲ立ツル成年者」以外の者は父の親権に服するものとされていたが(旧877条第1項の反対解釈)、現行法では親権に服する子は未成年者に限られる(818条第1項)[6]

親権者

共同親権の原則

親権は父母の婚姻中は父母が共同して行う(共同親権の原則818条第3項本文)。通常、子にとって父母双方と密接な関係を維持することが最善の利益につながるとみるもので、また、父母双方が対等に子の養育の責任を負うべきとの趣旨である[7]

明治民法では「子ハ其家ニ在ル父ノ親権ニ服ス」とされ(旧877条第1項)、「父カ知レサルトキ、死亡シタルトキ、家ヲ去リタルトキ又ハ親権ヲ行フコト能ハサルトキハ家ニ在ル母之ヲ行フ」とされており(旧877条第2項)、父を第一順位の親権者・母を第二順位の親権者としていた[8]

子が養子であるときは、養親の親権に服する(818条第2項)。したがって、実親の親権からは離脱する[9]。通常、養子は養親と共同生活しており、実親とは生活の本拠を異にするため、子の親権についても養親が責任を持って行うべきとされるためである[10]。養親が養子の実親の配偶者である場合(配偶者の前婚の子が後婚の他方配偶者の養子となった場合など)には実親と養親の夫婦での共同親権となる[11]

父母の意見が一致しない場合につき日本の民法は規定を置いていないが、ドイツ民法にはこのような場合に備えて父母の一方に決定権限を与える場合について定めた条文がある(ドイツ民法第162条)[12]。日本では819条第5項の規定を類推適用して解決すべきとの見解がある[13]

共同親権の例外

以下の場合には父母の一方による単独親権となる。

  • 一方が親権を行うことができないとき
父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が親権を行う(818条第3項但書)。「親権を行うことができないとき」には法律上行使しえない場合(親権喪失の審判、親権者の辞任、親権者に成年後見の審判・保佐開始の審判があった場合など)と事実上行使できない場合(行方不明とっなている場合、服役している場合、重病を患っている場合など)とがある[14][15]
父母の一方が亡くなった場合にも単独親権となり、双方ともに亡くなった場合には後見が開始する(838条第1項)[16]。養父母の場合も同様であり、養父母ともに亡くなった場合にも実親の親権は復活せず後見が開始されるとする説が通説であるが(838条第1項)、これに対して実親の親権が回復されるとみる有力説もあり論点となっている[17][18]
  • 離婚
    • 協議離婚の場合
    協議によって親権者を定める(819条1項)。協議が調わないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる(819条5項)。
    • 裁判上の離婚
    裁判所の決定によって親権者を定める(819条2項)。

なお、近時の外国での法制では離婚時における共同監護の立法例が増しているとされる[19]

  • 養親子関係
    • 養親との離縁の場合
    養子と養父母の双方と離縁となった場合には実父母の親権が回復するのであり後見は開始しない[20]。養父母の一方が死亡あるいは離婚により単独親権となった場合で、その後、養子が単独親権をもつ養親と離縁した場合には、後見が開始されるとする説と実親の親権が回復するとする説がある[21]
    • 養親の離婚の場合
    養親と実親による共同親権の場合(配偶者の前婚の子が後婚の他方配偶者の養子となった場合など)に、両親が離婚した場合には養親の単独親権となるとする説と通常の離婚と同様の扱いとすべきとする説とがある[22][23]
  • 子の出生前に離婚
親権は母が行う(819条3項本文)。ただし、父母の協議によって変更することもできる(819条3項但書)。
  • 嫡出でない子(非嫡出子)
嫡出でない子(非嫡出子)は母の単独親権に服する(819条4項)[24]。父によって胎児認知されている場合にも原則として母の単独親権となる[25]。ただし、父が認知した子の場合には父母の協議によって父を親権者と定めることができる(819条4項)。単独親権者が亡くなった場合ついて、従来の通説は後見が開始する(838条第1項)とみるが、一方の者に当然に親権が生じるとみる反対説もあり、判例にも一方の者が適任とみられるときは親権者変更の審判を請求しうるとしたものがある[26]

日本での離婚後親権

親権については共同親権が原則であるが、離婚などの事由が発生した場合、例外として単独親権となる場合もある。

子供と住みたいがため、いわば、名を捨てて「親権」(この場合、法定代理権)を相手に与え、子供と一緒に暮らす「監護権」という実を取るような調停方法も、良く行われる。

なお古くは、女性が子供を育てるという社会通念を元に(特に子供が10歳未満の場合)ほとんど無条件で母親に全親権を委ねる例が多々あった。しかし、社会システムの変化や男女平等の概念から、父親に全親権が委ねられるケースも増えている。ただ、母子家庭に比べると父子家庭への社会的援助はまだ未整備であるという問題がある。一人親家庭#母子家庭と父子家庭における公的支援の格差を参照。

親権者の変更

子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる(819条6項)。

父母以外の者による親権行使

法律上、例外的に子の父母でない者が親権者となる場合がある[27]

  • 親権を行う者はその親権に服する子に代わって親権を行う(833条)。未成年者の自らの子に対する親権は、その未成年者の親権者が代行する(ただし、753条により未成年者が婚姻した場合には成年擬制により自ら直接親権を行使することになる)。
  • 児童福祉施設の長は、入所中の児童で親権者のない者に対し、親権者又は未成年後見人があるに至るまでの間、親権を行う(児童福祉法第47条1項本文)。ただし、797条による縁組の承諾をするには都道府県知事の許可を得なければならない(児童福祉法第47条1項但書)。

親権の内容

監護教育権

親権者は、子の監護及び教育をする権利を有し義務を負う(820条)。本条は監護教育権の基本的内容を定めた包括的規定で[28]、平成23年民法改正(平成23年6月3日法律第61号)により「子の利益のために」の文言が追加された[29]。親権のうち子の身上に関する権利であり、「監護(監護権)」は主として肉体的成長、「教育(教育権)」は主として精神的発達を図るものであるが、ともに不可分の関係にあるとされる[30][31]

子の監護教育の内容・程度は親権者が自由に決定しうるが、社会政策などの観点から一定の制限を受ける(教育基本法第4条、学校教育法22条・39条)[32]

子は、親権者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。これを認めなければ監護権の行使が事実上不可能となるためである[33]。親権者は自由に子の居所を指定しうるが、子の心身の発育に悪影響を及ぼす指定は居所指定権の濫用となる[34]。子が親権者の指定した場所におらず、第三者の下にあるときは民事訴訟により子の引き渡し請求が可能である[35]。ただし、子の自由意思により実母や祖父母の下にとどまっているときは、親権への妨害はないため、妨害を理由とする妨害排除請求はできないこととなり親権者は自ら子を説得する方法しかない(多数説は間接強制を認めない)[36]。なお、児童虐待等の事実があり、子が児童福祉施設や里親の下で生活している場合には居所指定は認められない[37]。なお、人身保護法も参照。
親権者は、必要な範囲で自ら子を懲戒できる(822条1項)。ただし、社会通念を超える懲戒は親権濫用となり、傷害罪(刑法204条)や暴行罪(刑法208条)等の刑事責任の問題となりうる[38]。なお、平成23年民法改正前の規定では家庭裁判所の許可により入れられる「懲戒場」の規定があったが、これに相当する施設は設けられず[39]、平成23年民法改正(平成23年6月3日法律第61号)により懲戒場に関する文言は削られた[40]
ここでいう「職業」は営業のほか他人に雇用される場合も含む[41]。なお、未成年者の営業については6条に規定があり、営業を許された未成年者はその営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有することになる(第6条1項)。また、親権者は営業許可を取消したり制限したりもできる(第6条2項)。
  • 子の代理権
一定の身分行為につき親権者に法定代理人として代理権が認められている場合がある(認知の訴えにつき787条、十五歳未満の者を養子とする縁組の承諾につき797条)。本来は自己決定に関する事項であるが、子の利益のため必要がある場合として代理権が認められている[42]

財産管理権

親権のうち子の財産に関する権利である[43]。親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する(824条本文)。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない(824条但書)。824条本文にいう「代表」とは実質的には代理を意味する[44][45][46]

共同代理の特則

共同親権の場合には共同代理となり、本来ならば一方の同意のない代理や同意は追認のない限り効力をもたないはずだが、それでは第三者が不測の損害を被ることになりかねない。そのため、第三者保護の観点から民法は「父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない」と定める(825条本文)[47]。ただし、相手方が悪意であったときは保護の必要はないため本文の適用はない(825条但書)。

利益相反行為

親権者とその子との間、あるいは同一の親権者の下での一人の子と他の子との間で利益相反行為となる場合、親権者の財産管理権は認められず、親権者は特別代理人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない(826条第1項・第2項)。

利益相反行為にあたるか否かは、行為の動機・目的を問わず、外形から形式的に判断すべきとされる(外観説・形式的判断説。判例として最判昭42・4・18民集21巻3号671頁)[48]

親権者の一方とのみ利益相反行為となる場合については、他方親権者の単独行使を認める他方親権者単独説、特別代理権による単独行使を認める特別代理人単独説もあるが、通説・判例は親権者の一方と特別代理人が共同して親権を行使すべきとして共同代理説をとる(最判昭35・2・25民集14巻2号279頁)[49]

本条に違反して特別代理人の選任によらずになされた行為は無権代理行為であり、子が成年に達した後に追認しない限り本人に効力は及ばない(通説・判例。判例として最判昭46・4・20家月24巻2号106頁)[50][51]

財産管理における注意義務

親権者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない(827条)。未成年後見人の場合に比べて注意義務は軽減されている(869条644条[52]

財産の管理の計算

子が成年に達したときは、親権者は遅滞なくその管理の計算をしなければならない(828条)。計算ののち、その子の養育及び財産の管理の費用は、その子の財産の収益と相殺したものとみなされる(828条但書)。したがって、子の有する不動産賃料を子の財産管理・養育費に充てて相殺することができる[53]。ただし、この規定は無償で子に財産を与える第三者が反対の意思を表示したときは、その財産については適用されない(829条)。

828条の計算の結果、収益が費用を上回った場合について、従来は828条但書により親権者に収益権を認める説が多かったが批判があり、近時は子に返還すべきであるとする説が有力となっている[54][55]

親権の濫用

親権は子のための制度であり、子にとって有害で不適当な親権の行使がなされる場合には親権を奪うことが必要となる[56]。ただ、親権の喪失は重い処分とされ躊躇されてきたため、親権の停止という制度を新設する改正案が2011年の通常国会に提出され成立した。

なお、これらの審判は扶養義務や相続権などに影響しない[57]

親権喪失の審判

父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子の親族又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる(834条)。親権者がいなくなったときは後見が開始される(838条839条)。平成23年民法改正(平成23年6月3日法律第61号)により、請求権者に子本人、未成年後見人、未成年後見監督人が追加され、また、下の親権停止の審判を新設したことから「二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない」との文言が追加された[58]

親権停止の審判

親権停止の審判は平成23年民法改正(平成23年6月3日法律第61号)により新設された制度である(平成24年4月施行予定)[59]。父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる(834条の2第1項)。親権停止の期間は2年を超えない範囲内で一切の事情を考慮して家庭裁判所が定める(834条の2第2項)。親権者がいなくなったときは後見が開始される(838条839条)。

管理権喪失の審判

父又は母による管理権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、管理権喪失の審判をすることができる(835条)。

親権者の辞任

親権を行う父又は母は、やむを得ない事由があるときは、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を辞することができる(837条第1項)。「やむを得ない事由」には重病、長期不在、服役、健康、知識や能力の問題などが挙げられる[60]。親権者がいなくなったときは後見が開始される(838条839条)。辞任の事由が消滅したときは、父又は母は、家庭裁判所の許可を得て、親権又は管理権を回復することができる(837条第2項)。

旧民法の親権

親権は戸主権とはまったく異なる別のものであるが、旧民法はこの点において戸主権(家族制度)と親権(個人制度)とが過渡期的に混在するものとされた。

親権の直接の抛棄は許されない。ただし親権者である母が財産の管理を辞することはできる。また他の行為の間接的な効果として親権を抛棄したのと同じ結果を生じることはある。

親権者は、子と家を同じくする父であり、父が知れないとき、死亡したとき、家を去ったときまたは親権を行うことができないときは家にある母である(旧民法877条)。 親権を行うことができないときとは親権喪失の宣告を受けた場合、禁治産者であるとき(この場合は判例で認めるが、疑いもあるとされた)である。 おなじひとつの家のなかで、養父母は実父母の先立ち、実父母は継父母、嫡母に先立つ。 親権を行う者が無い場合には後見人が置かれる。 継父母、嫡母は後見人と同様の制限監督を受ける(878条)。 親権に服するのは未成年の子および独立の生計を立てていない成年の子である(877条1項)。 独立の生計を立てていない成年の子はただ懲戒権のみに服するだけである。

親権の内容は、

  • 子の身上に関する権利義務
    • 未成年の子の監護教育の権利義務 - たとえば、監護教育の方法を実施するために他人に対して子の引き渡しを請求することができる。(これは監護教育の費用の負担の義務とは別のものである。)
    • 居所指定権 - 戸主の居所指定権と親権者の居所指定権が衝突するときは、親権者の居所指定権が優先する。夫婦のいずれもが未成年でありその親権者がある場合は親権者が夫婦の同居関係を害するような居所指定はできない。
    • 未成年の子の兵役出願を許可する権利(旧民法881条)
    • 未成年の子が営業をなすことを許可する権利 - ひとたび許可を与えた後であってもこれを取り消し、制限をすることができる(6条、883条)
    • 必要な範囲で自ら子を懲戒し、または裁判所の許可を得てこれを懲戒場に入れる権利(882条、非訟事件手続法92条)
  • 子の財産に関する権利義務
    • 未成年の子の財産を管理し収用する権利 - 親権者は自己のためにするのと同一の注意をもって(889条)管理しなければならない。子が成年に達したときは父または母は遅滞なくその管理の計算をしなければならない(890条)。この場合、その子の教育および財産の管理の費用はその子の財産の収益と相殺したものとみなす(890条)。親権者または財産管理者の財産管理の終了の場合は妻の財産管理の場合と同様に委任終了の規定が準用される(893条)。財産の管理について生じた債権は管理権消滅のときから5年間行なわないとき時効によって消滅する(894条)。
    • 財産の関する法律行為について未成年者を代理する権利 - 財産上の行為であってもその子の行為を目的とする債務を生ずべき場合は本人の同意を要する(884条)。未成年者の財産上の行為は親権者が代わってなし得るのであり、未成年者に意思能力があり自らその行為をする場合は親権者の同意がなければ完全な効力は生じない。親権者が母である場合は親族会の同意を得ることを要する(886条)。親権を行う父または母とその未成年の子とで利益が相反する行為については父または母はその子のために特別代理人を選任することを親族会に請求することを要し、父または母が数人の子に対して親権を行う場合その1人と他の子の利益が相反する行為についてはその一方のため特別代理人の選任を要する(888条)。
  • 戸主権および親権の代行権 - 戸主が未成年であり、または未成年者に子がある場合はその親権者がこれに代わって戸主権または親権を行う(895条)

親権が消滅するのは、 親権者または子が死亡したとき、 親権者と子とが家を同じくしないようになったとき、 成年の子が独立の生計を立てるようになったとき、 独立の生計を立てる未成年の子が成年に達したとき、 親権者が親権を行うことができないようになったときである。 親権の喪失には一部喪失(897条)と全部喪失(896条。人事訴訟手続法31条。旧戸籍法107条)とがある。 親権者の親権は親権喪失の宣告によって消滅する。 父または母が親権を濫用しまたは著しく不行跡な場合には、裁判所は子の親族または検事の請求によって親権喪失の宣告をおこなうことができる。 この宣告によって親権者は親権を喪失する。 親権喪失の宣告は、継父母が継子を虐待する、あるいは親権者である母が子の教育監護に不適当と認められるていどに素行が修まらないような場合になされることが多かった。

母が亡父の遺子を教育する必要から他の男性の妾となったことが著しい不行跡として親権喪失の原因となるか否かが問題となったことがある。 この問題について大審院は具体的な事実によって判断するほかないと解釈した。

国際私法における親権

親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法と同一である場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法によるとされる(法の適用に関する通則法第32条)。

関連項目

脚注

  1. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、100頁
  2. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、100頁
  3. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、168頁
  4. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、169頁
  5. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、100頁
  6. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、169頁
  7. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、170頁
  8. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、265頁
  9. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、265頁
  10. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、173頁
  11. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、173頁
  12. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、170頁
  13. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、170頁
  14. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、170頁
  15. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、100頁
  16. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、100頁
  17. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、173-174頁
  18. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、101頁
  19. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、172頁
  20. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、265-266頁
  21. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、266頁
  22. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、266頁
  23. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、173-174頁
  24. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、101頁
  25. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、172頁
  26. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、101頁
  27. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、172頁
  28. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、270頁
  29. ^ 民法等の一部を改正する法律 法務省
  30. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、270頁
  31. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、101頁
  32. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、270頁
  33. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、271頁
  34. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、271頁
  35. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、176頁
  36. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、271頁
  37. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、176頁
  38. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、272頁
  39. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、177頁
  40. ^ 民法等の一部を改正する法律 法務省
  41. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、272頁
  42. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、177頁
  43. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁
  44. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、277頁
  45. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、177-178頁
  46. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁
  47. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁
  48. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、178頁
  49. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、182頁
  50. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、182頁
  51. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、103頁
  52. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁
  53. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁
  54. ^ 高橋朋子・床谷文雄・棚村政行著 『民法7親族・相続 第2版』 有斐閣〈有斐閣アルマ〉、2007年10月、178頁
  55. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、102頁
  56. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、104頁
  57. ^ 遠藤浩・原島重義・広中俊雄・川井健・山本進一・水本浩著 『民法〈8〉親族 第4版増補補訂版』 有斐閣〈有斐閣双書〉、2004年5月、286頁
  58. ^ 民法等の一部を改正する法律 法務省
  59. ^ 民法等の一部を改正する法律 法務省
  60. ^ 千葉洋三・床谷文雄・田中通裕・辻朗著 『プリメール民法5-家族法 第2版』 法律文化社、2005年11月、105-106頁

参考文献

  • 泉久雄『親族法』(有斐閣、1997年)
  • 久保野恵美子「別居・離婚と子の監護」内田貴大村敦志編『民法の争点』(有斐閣、2007年)338頁所収